国産強化が急務!住宅建材の現状とは?の画像

国産強化が急務!住宅建材の現状とは?

建築

山田 恵二

筆者 山田 恵二

不動産に関する事なら何でもご相談下さい。
特に、マンションに関しては長く扱ってきた経験もございますので将来のトレンドを見据えたご提案はもちろん、住宅ローンや税金に関しても細かくご説明致します。
自身の購入や売却といった実際の取引経験も交えてお客様一人一人に合わせたご提案を心がけております。

いつも弊社SANSHIN picksをご覧頂き誠に有難うございます!

本日は、日本国内の住宅事情において深刻な問題でもある建材についての話題をご紹介したいと思います。

今なお、建材に使われる木材(主に戸建て)は海外からの輸入に頼っている日本ですが昨今のウッドショックの教訓から国内生産への見直しが急務となっています。国土の約7割を森林が占めながら、住宅の構造材などの多くを輸入木材に頼る日本ですがなぜ海外輸入に頼っているのでしょうか?それは、戦後の住宅供給にあたり海外材に依存したことなどが背景にあると言われています。梁や柱は強度が高く割安な欧米の木材が好まれてきた経緯もあり国内林業は縮小し、国産は大量に調達できる地盤が整っていないのが現状です。しかし、近年では新型コロナウイルス禍やウクライナ危機に伴う世界的な木材相場の高騰や調達難の教訓となりこの転機を生かし、木材資源の有効活用を今後考えていかなくてはならない状況に来ています。

地政学リスクや今後の貿易関税のことも考えると、欧州産材などは調達が不安定になる可能性は十分あり、そうした理由からも国産材への期待が高まっています。こうした中、全国各地で木造住宅の柱や梁などに使う集成材の出荷を本格的に始動しています。

東北では、川井林業(岩手県宮古市)が雫石工場(岩手県雫石町)で集成材の原料となる引き板(ラミナ)の生産設備を2024年に新設し、傘下のウッティかわい(宮古市)が集成材にして、住宅メーカーや木材のプレカット(事前加工)会社に出荷するというホットラインで生産に尽力しています。集成材の生産能力は月産1万㎡と、単一工場として国内屈指の規模となります。

川井林業の沢田令社長は「流通量を増やし、日本の住宅の構造材の国産シェアを5割以上に引き上げたい」と語気を強める。日本木造住宅産業協会によると、住宅供給会社が木造住宅1戸あたりに使う木材(合板除く)の国産材の比率は2023年度時点で47.2%で、部位別では、柱材は6割弱が国産材で、梁や桁などは1割ほどにとどまると言います。

そうした状況にさらに追い打ちをかけたのが、冒頭でも触れた新型コロナウイルス禍に伴う米国の住宅関連需要の増加や国際物流網の混乱などを背景に2021年に起きた、世界的な木材相場の高騰「ウッドショック」です。日本は輸入材の調達難と高値に直面しました。その後もウクライナ情勢の悪化やスエズ運河の航行停滞など、輸入材の調達は不安定さが続いています。円安も輸入コストを押し上げる要因の一つです。海外材への依存の高さは木材の「安全保障」のリスクであり、そうした意識は製材業界に投資を促す一つの要素となったのは間違いありません。結果的に、住宅メーカーも販売価格に転嫁しなくてはならず、住宅インフレへの負の連鎖へと起因していきます。



そんな中、住宅メーカーも動き出しています。住宅メーカーの大手「住友林業」は2023年、福島県内の企業などとの共同出資で同県内いわき市に新会社の木環の杜を設立しました。福島県や近隣県から集荷した丸太をもとにツーバイフォー住宅に使う構造材を生産し、2026年に供給を始める見込みだそうです。住友林業での活用だけでなく、幅広く住宅業界に提供する予定で更なる国産への期待が膨らみます。

他にも、大和ハウス工業では木造住宅の事業拡大を目指し、住宅向け木材で現在5割程度の国産材の使用量を増やす動きも出てきています。積水ハウスでは2024年時点で木造住宅に使う木材使用量のうち4分の1程度が国産材といい、活用拡大を探っています。各社は輸送に伴う温暖化ガス排出の抑制などにも役立てるようです。

輸入コストが高い一方、住宅市場の冷え込みで国産材相場が軟調な足元の地合いは、住宅業界が国産材を見直す機会にもなります。農林水産省がまとめた全国平均の取引価格をみると、壁を支える部材として使う国産スギ材の間柱は1月時点で、用途が同じ欧州産に比べ8%安いという結果が発表されています。従来は国産が高かったのに対し逆転している状況です。しかし、こうした状況が進んでも国産シフトは容易ではないです。所得の低さや屋外での労働環境の厳しさを背景に、林業従事者は1980年代の3分の1に減っているからです。生産ラインが整っても縮小した林業の担い手不足が今後の大きな課題になりそうです。

今後大手住宅メーカーが基盤を再構築していっても、そもそも国産材の市況が弱ければ、林業関係者の伐採意欲が湧かないという課題もあります。国内の膨大な自然資産を活かし、年間を通じて安定価格で安定供給できる状況を全体でボトムアップしていかなくてはいけません。サプライチェーンにかかわる全体の意識共有と連携が欠かせないのはもちろんですが、体力のある企業のみが請け負うのではなくどこまで各企業が内需に対し意識改革出来るか?輸入に頼らなくても済む国力を備えるにはやはり企業のみならず、民官一体となった政府による連携が不可欠だと思います。



LINEでも不動産の最新情報やお役立ち情報を配信しています!


- 横浜市のタワーマンション 山信不動産 -

 

タワーマンション情報はこちら

タワーマンションをお探しの方はこちら

 

横浜市|タワーマンション|リノベーション|

湾岸エリア|不動産

 

神奈川県横浜市中区海岸通4-20-2 YT馬車道ビル301

みなとみらい線 「馬車道駅」 徒歩2

 SANSHIN Real Estate



”建築”おすすめ記事

  • 建設業界に黄色信号⁉︎各地で工事停滞の実情の画像

    建設業界に黄色信号⁉︎各地で工事停滞の実情

    建築

  • 建設業に新たな常識!木造ビルの誕生の画像

    建設業に新たな常識!木造ビルの誕生

    建築

  • 建設コスト上昇のなか利上げ0.5%の壁の画像

    建設コスト上昇のなか利上げ0.5%の壁

    建築

  • 横浜市4月から住宅の耐震補助拡充への画像

    横浜市4月から住宅の耐震補助拡充へ

    建築

  • 補助金対象!新設区分「超省エネ住宅」とは⁉︎の画像

    補助金対象!新設区分「超省エネ住宅」とは⁉︎

    建築

  • 新築マンション完成までの苦悩の画像

    新築マンション完成までの苦悩

    建築

もっと見る