利上げ対策、各銀行の対応とは⁉︎
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本日は、各銀行の利上げに伴い顧客獲得競争が激化してきている話題についてご紹介したいと思います!
銀行の普通預金にゼロに等しかった「利息」が戻ってきています。1月の日銀の追加利上げに伴い、先日3メガバンクやゆうちょ銀行は3月から金利を現在の2倍の0.2%に引き上げると発表がありました。メガバンクで0.2%になるのは2008年11月以来17年ぶりのことです。PayPay銀行は円とドル両方を預けると金利を2%にし、SBI新生銀行は高齢者や若年層に絞って通常より高い金利を設定する面白い試みを始めます。年齢や取引内容を条件に優遇策を競っており、稼ぎの源になる預金獲得をめざしています。メガバンクはマイナス金利政策が導入された2016年2月に、普通預金金利をそれまでの0.02%から0.001%に引き下げました。0.001%で8年据え置かれた普通預金金利はこの1年で200倍の水準に上昇することになります。100万円預けた場合、利息は1年で9円(税引き後)しかつかなかったが、今後は1594円つくようになり、個人への恩恵は増します。
横並びの水準から一線を画す銀行もあります。島根銀行は2月からスマートフォン支店の普通預金金利を年0.35%から0.5%に引き上げ話題になりっています。無条件では国内金融機関で最高水準となります。とりわけ地域金融機関は顧客の高齢化や相続などで預金流出への危機感は強く、高い金利を提示して全国から預金を集める狙いがあります。各銀行はあの手この手の優遇策で高金利をアピールしてこうした預金獲得に動いています。東京スター銀行は3月から条件付きで普通預金金利を0.6%にし、給与や年金の振込口座に指定した預金者と資産運用商品を300万円以上持ち、NISA口座を保有して投資信託を購入した預金者が対象とすることでメイン口座の変更を促しています。
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そんな中、株式市場で好調さが際立つ銀行株において選別が進んでいるのも面白いです。今のところ市場の関心が集まるのは主力のメガバンクではなくネット銀行株のようです。金利が歴史的な水準に上昇するなか、デジタル技術を駆使して預金を効率的に獲得できる点が評価されているようで、マイナス金利からの脱却が業界構造を変えつつあります。メガバンクを上回るリターンが見込めるネット銀行に資金が流れているようで、今後もメガバンクよりもレスポンスの早いネット銀行に投資家からも注目が集まりそうです。
そのネット銀行の預金金利はどうかというと、冒頭でお伝えした通りPayPay銀行が2024年12月から、円と米ドルの両方を預け入れた場合の普通預金の金利を年2%にしました。3月以降のメガバンクの水準の10倍となります。円と米ドルを50万円ずつ計100万円を預けた場合、為替変動がなければ月約1300円(税引き後)の利息を受け取れるという仕組みです。auじぶん銀行は3月から、auスマホの特定料金プランの利用などの条件を満たすと最大で0.51%にするようです。やはり、スマホキャリアやキャッシュレスとの連携は若い世代を中心に強いです。こうした普通預金金利で利用者を引きつけ、外貨預金や投資信託など収益性の高い商品を販売できれば総合採算はとりやすいという狙いがあります。
興味深いのは、ターゲットを若い世代だけでに絞っていないところです。SBI新生銀行は4月から満60歳以上の個人顧客の普通預金金利を通常の約2倍にあたる年0.4%に引き上げると発表し注目されています。同時に提携するコンビニのATMの入出金手数料も無料になります。保有する金融資産の多い高齢世代を優遇し、預金量の拡大を目指す考えがあり、新たにつくる60歳以上向けの無料会員制サービスに申し込んだ預金者に0.4%の普通預金金利を適用する戦略です。入会するには家族構成や資産運用状況などのアンケートに答える必要があり、長期的な相続や金融商品の提案にも繋げる狙いがありそうです。SBI新生銀行の普通預金金利は現在0.11%で、日銀の1月の追加利上げを受けて3月3日から0.21%に引き上げる予定です。メガバンクも3月以降に普通預金金利を0.2%に引き上げるが、SBI新生銀が60歳以上に適用する0.4%の金利はその2倍の水準となるためこれはインパクト大です。SBI新生銀行が60歳以上の顧客を対象に金利引き上げに動くのは、預金量を伸ばす余地が大きいからです。50代以下の世代に比べて金融資産を多く持ち、退職金の受け取りや相続などまとまったお金が入る機会もあります。SBI新生銀行のデータでは、60~65歳の平均預金残高が1人あたり280万円と年代別では金額が最も多い一方で、60歳以上の預金者の割合は27%にとどまるそうです。預金金利の優遇によって、現在100万弱の60歳以上の口座数を年15万口座程度上積みしていきたい考えです。その他、2024年12月には長期的な取引を狙って28歳以下の金利の優遇を始めるなど、年齢で区切ることで特別感を高める面白い試作です。
普通預金は一般的に、金利より利便性で選ぶ商品とされており、金利競争で獲得した逃げ足の速い預金は量を増やしてもあまり意味がないと冷静にみている銀行も少なくありません。特に、大手銀はネット銀などと比べて金利が低くても店舗が近くにあるなどの理由で預金をつなぎとめることも可能です。市場金利の上昇に対し、銀行が預金金利をどれだけ引き上げたかを示す「追随率」は2024年3月以降の3回の利上げの累積でおよそ40%だったそうです。普通預金金利の決定には業界のプライスリーダーが存在し、その決定に依存する傾向があります。今後の追加利上げでも追随率が40%と仮定すると、メガバンクの普通預金金利は単純計算で政策金利が0.75%になると0.3%、1%になれば0.4%に上昇することになります。100万円を預ければ1年で3188円(税引き後)の利息がつく計算になります。一方、金利競争の過熱は、銀行経営が不安定になる可能性もはらんでおり怖い一面もあります。預金金利は銀行にとっての調達コストで、引き上げれば収益の負担は増します。金利上昇局面では銀行間の金利差が目立つため、利用者はネットを使って簡単に預金を動かしますが、金利が下がれば急速に預金が流出するリスクもあります。預金金利の引き上げと並行して貸出金利を上げられなければ利ざやは縮小しますが、預金金利を上げなければ流出しかねません。今後、金利上昇局面では金融機関の体力差が浮き彫りになりそうです。
その他、住宅ローンでも新たな取り組みが始まります。三井住友銀行は3月から、インターネット経由で住宅ローンを期限前に完済する時の手数料を無料にすると発表しました。従来は一部を繰り上げ返済する時の手数料を無料にしており、完済時は5500円かかっていました。一方で窓口で全額を返済する場合は手数料を2万2000円から3万3000円に上げ、インターネットを経由した手続きを促して効率化を進めています。SMBCでは、住宅ローンの事前審査も利用者のスマホ端末から行えるようになっておりIT化も着々と進んでいます。また、三井住友銀行が店舗に設置する手続き用のパソコンを使う場合も、これまで繰り上げで完済する時に1万1000円の手数料がかかっていたのを無料にします。三菱UFJ銀行では、期限前の一部繰り上げ返済の手数料がネット経由だと無料で、完済する場合はネットなどの返済手段に応じて1万6500〜3万3000円かかります。みずほ銀行はネットでの繰り上げ返済は一部であれば無償ですが、まだ完済には対応していません。店頭経由で繰り上げで完済すると3万3000円かかる仕組みになっています。金利合戦だけではなくなってきている住宅ローンは長期にわたる顧客獲得にも繋がるため各銀行の命題になっており、今後は、借り換え手数料にもメスが入りそうです。
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