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「金利ある世界」で各銀行に転換期⁉︎

金融

山田 恵二

筆者 山田 恵二

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自身の購入や売却といった実際の取引経験も交えてお客様一人一人に合わせたご提案を心がけております。

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本日は、度重なる日銀の利上げ政策の中、我々消費者にとって大きく直結する「住宅ローン」も大きな潮目を迎えつつあります。各金融機関は長らく続いていた「低金利競争」に幕を下ろし新たな融資体制にベクトルを移し始めています。

各金融機関の住宅ローン戦略は転換点にきています。日銀の利上げを受け、変動型金利は約15年ぶりの高水準に達しており、長期金利は3%を超え、住宅ローンだけでなく企業向けでも貸出金利の引き上げが進んでいます。企業向けに力を入れる大手行は「安く手広く」貸す住宅ローンの競争と距離を置き始めています。

先日、三井住友信託銀行は約45%出資するドコモSMTBネット銀行(旧住信SBIネット銀行)に住宅ローン販売の移管を進める方針と発表し話題になりました。店頭では住宅ローンの新規契約を希望する顧客に対し、ドコモSMTBの商品を案内する取り組みを始めています。

自前で貸出残高を積み上げるのではなく、低コストで運営できるネット銀の顧客基盤や利便性を生かして顧客を取り込むやり方で、同様にみずほ銀行は楽天銀行との連携を検討しているようです。以前なら多少薄利でもお客さんを取りにいっていましたが今は安く手広く貸し出す従来のやり方では勝負できないというのが銀行の本音かと思います。日銀は6月に政策金利を約31年ぶりの1%台へ引き上げました。これを受け、三菱UFJ銀行は先月末、9月の最優遇金利を前月から0.25%上げ1.195%にすると発表しました。住宅価格の高騰で頭金を十分に積めない若年層も多く「金利ある世界」の負担が現役世代に広がりそうです。三井住友銀行も9月、変動型金利を0.25%上げて1.525%に改めることを発表しました。両行の店頭金利の引き上げは3月以来、6カ月ぶりとなります。その他、みずほ銀行やりそな銀行、三井住友信託銀行も10月に引き上げる見通しで、住宅購入者の約8割が選ぶ変動型だけに影響は幅広い家計に及びそうです。

金融機関にとって、住宅ローンは長らく新規顧客(口座)獲得のための「集客装置」とされてきました。低金利を競い合って現役世代を囲い込むことで銀行口座を獲得するやり方として長く主力商品とされてきました。これにより、クレジットカード決済や資産運用などの取引にもつなげて顧客との関係を深める成長モデルを築い他のも事実です。

しかし、日銀の利上げによって、銀行を取り巻く経営環境は大きく変わりました。預金を集めて貸し出すビジネスにうまみが戻ったからです。住宅ローン金利を引き上げたとはいえ、変動型の最優遇金利で1%前後にとどまっている状況で、法人向け融資ではそれを上回る利息を確保できる案件も多いなってきました。銀行にとっては、限られた資金を利ざやの厚い法人向けや海外融資に振り向ける方が合理的というわけです。今後は、企業向け融資の急増で住宅ローンにまわせる余力は狭まっていくと思われます。

ひと昔前に比べ、利用者側もスマートフォンで簡単に住宅ローンを比較できるようになり、最も条件の良い銀行を手軽に選べるようになりメイン口座はメガバンク、住宅ローンは低金利のインターネット銀行といった使い分ける顧客は今や珍しくありません。銀行にとっての「うまみ」が薄れる一方、昨今の不動産価格高騰によりリスクは拡大しています。不動産経済研究所によると、首都圏の新築マンションの平均価格は7月に1億6000万円を突破しました。利用者の借入額も膨らみ、返済の延滞や貸し倒れのリスクを高めています。

もっとも、住宅ローンは個人顧客との重要な接点であり、各行も完全には手放せないです。三菱UFJ銀行はこのほど、借入期間を最長40年とする住宅ローン商品について、1億円以上の物件購入者に限定していた利用条件を撤廃しました。かつては横並びだった大手行の住宅ローン戦略にも各行の経営指針の違いから温度差が出始めています。かつてのような貸出残高の積み上げ競争から、採算やリスクを慎重に見極める局面へと移りつつあるのかもしれません。

冒頭でご紹介したように住宅ローン商品というのは、多くの金融機関にとって新規顧客獲得の手段でした。日銀前総裁の黒田バズーカ以降の10年以上に渡る金利競争にも耐え抜いてきましたが、金利のある世界が復活したことでリテールからプロパーへと融資の軸足を戻しつつあります。大手行の住宅ローンデフォルト率は0.5%未満と極めて優良な融資先であることは変わりませんが、1件最大1億円の住宅ローンよりも融資の効率を高めたい本音が透けて見えるように思います。今後、世間の住宅購入へのマインド低下に繋がらないようにするには、市場の価格調整が必要なのかもしれません。


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