マイナス金利解除後の利上げ予測
2%の物価安定目標の達成を見通せる状況が近づいてきたなか、日銀の中長期的な利上げプランはどの様なものなのでしょうか?労務費の上昇を価格転嫁する動きが中小企業でも始まり、賃上げ機運が高まってきている中、各機関投資家などは早速先を見据えた動きに出始めています。各大手企業では4%超と前年水準を上回る賃上げが期待され、春季労使交渉の結果を踏まえ、日銀は4月にマイナス金利政策を解除すると思います。マイナス金利政策を解除し、新たな短期の政策金利をおおむねゼロ%にするだろうというのが今の大筋の読みでは有りますが、もっとも、以後の追加利上げは難しいのでは?もしくは、0.5%〜0.75%くらいまでは上昇の可能性もあるのか?など各メディアで専門家も意見が分かれているのが印象的です。
気になるのが米連邦準備理事会(以降、FRB)の利下げが障壁になる気がします。年後半にもFRBが利下げに転じるとみており、世界の景気が減速していく中で、日本だけが政策金利をどんどん引き上げていくのは難しいです。過去も日米の金融政策が逆行したケースはないのが物語っています。
加えて、日本固有の要因が大きいです。政府や日銀の財政はかつてない水準に膨らみ、利払い費の負担が重くのしかかっているため、金利の上昇は財政赤字の拡大を招きかねないため、日銀は慎重にならざるをえない理由もあります。とはいえ日銀が利上げを進めるもとでも、一定の国債買い入れを続け、短期の政策金利に1%上乗せした水準を長期金利の上限にするといった工夫は可能です。
また、政権としても選挙が控える中、金利の急上昇は避けたいと考えるはずです。欧米と異なり、日本では変動型住宅ローンの利用が多いので、利上げで住宅ローン金利が上がれば政権の支持率も間違いなく低下します。政治的な配慮が作用し、利上げが困難になる展開も考えられます。
一方、追加利上げが難しいとすると、円安の再加速が心配の種になります。ここ数年は輸出企業の業績が上向き賃上げの原動力となってきましたが、円安に起因する企業業績の改善などを通じた賃金上昇圧力が、将来も続くかは分からりません。世界景気の減速で日本企業の業績が悪化すれば、いくら円安でも賃上げの原資は減ってしまいます。怖いのは、賃金が上がらず円安だけが手元に残る未来です。国民の実質的な所得は減り物価高の打撃は大きくなるので最悪のシナリオと言ってもいいです。
日銀は利上げによる景気の腰折れを心配しているので、仮に利上げトレンドに持っていく場合は、解除後半年から1年かけて、恐る恐る利上げをしていくと思います。企業の投資意欲や個人消費にショックを与えない範囲での利上げとなるため、政策金利の利上げは0.5%が精いっぱいで、なかなか1%までは上げにくいかなと思います。0.5%までの利上げであれば2007年にも過去実現していますし、今回は、2013年以降、異次元と言われる大規模な金融緩和をやった後なだけにもっと利上げ出来なければ、異次元緩和は大失敗と評価される可能性も否めません。日銀もそれは避けたいと考えているかもしれません。
日銀の植田和男総裁の任期はあと4年間あります。現段階ではなかなか年内の利上げ幅が読めない状況ではありますが、長期的に考えるとFRBの利下げ終了が見込める2026年以降の、利上げの「第2ステージ始動」にも注目していきたいと思います。
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