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マンションブームを牽引するタワマン乱立の実態

タワーマンション

山田 恵二

筆者 山田 恵二

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当社でも多く扱っているタワーマンションですが、昨今のマンションブームを牽引している裏側には乱立しているエリアで問題視されている現状もあります。本日はこちらの話題についてご紹介したいと思います。


私自身も実際に工業系地域のタワーマンションに居住していた実体験もあり、人口増加が先で後付けでインフラを整備していく都市計画に疑問がありました。特に、教育機関と小児医療機関の少なさには生活面で困った記憶がありました。果たしてどうしてこのような状況になるのでしょうか?

湾岸エリアの工業地域などで規制緩和により多く建設されている現状がありその周辺では人口増加に伴うインフラ整備等、生活する環境づくりにも壁が多くあります。そして今、工場などが建つ「工業系地域」の人口が増え、学校不足や交通の逼迫を現実位的に招いています。日本経済新聞が分析したデータによると東京23区、大阪市、名古屋市の人口の2割にあたる267万人が同地域に住んでいるそうです。タワーマンションが工場跡地に林立する中、用途地域の規制などが壁になりインフラ整備が追いついていません。今後は、こうした現状を踏まえ都市の変化に合わせた規制を自治体含めた行政が修正していく必要がありそうです。
都心でも特にタワーマンションの建設ラッシュが目立った江東区豊洲エリアでは小学校問題の壁にぶつかっています。2015年に開校した豊洲西小学校では開校時に比べ児童数は4倍の1100人超になり、34クラスに増えました。2021年に新校舎を設け39クラスまで対応可能とのことですが限界は近い状況です。そして、隣接エリアのうち小学校を原則造れない「工業地域」にタワマンが相次ぎ完成し、学校が造れる「準工業地域」にある同校に児童が流れ込むという現象にも驚きです。

そもそも、こうした街の区分けは1919年制定の市街地建築物法から始まりました。都市の健全な発展を促し、秩序のない膨張を防ぐことが目的で、工場を住宅地から分離するために「住居」「商業」「工業」「未指定」の4地域に分けた経緯があります。現在は建築基準法と都市計画法に基づき、住居系、商業系、未指定を統合した工業系で計13地域に分けて規制しています。はたして、この自治体が決めた用途地域に沿って街はつくられているのか?この疑問にも、日経新聞は東京23区、大阪市、名古屋市の用途地域と、2020年と比較可能な2005年の国勢調査から算出した250m四方の人口を重ねて分析したデータが面白い結果をはじき出しています。

興味深いのは工業系での人口急増です。東京23区は同地域の人口が180万人と全体の19%を占めており、2005年より17%増え、増加率は住居系の11%を上回っています。居住者が多いタワマンの増加が一因で、不動産情報サイトのデータを基に集計すると、23区の工業系地域に約160棟と都区部全体の約3割を占めていました。総戸数は約7万6000戸に上ります。

このデータ結果は、都市部だけの問題ではなくなってきています。大阪市も同地域の人口は約53万人と全体の19%を占めており、住居系の人口が2005年比で2%減ったのに対し、工業系は7%増えているそうです。名古屋市も約34万人で全体の15%を占め、増加率は4%と住居系の3%を上回る結果になっているそうです。難しいのはもともとある工場も近隣住民から騒音や振動への苦情が増え、廃業や郊外への移転を余儀なくされているところです。東京23区、大阪市、名古屋市の2021年の製造業の事業所数は2012年と比べると3〜4割減っているそうです。

工業系で住宅が増える背景には用途規制の緩さがあります。

かつて未指定地域だった準工業地域は危険性が大きい工場などを除き、何でも建設できます。そこに都心部の定住人口の回復を進める政策やマンション建設技術の進化が重なり、住宅と工場が混在するようになりました。住居系の地価が高騰するなか、準工業地域は比較的手ごろで消費者が購入しやすかったことも宅地化を後押ししています。また、後利用として工場用地を所有している企業側にとっても再開発事業を請け負うデベロッパーが買取先として手を挙げてくれる事自体は渡りに船という状況もあります。

デベロッパーが目をつけたポイントとしては、工業地域は学校や病院などを除けばほとんどの建物を造れるところです。工場の移転によって開発余地が大きい土地が生まれたことで、タワーマンションが続々と進出し、急速な人口増で学校や交通など生活にかかわるインフラ不足が起きてしまったわけです。解決には用途地域を工業系から住居系に変えるのが一案ではありますが、自治体としては悩ましい問題もあります。規制内容の変更で現在の工場などが「既存不適格」とされ、建て替えができなくなると、事業者らが反発する恐れがあるためです。

住民獲得を巡る自治体間の競争も激化し、開発しやすい工業系地域を残しておきたいとの思惑ものぞきます。その結果、工業系なのに実質はタワマン街など、用途地域と実際の土地利用がずれるエリアが目立つようになってきました。実際、東京都自体は街として完成され成熟しているのもあり用途変更を進んでする必要性も欠け、逆に変更することでの弊害の方が大きな問題にもなりえます。しかし、今後地方都市含めた都心近郊での再開発においていえば、行政は各地区の用途地域を適切に変えながら、都市の将来像を市民にわかりやすく示すべきかもしれません。今後、土地利用を転換する際には、インフラ整備とのバランスを取りながら開発を進める必要があります。

一方、こうした問題を横目に住宅と工場の共存を図る動きも出てきています。中小企業が集積する大阪府東大阪市は2013年に「住工共生のまちづくり条例」を施行しました。工場の騒音・振動対策に補助金を出し、一部地区は住宅の立地を制限するものです。モノづくり支援室は「住民の住環境は大事だが、製造業の集積も市の存立基盤だ」としています。その他、東京都板橋区では2020年、工業系地域に関する土地利用のあり方の方針を策定しました。京都市も2023年、マンションを新築する際は、事業者が入居予定者に対し、工場の操業による騒音や振動などが生じるとの事前説明を求めるようにする動きも出始めています。とはいえ、都市にも人々の生活を支え、雇用を生む都市型の製造業が必要です。日本も公有財産や補助金を活用し、製造業の避難場所を確保すべきです。

本日ご紹介した工業系地域以外でも、都心部の人口一極集中については以前より問題視されてきていますが、結論、やはり生活利便性の高いエリアに人口が流入していくのは常です。そうした状況を踏まえると、住工共生への積極的な転換を含め、地域の特徴を生かした将来像を行政や住民が考えていくことの方が都市の競争力強化につながる結果になりそうです。

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