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地銀の越境融資が拡大傾向

金融

山田 恵二

筆者 山田 恵二

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本日は、先日の日経新聞でも取り上げられておりました「地銀の越境融資」についてご紹介したいと思います。


地方銀行はその地方の活性化や経済効果を促進すべくその地域にある住宅を購入する際の個人客に住宅ローンを融資したり、地元企業へ設備投資などの融資をするイメージがあります。私もお客様の住宅ローン審査を県外の地方銀行に依頼した際、『「融資指定アエリ」では無いためお取り扱い出来ません』と言われてしまったこともあります。
しかし、最近では地方銀行が県外に貸し出す「越境融資」が近年着々と拡大傾向にあるそうです。新型コロナウイルスの影響で地方の新たな資金需要が低迷する中、大都市や近隣県の企業への貸し出しや住宅ローンで少しでも収益を増やそうとしているためです。ただ、県外企業への十分な貸貸し出し審査体制を整えている地銀は多くないのが現状です。住宅ローンの金利引き下げ競争が地銀の経営体力を奪い、再編の土壌となる可能性も考えられます。

他県の地銀や地元信用金庫との競争は関西中部エリアでもニュースになっており、三重県地盤の五百銀行のほか、岐阜県地盤の十六フィナンシャルグループ、大垣共立銀行が愛知で攻勢をかけ銀行の融資争いが激化しているそうです。

もともとナゴヤ金利と呼ばれる低金利で知られる中部地方でしたが、コロナ禍で金利引き下げ競争が過熱したことが発端で、愛知、岐阜、三重県の地銀の1月の貸出約定平均金利(ストックベース)は0.721%と、全国の地銀平均(0.826%)や第二地銀平均(0.977%)を下回ります。コロナ禍前に比べ中部地銀の平均金利は0.02~0.03ポイント下がった結果となりました。

日銀が2021年に実施した調査によると、地銀の越境融資残高は21年3月期で約60兆円となり、地銀の事業性融資全体の4割を占めているそうです。これにはびっくりします。この2年で約10兆円増加しているが、背景にあるのがコロナの感染拡大がやはり大きく起因しています。

少子高齢化で地方の資金ニーズが落ち込んでいたところにコロナ禍が追い打ちとなり、地方企業は無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)を借りても大半を預金に回し、自前融資(プロパー融資)まで手を伸ばさないケースが多いそうです。そうした中、地銀はプロパー融資を増やそうと、本店が所在する県内にこだわらず東京、大阪など大都市圏を含む県外での新規開拓に動いています。最近、よく都内の不動産業者にも地方銀行に方々が融資の営業をされているのも目にします。

地銀側にはメリットは大きく、越境融資は県内にない有力企業との取引機会が生まれる可能性も秘めています。融資規模が大きくなればそれだけ金利収入の総額が増え、他の金融サービスによる手数料収入も期待できるわけです。ただ地元との関係希薄化や県外の地銀を交えた金利引き下げ競争が激化し、かえって経営基盤の弱体化につながるリスクもあります。

記事によると、金融庁も県外企業に貸し出す地銀の与信審査に潜むリスクには警戒していると書かれていました!県外への拠点や人員が少ない地銀は県外企業の十分な情報を得ることが難しい中、貸出先も他行がメインを務めるケースが多いため地銀が事業計画の詳細などを把握することもなかなか困難だからです。情報収集を外部の資料に頼らざるを得ない面もあり、与信精度がやや落ちる懸念点もあります。

事例では、旧日本興業銀行(現みずほ銀行)系の不動産会社だったユニゾホールディングスを巡って複数の地銀が融資に参加した結果、同社は21年9月末時点で約2600億円の負債を抱えてしまいました。大手銀は取引を解消したが、取り残された地銀がリスクを抱えてしまった構図になってしまいました。

与信管理が不十分な越境融資の拡大は地元経済にもリスクとなりえます。もし越境融資先の企業が破綻すれば、影響は一都市にとどまらず地方に波及するわけですから大きな取引チャンスがある反面、リスクも伴うわけです。金融庁としてもこうした拡大傾向を見てリスクに見合った融資が適正にできているか、越境融資への地銀の姿勢を注視する考えのようです。

とはいえ、いままで都市銀行が住宅ローンのメインシェアを占めていましたが、近年ではネット銀行も頭角を現していますので、その構図も変革の時期がきています。地銀が首都圏の住宅ローン融資事情を良い意味でどの様に変えてくれるのかは我々としても期待したい話題です!

山信不動産(株)では、住宅ローン融資について様々なケースでご相談を受けております!お買い替えによるお住み替えや、初めての住宅ローンに関しても細かくご提案させて頂きますのでお気軽にご相談下さい!


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