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「不動産ID」いよいよ年内実証事業開始!

不動産ID

山田 恵二

筆者 山田 恵二

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本日は、不動産業界にとって嬉しいニュースがありましたのでご紹介したいと思います!それは「不動産ID」の実証事業がようやくこの12月より開始されるという話題です。以前より、当SANSHIN picks内(←初めて取り上げたのは2021年の記事です)でも実現すれば画期的なこととしてご紹介してきました。


不動産ID自体の構想は、2000年代の国交省の研究会の提言から始まっています。当初は、不動産市場の透明化のために、番号に間取り情報や修繕の履歴などを紐づけることが狙いにありました。しかし、近年では需要の高まる宅配サービスや頻繁に発生する災害に備えるための防災など、そのほかの分野においても関連づけることができ、それにより飛躍的に生産性が向上する可能性を秘めていると言われています。

※過去の関連記事はコチラからご参照下さい↓

国交省は、不動産IDの実証事業を2023年にも実施しており、法務省の登記情報をもとに13桁の特定番号と集合住宅の部屋番号などを表す数字4桁の計17桁の番号を割り振りました。しかし、公営住宅など登記対象外の建物が存在していたり、登記上の地番は郵便の住所より対象範囲が広いため、都市部で狭小住宅が増える中で所在地の把握が難しい一面もあります。

そうした難局も、ビジネスを効率化するためにようやく官民の取り組みが動き出しました。数字や漢字、かなが交じった住所は表記が揺れやすく、業務の手間やミスが発生しやすいため、数字のみに置き換えることで、物流業界などの企業の業務効率化につなげられます。まず12月に東京都港区や杉並区、大阪市、札幌市など約20自治体で民間企業が参加する実証事業を始める見込みで、日本郵便が持つ郵便受けの所在地情報をもとに割り振った番号のデータベースを、国土交通省が不動産IDとひもづけしてビジネスに活用できるようにしました。実証では企業や団体に不動産IDと住所を提供し、ビジネスに活用できそうか効果を確かめるようです。宅配現場において住所ではなく番号を使って実際に配れるかや、作業効率が高まるかなどを確認する予定です。損害保険会社では番号を使って保険の対象となる住所を照合する作業時間を短縮できるかなどを見極めます。国交省はこの結果を踏まえて、2027年度にもIDの一般への公開をめざす模様で、今後は17ケタより短くすることも検討するようです。

住所を数字で表現することで、宅配や郵送の場面での手間を省けますし誤配も軽減出来ます。宅配業者が窓口で荷物を受けつけた際に、データベースを活用して記載された住所を番号に置き換え、その後は送付先に届けるまで住所を番号で管理するシステムです。データベースで住所と番号を突き合わせる時点でまず住所が実在するかどうかが分かり、宅配業者の営業所間での確認作業を減らせ作業効率は格段に上がります。加えて、住所の誤読や送り先の建物の間違いなど誤配を少なくできる効果も見込めます。今後、増える可能性がある外国人労働者にとっても、漢字やかなが交じった表記より数字だけのほうが理解しやすいというメリットもあります。

人材不足も問題になっている物流業界で大手のヤマト運輸によると、現状は住所の確認作業に全国で月におよそ4万8000時間をかけているといいます。地図の座標データと番号を連携することで、ドローンやロボットによる自動運送の精度を高められる可能性もあります。さらに、番号の導入によって企業と行政との間のやり取りがスムーズになる効果も期待されます。

保険業界においては、災害発生時に被災した住居などの保険金を支給する際に、保険会社と自治体のデータ間で住所の表記が異なっているために手続きに時間がかかることもあります。保険金の支給には建物の被害状況を保険会社と自治体が確認して情報を共有する必要があるため、住所を数字で表記することでデータ連携をスムーズにできるという狙いもあります。

問題点として、日本の住所は表記の方法が複数あり、情報共有の妨げになっています。「1丁目2番3号」と「1-2-3」が併存し、同じ数字でも全角と半角が異なるものとして認識されることがあります。郵便の住所と登記上の地番で表記が異なることも情報共有の障害になっており、IDを割り振ることで住所の曖昧さを解消できれば、物流の現場の手間を幾分ながら軽減できそうです。住所の表記揺らぎに対してはデジタル庁で住所ベースレジストリを整備し、GitHubで abr-geocoder を提供していますが、様々な例外があり実際には全ての住所に対応できている訳ではありません。

しかし、実現後も情報のアップデートをどの様に効率化していくかが課題です。不動産IDで全ての対象を一意に識別できれば便利ですが、土地建物は自然人と違って時間が経てば分筆で対象の指す範囲が変わったり、名義を分けていない二世帯住宅など権利管理と配達とで対象が変わる場合もあります。実証事業では不動産登記に基づく不動産IDと、郵便受けの所在地情報と紐付けることで課題を乗り越えようとしていますが、実際の業務に適用して効果が上がるのか、また別の課題が浮き彫りになるのかが注目されます。

我々不動産業者としてもこれまで1日がかりで行政窓口をかけずり回っていた情報収集がシステム上で完結できるわけですから不動産IDが実用化されることで業務効率は格段に上がります。実際、査定や広告、重要事項説明に必要な都市計画や課税額などの調査に平均15時間以上かかります。その他、不動産IDのデータ連携は不動産業界全体の生産性向上に直結する部分が多いです。物件情報サイトに成約済みになっても客寄せのために掲載される「おとり物件」も排除しやすくなります。

なにより今後、広く利用されることになれば日本全国の住宅流通の1割強にとどまる中古物件の売買が盛んになり、業界全体の分母が大きくなることが経済効果にも直結していきます。

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