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空き地は衛星から解析する時代

技術

山田 恵二

筆者 山田 恵二

不動産に関する事なら何でもご相談下さい。
特に、マンションに関しては長く扱ってきた経験もございますので将来のトレンドを見据えたご提案はもちろん、住宅ローンや税金に関しても細かくご説明致します。
自身の購入や売却といった実際の取引経験も交えてお客様一人一人に合わせたご提案を心がけております。

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本日は、不動産業界にとって注目すべき新たなイノベーション技術の話題についてご紹介したいと思います。我々、昔ながらの不動産業界人は「空き地」は自分の足で地道に見つけ、どれだけ汗をかいたかが重視される時代でしたが、生産性を重視した社会において今後は効率的に空き地を探すことが出来るようになりそうです。

衛星データから空き地を探す新興のWHERE(以降、ウェアー)が利用企業を伸ばし話題になっています。8社の起業を経てたどり着いた宇宙航空研究開発機構(JAXA)の月面解析技術を地上に転用し、情報の透明性が低い不動産業界に宇宙の風を吹き込もうとしています。ウェアーの利用者の中には、太陽光発電パネルの販売を手がける都内の企業もあり効果を実感しているようです。

ウェアーは不動産業界のみならず不動産を探す事業者に向けて、人工衛星による地球観測データを提供するサービスを行っています。衛星事業者などから取得したデータとJAXAが持つ人工知能を使った月面解析技術を組み合わせて、不動産として取引ができそうな土地を瞬時に探し出すことが出来ます。なんと驚きなのが、データベースには約7300万件の土地情報が登録されており、駐車場や空き地、空き家など、売買ができる可能性が高い土地を抽出することが出来ると言います。その手法も面白く、屋根の古さから物件の状態や築年を推測するほか、明かりがついているかどうかなども参考情報として扱うそうです。利用料金は1社あたり月額30万円からとなかなか高額ではありますが効率的に空き地を選別できるのは時間に換算することを考えれば利用価値の高さがうかがえます。

サービス画面に立地などの条件を入力すると、適合する土地を全国から見つけられ、気になった土地があれば所有者情報を取得でき、ハザードマップや市街化調整区域などと重ね合わせて状態の確認もできるので調査の手間も省けることにさらなる魅力を感じます。不動産業界では土地の仕入れ情報をいかに早く取得するかが肝になるため、こうしたケアは利用者心をくすぐります。

通常、候補地の情報は地元に根ざした中小の不動産事業者から大手企業などに情報が流れるため、良い情報は一般には公開されないことも多いです。企業の担当者は独自情報を集めるために、実際に町に出て地図情報から探すことも多いです。これまで候補地を100件集めるには約30時間がかかるところ、ウェアーを通じて数回のクリック操作で取得できるというわけです。

今では利便性が評価され、不動産デベロッパーや外食チェーンなど足元では利用企業が200社を超えているそうです。利用企業のひとつが阪急阪神ホールディングス傘下の阪急阪神不動産です。メディアによると導入から半年で10件の仲介案件を獲得したそうで、従来より精度を高めて物件を探索でき、地権者との交渉に結び付いているようです。その他、ライフコーポレーションも出店候補地の選定のため利用を始め、候補地の公示価格などの情報の取得でもサービスを活用しているそうです。用途は太陽光発電の設置候補地の探索にも広がっており、今年5月には蓄電池の製造や販売を手掛けるパワーエックスと業務提携し新たなコラボレーションとして注目されています。

ありそうでなかったこの壮大なサービスはどのようにして生まれたのでしょうか?

このサービスを思いついたきっかけは、月面に関する研究だったそうです。本来はAIを使って月面のクレーターの状態を判別する技術ですが、地球上に転用したところ不動産の種類を簡単に識別できることが分かったそうです。まずは不動産業界にベータ版を提案すると反応が良く、2024年に事業化したというのが流れだそうです。

JAXAの技術を活用するスタートアップは、ロケットや人工衛星の開発などが多いです。国内では合成開口レーダー(SAR)衛星によるデータを運用する企業もありますが、用途は防災や防衛などが主流です。JAXAによる宇宙スタートアップの認定制度でウェアーは不動産業界向けに特化した企業として初めて認定を受けたのも意外で面白いところです。宇宙にはまだまだ利用価値の高い可能性が秘められていること感じてしまいます。「不動産」は参入障壁が低く相手との交渉や取引を重視する業界なだけに、時間をかけて研究開発を進める宇宙業界とは対極的な世界なのかもしれません。これまで宇宙技術を不動産に活用しようという発想は少なかったのもそういった理由があるのかもしれません。

我々が日常的に触っている「グーグルアース」など土地の情報を集めるサービスは他にも既にあります。しかし、ウェアーは衛星画像やグーグルマップに不動産の住所である地番や所有者の詳細情報を重ね合わせて表示できる点が差別化された強みというわけです。

昨年には、こうした実績が買われ投資会社のスパークス・アセット・マネジメントやスカパーJSATなどから5億5000万円の出資を受けています。スカパーJSATからは解析技術の提供を受け、サービスの精度を高めており、今後新サービスもリリースされることは間違いありません。候補地の探索だけでなく、空き家対策サービスの一環として所有者不明土地の可視化も期待出来ます。壮大な宇宙からこうしたイノベーションが創造されることは不動産に限らず胸が高鳴ります。


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