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本日は、今後の変動金利型住宅ローンが上昇した場合のシミュレーションとして、他国の事例を参考にしつつご紹介したいと思います。
日銀は先日開かれた金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を全員一致で決めました。マイナス金利、イールドカーブ・コントロール(以後YCC)の枠組みをそれぞれ維持する考えとなりました。先日も、ブログ内で取り上げましたが市場の一部で修正思惑が出ていた金融政策の先行き指針も文言を変えず、日銀は引き続き上下双方向のリスクに機動的に対応していく方針のようです。
とはいえ今後、物価上昇や円安回避策としてマイナス金利解除の線が完全に消えたわけでは有りません。そして、次なる金融緩和修正案が出された際に我々消費者がダイレクトに影響してくるであろう「住宅ローン」の先行きが気になるところです。そんな中、昨日の日経新聞の一面に興味深い記事が掲載されておりましたのでご紹介したいと思います。それは、インフレ対策として利上げを先んじて実施した北欧の経済大国スウェーデンの話です。福祉国家のモデルでもある豊かな国が、現在不動産不況にのみ込まれようとしています。引き金は中央銀行の急激な引き締めと変動型金利が大半を占める住宅ローン市場でした。スウェーデンの金融監督当局は資産総額1.1兆クローナ(約15兆円)の年金運用機関アレクタを調査すると明かしました。それは、何故かというと不動産大手ハイムスターデン・ボスタッドへの大型出資で損失を計上する可能性が出てきたからです。販売低迷と価格下落で一部の不動産会社は、資金繰り問題に直面しており、年金に飛び火し、国民の老後不安につながりかねない事態に発展しています。遡ること2019年、スウェーデン中銀は先行してマイナス金利政策の解除を決めました。高インフレを抑えるため、今月には8会合連続となる利上げを決定し、現時点で政策金利は4%にまで達しています。
しかし、住宅市場は急激な利上げに脆弱なのですぐにその弊害は生じました。日本に似て住宅の新規購入者の7割が変動型ローンを選択しているスウェーデンでは、利上げに連動して変動型金利も上昇し、金利負担は一気に重くなりました。金融当局の調査によると2022年は収入に占める住宅金利負担の割合は平均約10%と前年の2倍以上にまで膨れ上がりました。
一部の住宅保有者は負担の重さに耐えられず、持ち家を手放している状況の様です。1~2世帯向け住宅の価格は2022年前半のピーク時からすでに1割超下げているそうです。低金利時代に住宅価格が高騰していただけに反動はより大きいものになっています。
一方、米国では9割が長期固定を選択しています。米国は高金利局面を何度も経験し、固定人気が根強い体質になっています。米連邦準備理事会の利上げによって30年固定型ローン金利は足元で7%を超えますが、低い金利で借りていた既存契約者は利払い増加を抑えられているわけです。米国で住宅購入が落ち込まない理由の一つがこれだと思います。
日本では2022年から固定型金利が本格上昇する一方、ネット銀行とメガバンクの競争が激しい変動型は過去最低水準が長く続いています。
以前のブログでもご紹介した様に、現在日本国内の住宅購入者の7割は新規借入時に変動型住宅ローンを選択しています。
低金利が招いた物価上昇の結果、東京都区部中古マンションの購入額は年収の11倍に達している異常事態となっています。そうした好立地な中古マンションや新築マンションを購入する為に、共働きの夫婦がそれぞれローンを契約する『ペアローン』で上限まで借り入れる事例も少なく有りません。低金利と旺盛な需要が物件価格のさらなる高騰を促進しています。
この物価上昇を抑える為に、日銀は直近でも金融緩和政策の修正を徐々に実施してきています。長期金利の修正だけでは、目に見える結果がなかなか得られておらず次なる一手としては、様子見ではあるもののマイナス金利を解除するのもゼロではないはずです。しかし、本日ご紹介した様な他国のデータなども考慮に入れると、慎重に見極めなくてはいけないので冒頭でご紹介したように会合でも「現状維持」を継続し市場を静観しているのが現状ということです。冷静に考えると、マイナス金利を解除しても変動型住宅ローン金利がすぐに跳ね上がるわけではありません。一般的な変動金利は銀行が優良企業に貸し出す際の金利「短期プライムレート」が基準となっており、政策金利がプラス圏になれば、短期プライムレートの上昇を通じて、変動型にも上昇圧力がかかりやすくなる仕組みなのでタイムラグはあります。
しかしながら、本日ご紹介した変動型偏重のスウェーデンの経験からも、金利が上がり始めると住宅価格の落ち込みも早いということは一例として理解をしておかなくてはいけないかもしれません。
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