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日銀によるマイナス金利解除後1ヶ月が経過し、各所徐々に変化が現れてきましたが今後の金融政策(追加利上げなど)を政治との関係性も含め考えたいと思います。
日銀が3月に、マイナス金利を解除し、「異次元緩和」と称された一連の金融緩和政策を転換しました。これを受けて政治関係者間の反応は大きく3つに分かれています。1つはデフレ圧力がなお残る中で、政策転換は時期尚早とする一派で、その対極が、少子高齢化など日本の構造問題を棚上げしたまま金融政策に過度に傾斜した異次元緩和はそもそも間違いで、もっと早い時期に正常化すべきだったとする立場です。あとは、ようやく正常化できる経済情勢にシフトしてきているので、このチャンスを生かすべきだとするのが両者の中間の考え方となります。
異次元緩和終了は時期尚早とする一派はアベノミクスの正当性に固執し、これまでの論理の延長で日銀の決定を批判的にみています。しかし、今やこの議論は広がりを欠いており、株価や賃金が上昇しているという経済環境の変化もさることながら、政治資金問題などで自民党内でも派閥が自壊作用を起こしている状況です。一方、異次元緩和への否定的評価が強すぎるあまり、過去10年間を「時間の浪費」と切り捨てる側もどこか感情的にみえ議論の本質を欠いていように思えます。異次元緩和は微益なのにまだ見ぬ弊害があまりに大きいとの批判には一理ありますが、今後の金融政策も政治的、社会的環境に大きく左右される可能性も否めません。
安倍政権が最も注力したのが日本の安全保障法制の再構築でした。中国の台頭など国際環境が激変する中で、安全保障強化とその先の憲法改正こそが最優先とし、経済政策は可能な限り目先の景気配慮に特化して批判を封じ込め、最優先の政治課題の足枷にならないことが何よりも重要でした。その結果、貨幣数量説を信奉するリフレ派を取り込んで日銀を抑え込み、歴代首相が誰も成し遂げたことのない「2度の消費税率引き上げ」を実現させることで財務省をも納得させる手腕はさすがというものでした。
岸田政権以降、異次元緩和終了で「脱アベノミクス」には踏み出したものの、政治資金問題をきっかけに自民党の統治構造も制度疲労の域に達しつつある状況です。こうした政治情勢下で、日銀は粛々と利上げに進んでいけるかどうか少々不安が残ります。今後は選挙も控えているため利上げが世論にどう評価されるか慎重になっているのも事実です。さらに、止まらぬ円安で内需にも影りが出てきています。輸入コストが上昇すれば値上がりにも直結し、今後国内消費の回復が遅れる恐れも出てきます。しかしながら、円の魅力を高めるために利上げするとなればそれはそれで生活を圧迫しかねないこともあり難しい選択となります。
マイナス金利解除後、金融業界ではどのような変化が出てきているのでしょうか?
日銀が公表した3月の当座預金残高によると、3メガバンクを含む都市銀行の残高が前月から約23兆円増加し、208兆3940億円にまで膨れ上がってきています。3月以降、平均残高で当座預金の一部にマイナス金利を適用する政策が廃止されたことで残高が増えてきています。マイナス金利の解除以降は、法定準備を除く超過準備額に0.1%の金利をつけており、法定準備分を除く約202兆円の残高が維持されると考えると、日銀は年換算で2000億円規模の利息を大手銀に支払うことになります。これまでは日銀にお金を預けすぎると、金融機関側に利払い負担が生じる構図だったため、銀行はマイナス金利の適用を回避するため余剰資金の運用をすることで経済効果を促進する狙いがありました。各銀行とも短期の資金をやりとりする市場に資金を放出するなどしてマイナス金利の適用を免れていました。しかし今後は、短期市場では大手銀が資金の取り手に転じる動きが出始めており、運用先の選択肢が広がったことで、無担保コール翌日物や5年以下の国債などで柔軟な運用ができるようになってきています。今後の追加利上げに注目が集まる中、利上げによりプラス要素もマイナス要素も含んだトレードオフ的なシミュレーション結果が日銀の判断を鈍らせていることは間違いありません。そして、金融政策自体が政治的要素で影響を受ける可能性もあるため今後、日銀との連携にも注目が集まりそうです。
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