歴史から読み解くトランプ関税の影響とは⁉︎
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本日は、連日ニュースの中心になっている「トランプ関税」ですが日本の不動産にはどの様な影響が考えられるのかを考えてみたいと思います。
4月2日にトランプ大統領が、相互関税について発表しました。世界各国に対し想定外に高い関税水準で、各国の株価は大幅に下落しました。
なぜか?
本来関税は、より安く工業製品や農産物を生産できる国から、自国産業を保護するための措置です。アメリカは従来、自由貿易のリーダー的存在でしたが、トランプ大統領は、アメリカが貿易不均衡の犠牲になってきたと主張しており、関税強化で製造業を復活させると強調しています。しかし、こうした関税引き上げに伴う原材料や輸入品の値上がりは、アメリカ国民の負担増につながる恐れがあります。食料品や衣料品から自動車、家電製品まで、モノの販売価格が上がればインフレが過熱し、景気悪化を招くとの不安から、株式などの金融市場で動揺が一気に広がりました。アメリカの変調は、同国市場で商売をする世界各国の経済へも大きな影響を及ぼすことから、世界全体で景気後退への懸念が強まり、同時株安を招く結果となったのです。
では今後、トランプ関税発動が日本の企業をはじめ不動産市況に与える影響はどのようなものでしょうか?
まず、日本の昨年の対米貿易収支は8兆6281億円の黒字でした。また日本は、ここ数十年アジア各国主体に工場を移転しています。それらの国からの対米輸出も多いでしょう。今回のトランプ関税では、アジア各国には重い税率が発表されています。最大の貿易赤字相手国の中国については、既にかけた20%の追加関税に相互関税の34%を上乗せするとしました。台湾には32%、インドには26%を課しています。その他、高い税率を課した国は、東南アジアの国の中に多かったです。カンボジア49%、ベトナム46%、スリランカ44%などです。特にベトナムには2,500社前後の日系企業が存在します。キヤノン、パナソニック、ホンダ、トヨタ、ヤマハ、富士通、ブリヂストンなどの大手メーカーも進出しており、現地から米国にも輸出しています。今回のトランプ関税で日本の経常収支にも大きな影響があることは間違いなさそうです。日本の対外収支の悪化は、不動産市況に悪いことはあっても、良いことはありません。また今後、トランプ関税が長期化すれば、工場を米国に移転する企業も増えるでしょう。最近、熊本に進出し話題になった台湾の「TSMC」なども今後の新規工場は米国にシフトするかもしれません。早速、日本企業でも日産自動車が本来は米国工場の生産ラインの一部でシフトを半減し、減産する計画でしたが、今夏にも米国向け主力車の国内生産を一部現地生産に切り替える検討に入ったとニュースになっています。生産を担う福岡県の工場で減産し、輸出を回避して関税の影響を抑える方針です。生産移管は国内の下請け業者の受注減少につながります。
ここで直近で大きな経済不況の事例といえば、17年前の2008年リーマンショックがあります。私も当時所有していた株が軒並み下落したのを覚えています。今回のトランプ関税とは状況は違いますがリーマンショック時、日経平均株価は、ほぼ50%下落しました。邦銀はバブル崩壊時の傷跡深く、不動産向け融資に消極的な時代でしたが、外資系金融機関や外資系ファンドは積極的に資金を投入していました。しかし、リーマンショックで、いきなり日本から撤退していきました。そして、バブル崩壊で崩れていた不動産価格は、再び下落しました。その結果、前期まで増収増益絶好調だった上場中堅デベロッパーや主に都心に投資していた個人投資家の破綻が相次ぎました。破綻の主因は、マクロ的には新規の融資がマーケット全体で喪失したことで、個別にはキャッシュフローがマイナスになったことが大きな要因でした。国土交通省が発表している不動産価格指数によれば、リーマンショックによる東京の不動産価格の下落は、10%程度でした。また下落に要する期間も結果的に2年近くありました。
