中国不動産市況と住宅ローン事情とは?
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本日は、中国不動産市況と中国内での住宅ローンの話題についてご紹介したいと思います。
中国では、近年の不動産不況になかなか歯止めが掛からない状況が続きています。そして住宅価格は今なおじりじりと下落しています。新築住宅価格は政府統制の影響が色濃いので、中古住宅価格の推移を見ると、2021年7月をピークに2023年12月には約1割下落してい状況です。チャイナショックに見舞われた2014年後半から2015年前半にかけても5%ほど下落しましたが、今回はそれを大幅に超える下落幅となり中国政府の動きに注目が集まっています。4年前に突入した中国不動産市場の低迷に対し、中国政府も無策だったわけではありません。住宅購入制限の緩和や、住宅ローンの貸し出し要件緩和および頭金比率の引き下げ、不動産デベロッパーの資金支援など、各種色々な対策を打ち出してはいます。そして、今年5月17日には「切り札」的な新政策も導入されました。それは「地方政府が不動産在庫を直接買い上げる」というものです。地方政府が購入した不動産は、低所得者向け住宅としての利用が想定されており、この施策のために中国人民銀行(日本でいうところの日本銀行)は3000億元(約6兆6000億円)の貸出枠を設定したほどでした。実際に地方政府に融資する大手国有銀行が拠出する金額を合わせると、合計5000億元(約11兆円)が住宅在庫買い上げに活用されることになります。この「切り札」政策が発表されると、一部不動産企業の株価が高騰するなど大きな反響を呼びました。しかし、現状は買い上げる金額の問題や融資額との予算問題など様々な問題により二の足を踏んでいる状況のようです。
その一方、中国の銀行が住宅ローンの初期の返済方法を緩める施策にも注目が集まります。最初の数年間は利息のみの支払いを認める銀行が増えてきており、新型コロナウイルス禍を経て返済余力が低下しているため、利用者の負担を軽くする狙いがあります。銀行は利ざやが縮んでおり、早期の返済を促す狙いもあります。
商業銀行の平安銀行は5月下旬、住宅ローンに関する複数の新たなプランを発表し話題になっています。内容としては、借入期間が10〜30年であれば最初の3年間は利息の支払いのみとし、残りの期間は元金返済と利息の支払いを求めるというものです。上海や広州、成都、重慶など各地の主要都市で適用を始め、国有大手の建設銀行や農業銀行、中堅の興業銀行なども同様の手法を導入しています。
日本国内の住宅ローンでは考えられませんが、一般的なのが「元利均等型」とは違い、返済開始後2〜3年間は毎月利息の支払いのみで完結することで利用者の負担を減らす考えです。
3年目から元利均等方式に切り替えるそうで、元利均等の返済と比べ最終的な利息の支払総額は増えるものの、返済当初の負担額を大幅に緩和できるのが特徴になっています。ローンの支払いなどが滞り住宅を手放した人も多く社会問題にまで発展していました。住宅の差し押さえに至ってはは38万9000件で前年から43%増えています。中国政府は2022年12月まで「ゼロコロナ」政策を続けており、住宅差し押さえにあった人のなかにはコロナで仕事を失ったり、収入が激減したりしたケースが多いです。ローン返済額が一定期間減れば猶予が生まれ、この間に職探しなどがしやすくなるとの狙いがあります。
とはいえ、今回の利息先払いの手法が銀行の経営安定に寄与するかは見通せない状況です。中国人民銀行は5月中旬、住宅ローン金利の下限を撤廃すると表明しました。これを踏まえ多くの銀行がローン金利の引き下げに動いており、銀行の収益力はさらに逼迫する恐れがあります。しかし、利用者にとっては住宅ローンの元金返済を数年先送りしたに過ぎず、負担は総じて変わらないとの見方もあり根本的な解決にはならないのでは?とい疑問も残ります。中国経済は不動産不況を中心に力強さを欠き、安定した雇用環境や所得の向上が見込めなければ住宅ローン返済を巡る問題の解決にはつながりにくいように思います。
日本国内においても、今でこそ都心の不動産価格高騰が続いていますが本当の意味で国力として経済力がつき、正当な物価として評価されているわけではありません。本日ご紹介した中国不動産市況においても対岸の火事ではなく様々なシミュレーションをするうえで大事な話題です。
中国政府も日本のバブル崩壊という歴史は無視出来ない問題なので、今後の舵取りに国内のみならず海外からも更なる注目が集まりそうです。
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