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本日は、当社へのお問い合わせでも今年に入り1番多い「タワーマンション購入による節税効果は?」いわゆる「タワマン節税」について、今年から居住用の区分所有マンションに対する評価方法が変わったことで従前の評価とどのような違いが出るのか?についてご紹介したいと思います。
区分所有マンションの評価方法が改正され、今年令和6年1月1日以降の相続・贈与より居住用区分マンションの評価額が引き上げられることになりました。これはタワーマンションなどのマンション購入による過度な相続税の節税を問題視した国税庁により、その評価方法が見直されたためです。
この新ルールにより、タワマン節税の効果が見込めなくなったのでしょうか??
結論から言うと、以前(〜令和5年まで)よりは評価額が上がり節税効果自体はが減りましたが、相続時の評価減としてのパフォーマンス力は他の金融商品に比べても十分に効果が期待出来ます。
そもそも、「タワマン節税」とは、タワーマンション特有の性質を活用して、相続税の対象となる財産の評価額(相続税評価額)を実際の時価よりも大幅に軽減する手法を一般的にこう呼びます。相続税は、相続財産が多いほど税率が高くなる「超過累進課税方式」を取っているため、少しでもこの相続税評価額を押さえることが、節税のポイントになってきます。現金や有価証券などは、原則として相続が開始された時点での時価が相続税評価額となるのに対し、不動産の場合は時価よりも低く見積もられることが大きな要因です。
ではどのくらい低く評価されるかと言うと、まず不動産の相続税評価額は「時価の7~8割に抑えられて計算される」という点があります。例えば1億円の現金を相続する場合、相続税評価額としてはそのままの価値で「1億円」です。しかしその1億円でマンションを購入した場合、マンションの相続税評価額はおよそ7~8,000万円になることから、現金として財産を相続するよりもマンションを相続したほうが、相続税の対象となる財産額が少なく計算されるのです。また不動産の中でも、特にタワーマンションの場合は、いつかの特徴から通常のマンションと比較して実勢価格(市場で取引される売買価格)との評価乖離が大きく結果的に節税効果を生むポイントがありました。
まずタワーマンションは、1つのマンションの敷地に多くの部屋が存在します。高層建築で縦に長い構造になっているため、1棟の土地面積は限られていても、多くの部屋を所有することができます。またタワーマンションは、高層階の部屋ほど日照や眺望が良く人気が高いため、市場価値が相対的に高い傾向がありその評価の度合いが大きければ大きいほど当然に相続評価とは乖離していくわけです。ここでポイントになるのが相続税の計算上では、その市場価値を考慮することが出来ないと言うところです。これらの相続税評価の仕組みによって、実際の購入価格と評価額とでは大きく乖離し、より高層階を購入できる富裕層に優位性が出てしまう盲点があったのです。不動産の相続税評価額は、土地と建物に分けて算定する必要がありますが、土地の評価額の計算には「所有面積」が用いられます。タワーマンションのように1つの土地で戸数が多い物件ほど、1戸あたりの土地の持分が小さくなるため、1戸あたりの土地の評価額が安くなります。また1戸あたりの土地の評価額は、広さで均等に割る「持分計算」により算定されます。この場合、高層階と低層階で専有面積が同じであれば、土地の評価額も同じになります。
こうした背景のなか、裁判例でも注目される事態に。。
過去の裁判例において、タワーマンションを含む不動産の相続財産が、実際の市場価格と比べて過小評価される例が散見されました。これにより、相続財産の評価額が実際の取引価格から大きく逸脱するケースが発生していました。この事態は、公平な租税評価の確保を欠いているとされ、租税回避の懸念を引き起こしていました。
過去のSANSHIN pickでもこの話題は取り上げました、社会的にも注目され原告側(地主側)が敗訴となり追徴課税される結果となりました。こうした、既成事実ができたことでいよいよ法改正の流れができたようにも思えます。また、今までの「あたりまえ」であった土地評価の絶対的ルールとも言える路線価における評価が否認されたことで、我々不動産業界や税務業界でも大きな話題を呼びました。
このような背景によって、タワーマンションを含む不動産の評価方法に改正が加えられることになった経緯があります。税制改正の主な目的は「公平な租税評価の確保」と「租税回避の抑制」です。本来、相続税というものは「富の再分配」を目的としています。裕福な家庭に生まれた人はずっと裕福に、貧困家庭の人はずっと貧しいという格差を生み出さないための課税です。今回の新しい評価方法の導入によって、市場価格との乖離を是正し、適正な税収の確保が期待されています。一方で不動産の選定の仕方にも変化が出てきています。以前にも増して、相続評価も加味した割安な物件選びが求められるようになってきました。
では、どこが変わったのか?ここで、改正案による評価方法の変更点をまとめたいと思います!
一般的に、タワーマンションの方が一戸建てや低階層のマンションに比べて市場価値が高いとされます。この特性を評価額に反映できるよう、計算式に新たに「乖離率」や「評価水準」という指標が導入されます。
タワマンに適用される新しい評価額の計算式(基本形)は、以下の通りです。
【現行評価額 × 評価乖離率 × 評価水準(最低評価水準0.6)】
この計算式に含まれる評価乖離率と評価水準については、次項で解説します。
[POINT①]市場価格との「乖離率」!