トランプ米大統領の相互関税発表により、何兆ドルもの市場価値が消失し、一部のヘッジファンドや投資家は借り入れ・レバレッジによる取引の縮小を迫られ、保有株式・債権をロスカットしています。円安のトレンドと世界的に見てもまだまだ低金利な日本に対し、都心の投資物件やタワーマンションは、海外も含めて投機的なプレーヤーが多く取得しています。今回のトランプ関税ショックで、金融商品投資で損した方が、資金確保や損益通算の為の益出しを理由に、取得時より円高の今、売り出す可能性は高いと見ています。
特に、湾岸エリアのタワーマンションなどは中国・台湾の個人投資家が多く取得しています。本国での事業経営・投資が上手くいかなくなると、資金確保のため、これ以上の取得をやめ、売却に転じる方も多いと思います。値上がり幅が他のエリアに比べて大きい分、リーマンショック時も都心3区のマンションの値下がり幅は15-20%ほどと全国平均より大きかったです。ここで、ポイントなのは高額で購入を断念していた層(国内消費者)からの需要です。海外投資家が短期的に資金回収に入れば価格下落も期待出来ますが、そこの需給バランスが今後の都心不動産中古市場の肝になりそうです。市場の在庫が増えれば、長期金利が下がっているタイミングでも有りますので今が買い時と考える人も増えてくるのではないでしょうか?不動産価格の下落というとある面ではピンチですが、見方を変えればチャンスという考え方もあります。低金利が続けば、都心不動産の価格のポテンシャルは立証れましたので取得のタイミング次第では資産形成に追い風とも考えられます。
まず、仮にしばらく利上げがないとすれば新たに住宅ローンを組む人にとっても、すでに変動金利型住宅ローンを組んでいる人にとっても朗報です。固定金利も最近はメガバンクの提示する長期プライムローンがやや低下しており、固定金利の選択も出てきてもいいです。建設費が下落すれば、新築マンション価格が下がる可能性もゼロではありません。都心のマンションデベロッパーも、富裕層や投資家にターゲットを絞ったマーケットから実需の一般消費者層へシフトせざるを得ない状況になってくると思います。また、新築に底上げされてきた高額な中古マンションも損切りをする投資家が増えれば、価格が落ち着く可能性も出てきます。 別の側面として世界的な不況は、上昇を続けていた建設資材価格をクールダウンさせる可能性もあります。先日のSANSHIN picksでも取り上げた様に、日本は建設資材のほとんどを輸入に頼っています。資材価格が下がり、さらに円高になれば暴騰を続けていた建設費の上昇にブレーキがかかることも期待できます。各国のアメリカ向けの輸出が激減することでエネルギーコストが下がれば、資材を運搬するエネルギーコストも下げられます。ただし、世界的な不景気はすべての分野で世界とリンクしている日本経済全体の不景気に通じてしまうことを忘れてはいけないです。自分の仕事は海外とは関係ないと思っていても、日本経済は世界なくしては成立しないマーケットになって久しいわけです。
いずれにしても、株式市場が乱高下しているため、年金の運用への影響が懸念され、老後に備えて少額投資非課税制度(NISA)を利用して株式や投資信託への投資を始めた人も、運用益が減ってしまわないか、不安を抱えていることは間違いありません。また、企業業績が悪化すれば、ここ数年続いてきた賃上げムードに冷や水となりかねません。コメの値上がりに加え、家賃も上昇する中、賃金が上がらなければ、生活は苦しくなるというのが消費者層の大半の思いです。
株価の下落、経済への悪影響、そしてドルに対する信認低下による円高基調により、段階的な利上げを目論んでいた日本銀行にとっては、しばらく様子見せざるを得なくなりそうです。利上げが不動産マーケットに強い影響を及ぼすはずだとみていたシナリオに調整が入ることになるので、早ければ5月にもとされていた利上げは各国との交渉状況がみえてくるまで凍結になると思います。日米金利差も開く中、今後日銀も次回利上げへの大きな障壁をどう乗り越えていくのか注目が集まります。
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