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短期金利いよいよ0.5%に引き上げ決定

金融

山田 恵二

筆者 山田 恵二

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本日は、先日行われました日銀による金融政策決定会合にてマイナス金利解除後以降3回目の「利上げ」が発表された話題についてご紹介したいと思います。


日銀は先日開いた金融政策決定会合で、政策金利とする短期金利(無担保コール翌日物レート)を0.25%から0.5%に引き上げると決めました。植田和男総裁は同日の記者会見で今後も利上げを続ける方針を表明しつつ、「ペースやタイミングは経済・金融情勢次第で予断は持っていない」との考えを示しました。本来インフレファイターな日銀においては、来月に控える2024年の経済成長率発表前に先手を打った様にも感じてしまいます。今回の局面では需給ギャップがマイナスの局面で利上げに踏み切っていることからすれば、いかに今回の利上げがマクロファンダメンタルズ以外の要因で実施されたかがわかります。

利上げは2024年3月のマイナス金利解除以降では3回目となり、政策金利が0.5%になるのはリーマン危機前のなんと2007年2月~2008年10月以来となります。1995年9月以降、政策金利が0.5%を超えたことがなく、金利水準は過去30年間で最も高くなります。預金金利も上がるとは言え、融資面では今後まだ残債のある住宅ローンを筆頭に低金利の恩恵を受けてきた世の中の30代や40代以降の世代にとっても未知の領域に入りました。

そんな中、気になる各行の動きとしては三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクと三井住友信託銀行は、日銀が同日に追加利上げを決めたことを受け、普通預金金利を3月より0.1%から0.2%に引き上げると発表しました。0.2%になるのは2008年11月以来、17年ぶりとなります。三菱UFJ銀行と三井住友銀行は、住宅ローン利用者の大半が使う変動型金利の指標となる短期プライムレート(以降、短プラ)も引き上げると発表しています。

適用日は三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行が3月3日、三井住友銀行は3月17日とそれぞれ発表しました。日銀が政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.5%へ引き上げると決めたことを踏まえ、普通預金金利の引き上げは2024年7月の利上げを受け、同年9月に引き上げて以来となります。今回の引き上げにより、2024年3月のマイナス金利政策解除前に0.001%だった普通預金金利は200倍に上昇するということになります。あわせて三菱UFJ銀行と三井住友銀行が短プラを年1.625%から1.875%に引き上げることも発表しました。短プラは変動型住宅ローンの基準金利の指標になります。新規の借り入れ分は4月から、既存利用者は6月の返済分から順次、新たな短プラを反映した基準金利が適用される見込みです。短プラの上昇で住宅ローン利用世帯の負担感は増すことになります。ここでポイントになるのは、団塊世代に比べ預金額も減り、融資に頼る傾向のある現役世代にどのように影響が出るかです。特に、20代や30代前半の若い世代の共働き世帯は都心のマンション購入に際し、住宅ローンをペアローンで組む方も多い中家計に影響が出ることは間違い無いかと思います。

さらに、ここで注目しなくては行けないのがあおぞら銀行が、ネット専業口座の普通預金金利を2月1日に現在の0.2%から0.35%に引き上げると発表したことです。これはメガバンクを上回る水準です。ネット専業の大和ネクスト銀行が2月3日から0.2%に引き上げるほか、りそな銀行や横浜銀行も普通預金金利を引き上げる方向のようで、地方銀行などで追随する動きが相次ぐ見通しです。ネット銀行は独自の金利設定が勝機となり新規顧客獲得してきましたが今後利上げにおいてもどの様な判断を下すのか注目が集まりそうです。

日銀の植田総裁は利上げの理由について、昨年に続きしっかりとした賃上げが見込まれると判断した事が大きい様で、トランプ米大統領が就任した後も金融資本市場は全体として落ち着いているの判断から今回の決定に至った様です。

円安が背景にあることも思惑としてあると思います。しかし、本来為替相場の影響を受けて利上げの判断はできない立場にある日銀なのであくまで物価上昇を理由にしています。日銀は2024年度の生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)上昇率の見通しを前年度比2.7%と、昨年10月時点の2.5%から上方修正しました。2025年度の見通しは2.4%、2026年度の見通しも2.0%とそれぞれ0.5ポイント、0.1ポイント引き上げています。物価上昇、さらには賃上げが成立すれば利上げ判断への十分な後押しとなります。予想よりも前倒しした今回の上方修正は円安に伴う輸入物価の上振れがあり、2%目標の持続的・安定的な実現という観点から金融緩和度合いを調整することが適切と判断したように思えます。過去と比べると為替変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面もあるとも指摘していました。ですが正直、現在の物価上昇は質が違う点が危惧されます。完全にコストプッシュ型なのでどこまで今後続くであろう利上げに国民が耐えられるか?もっと言ってしまうと今後日本の経済の中心になるべき若い世代のキャッシュフローは維持出来るのか?既に住宅ローンを組んでいるこうした若い世代には不安も残ります。

今回の利上げ後もなお緩和的な金融環境が続いているとの認識も示し、経済・物価の見通しが実現する確度が高まれば引き続き金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくという基本的な考え方に変わりはないと強調していました。今後の利上げペースについては、日銀内部では「半年に1回程度だろう」との声があります。トランプ大統領就任後予想よりも早く市場に影響が出ている影響を鑑みて利上げペースを早めていけば我々不動産業界にも大きな影響が及ぶことは間違いありません。金利上昇が続けば、ペースや度合いによっては、価格の調整を各デベロッパーは検討しなければなりません。中古市場においても、流通活性させるには今の様な高価格帯でどこまで消費者が向き合ってくれるのかも疑問です。今後、さらに神経質になりそうな日米金利差やそれに伴う為替・物価・賃上げが全ての判断材料になることは言うまでもありません。

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