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地方自治体による条例新設のハードル

空き家問題

山田 恵二

筆者 山田 恵二

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本日は、全国で広がる空き家対策の一環として「空き家税」が全国で初めて導入される話題についてご紹介したいと思います。各地方では人口減少下で行政サービスを再構築するには税を通じた財源確保や政策誘導も自治体にとって一つの手段になっています。日本の地方自治体も課税自主権を持つが活用は広がらないのが現実です。国との協議に時間がかかり、自治体側にもノウハウが乏しいことが進捗を遅めています。

そんな中、京都市は2022年、全国初となる「空き家税」の条例案を議会に提出しました。空き家や別荘などの持ち主に課税する税種で、住宅価格の高騰で若い世代の流出が懸念され、空き家の流動性を高めて住宅供給を確保する狙いがあります。

しかし、この条例自体も手続きに相当期間難航したそうです。条例案は1カ月後に可決されたそうですが、新税創設には総務相の同意が必要ということもありここからが難儀な部分になっています。「課税免除の対象はどうするのか」「固定資産税と合わせて過度な負担とならないか」など。同意にこぎつけたのは標準的な協議期間の「3カ月」を大幅に超えた1年後だったそうです。

システム開発の遅れで導入時期も当初予定より4年後の30年度にずれ込み、有識者会議で検討を始めた20年から足かけ10年という歳月をかけていることを見てもいかに地方自治体で税の新設が難しい問題かがわかります。運用段階では今後もまだまだ障壁は出てきそうです。

地方税法は自治体の課税自主権を認めています。その歴史は地方の財政強化を求めたGHQの「シャウプ勧告」に遡ると言われています。1950年の同法改正では法律で定めた税目以外を条例で新設する法定外普通税が創設されました2000年には法定外普通税の手続きを緩和し、法定外目的税も設けられました。それでも活用は限定的です。新税を作るには自治体の相当な能力と首長のやる気が求められます。

2026年度に法定外税を導入する約110の自治体・税目のうち、宿泊税と核燃料税、産業廃棄物税が7割以上を占めています。税収も2024年度決算で計935億円と地方税収全体の0.2%どまりとかなり少ないです。

地方自治体は標準税率と異なる税率を設定する超過課税も可能です。もっとも導入事例の多くが法人関連税の引き上げにとどまり、法人と同様、行政サービスの受益者である地域住民を対象にするケースは少ないです。横並びで、取りやすいところからとる構図になってしまっています。

逆の発想で減税で人を呼び込む手もある。現在、全国的には個人住民税を下げるのは名古屋市のみです。過去に減税に踏み切った自治体はいずれも数年で廃止した経緯があります。減税による税収減を起債で賄うことは認められておらず、苦しい財政事情が税の裁量権を縛っているのかもしれません。

経済協力開発機構の集計によると、税収に占める地方の割合は日本が23%と平均(15%)を上回っています。ただ地方の税率決定権は大きくなく、2013年の報告書は地方に権限があるのに活用されていない例としてノルウェーと日本、韓国を挙げているほどです。税という手段は地方にとってハードルが高いようです。人口減社会で受益と負担の関係をどう再構築するのか、今回の京都市による「空き家税」のように全国各地で独自の新たな税種を導入するためにも、知見を蓄積し、核燃料税や宿泊税にとどまらない独自課税も検討する時期に差しかかっているのかもしれません。特に本件は全国的に広がりを見せる「空き家」問題の抑制効果も期待できるため、こうした税収面だけにとどまらず有効的な手段も検討が必要です。

また、手続きの煩雑さだけではなく地方税制の一番の問題は、多くの自治体は住民税などの独自財源が少なく、地方交付税で賄われている点も大きいと思います。これが自治体の自主性を削いでいる要因の一つにもなっています。地方交付税に頼らない抜本的な改革としては、独自財源を増やすことが今後求められます。例えば、法人事業税は事業所のある東京都に一曲集中している問題でいえが以前のようにいったん国税化し地方交付税として分配するのではなく、分配基準を見直すなども検討して良いと思います。事業所のない自治体の消費者や顧客がいたり、事業所の従業員も他自治体に居住したりしており、今の仕組みがそもそも公平ではない気もします。さらに法人税のような偏りが少ない消費税について、地方分を増やすなども財源確保につながります。あとは、熊本県のように海外資本の大企業による工場や倉庫の誘致といった地方創生のきっかけ作りとして、広大な土地を有効活用することも起爆剤になるかもしれません。



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