上述したように、タワーマンションの相続税評価額と時価(市場売買価格)との間には、しばしば大きな差が生じることが問題視されてきました。このため、市場価格と相続税評価額の乖離の幅を示す「乖離率」という指標ができました。
乖離率は、市場価格と相続税評価額の比率を示す数値であり、次のように計算されます。
【 乖離率 = 市場価格 ÷ 相続税評価額 】
具体的な数値例として、国税庁の資料では乖離率の推移が以下の通り示されています。
⚫️平成28年→2.30
⚫️平成29年→2.40
⚫️平成30年→2.34
この数値は、市場価格と相続税評価額の間にどれだけの乖離があるかを示しており、数値が高いほどその差が大きいことを意味します。タワーマンションなどの高額不動産では、この乖離が特に顕著に現れることがあり、税制改革が行われる背景となった可能性があります。
[POINT②]評価乖離率には築年数や階数などの具体的要素が加味される
評価乖離率は、タワーマンションの評価額と市場価格の乖離度を計算するための指標です。実態と計算値に大きな差が生じないよう、実際の計算方法としては、マンションの評価に大きく左右する下の(1)〜(4)の要素が含まれます。
(1)築年数
マンションの築年数が評価乖離率に影響を与えます。築年数が新しいほど評価乖離率は低くなり、古い場合は高くなります。築年数が増加すると評価乖離率がマイナス方向に影響します。
(2)総階数指数(総階数÷33)
マンションの総階数を33で割った値が1.0を超える場合は1.0となります。これは高層建築物における階数の影響を補正するための要素です。高層階ほど評価が高い傾向があるため、総階数指数が高いほど評価乖離率は高くなります。
(3)対象となる部屋の所在階
評価対象となる部屋の所在階も評価乖離率に影響を与えます。高層階の部屋ほど評価が高いため、所在階が高いほど評価乖離率は低くなります。
(4)対象となる部屋の敷地持分狭小度
一室の利用権の面積を専有面積で割った値です。敷地持分狭小度が高いほど、一室あたりの所有権の割合が低くなり、評価乖離率は高くなります。
上記(1)〜(4)の要素を以下の公式に当てはめ、評価乖離率を算出します
【評価乖離率の計算式】
(1)×▲0.033+(2)×0.239+(3)×0.018+(4)×▲1.195+3.220
[POINT③]評価水準が導入される
評価水準は、新しい評価額の計算方法において重要な要素であり、市場価格に対する公平な評価を確保するために導入されます。評価水準はこの乖離率を逆転させる形で計算され、評価額を市場価格の最低6割程度にすることを目指します。
この評価水準の計算には、先ほど計算した評価乖離率を利用します。
評価水準=1 ÷ 評価乖離率
この計算の結果から以下の3パターンで計算することになります。
(1)評価水準 > 1
この場合、現行の相続税評価額が市場価格よりも高いことを示します。
評価水準=現行評価額 × 評価乖離率で計算します。
(2)0.6 ≦ 評価水準 ≦ 1
この場合、現行の相続税評価が市場価値と大きく差がないことを示します。
評価水準=現行評価額で計算します。
(3)評価水準 < 0.6
この場合、現行評価額が市場価格より大幅に低いことを示します。
税制改正大綱では、この(3)に該当する部分を是正する目的があったと考えられています。
評価水準=現行評価額 × 評価乖離率 × 0.6で計算します。
出典:国税庁『マンションの相続税評価額と市場価格の乖離率の推移』
タワマンの新しい評価額が適用される時期
タワマンの新しい評価額は、令和6年1月1日以降に相続・贈与で取得するマンションに対して適用されます。この時期から、改定された評価方法に基づいてタワーマンションなどの不動産の評価額が算定されることになります。物件によっては、令和5年12月31日時点での評価と令和6年1月1日時点での評価が倍近く違う物件もあります。今後はより一層、タワーマンションを含む不動産の所有者や相続人、税務関係の専門家は、改定された評価方法の適用時期や影響について正確な情報を把握することが求められます。また、改定された評価方法の適用に伴い、税務申告や手続きに変更が生じる可能性があるため、事前に十分な準備を行うことが推奨されます。そのため、今の段階から税金問題について相談できる専門家を探しておくなど、事前の準備を進めておきましょう。
不動産選定の一つとして「相続評価額」から逆算する考え方も重要です!
評価額と実際の市場価格の差に着目して節税に活用されてきたタワマン節税ですが、税制改正による影響で、今後はより実態に沿った計算方法に変更される見通しになりました。タワマン節税を念頭に物件の取得を考えていた方は、新しい税制になっても支障が出ないように対応する必要があります。とはいえ、冒頭でも申し上げた通りマンションの中でもタワーマンションの評価減率は未だ効果性が高いとも言えます。不動産は「住める金融資産」です。出口(実需なのか投資なのか?)をどのように持っていくかが不動産選定の肝となります。今後、日銀による利上げや金融緩和策解除、米国による利上げ施策、それに伴う株価変動や為替変動を考慮してどの金融資産を上手に運用するか改めて考えなくてはいけないです。
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