
住宅価格高騰の歯止めになるか⁉︎政府の新たな施策とは
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本日は、自民党が大都市圏のマンション価格の高騰を抑制する政策の検討に入った話題についてご紹介したいと思います。2027年4月の統一地方選をにらみ、党内議論を始めています。現役世代を軸にした生活支援を前面に出す狙いがあり、野党側も賃貸住宅も含めた住宅支援で競う構えのようです。

この議論は自民党の住宅土地・都市政策調査会が中心となり進めており、同日の会合に東京都千代田区の樋口高顕区長、明海大大学院不動産学研究科の中城康彦研究科長、不動産協会の幹部を招いて住宅市場に関する考えを取りまとめているようです。
意見を踏まえ高騰抑制策を立案しているようで、転売目的の短期取引を税制で防ぐ方策などが主な施策となりそうです。具体的な検討策として土地譲渡益重課制度の適用再開を例示しています。個人は5年以下の土地譲渡による事業所得などに52%を課し、法人は土地の譲渡益に所有期間に応じて5〜10%を上乗せする考えのようです。この制度は投機的な土地取引を抑える目的で1973年に設けたものの、バブル崩壊後の1998年から適用を停止しています。不動産経済研究所によると、東京23区の新築マンションの1戸当たり平均価格は2025年度に1億3784万円にまで上昇しており、前年度から18.5%高くなっています。
厚生労働省の統計で、東京都のフルタイム労働者の平均年収は2025年に678万円とういうデータがでており、23区内のマンションの購入は多くの世帯にとって難しいとの声があがっています。自民党は今年2月の衆院選で「首都圏などの投機的売買の抑制」を掲げ話題になりました。党外国人政策本部のプロジェクトチームは10月上旬、対策として「早期の税制上の措置」を求める提言を政府に出しました。実需に基づかない投機的な取引により本来住みたいと考えている方が適正価格で購入できなくなる状況に歯止めをかけたい考えのようです。
現行制度はマンション購入から5年以内の譲渡所得を「短期譲渡所得」として扱い税率を高めに設定しています。売却益を得る場合の税率は所得税や住民税あわせて40%近くになります。5年超所有した場合の「長期譲渡所得」の20%ほどのおよそ2倍にあたる計算です。しかし、自民党内には投機的な取引を防ぐのに現行のままでは不十分だとの声が根強いようで、与党が12月にまとめる税制改正大綱の論点にも浮上しています。
2027年4月に控えている統一地方選に向けて有権者に訴える目玉政策という意味合いも帯びています。大都市部でも多くの首長選や議会選があり、東京都の23特別区のうち22で任期満了に伴う区議選を見込んでいます。住宅購入の時期を迎える子育て世帯の支援に重きを置き、都市部の有権者の関心に対応する具体的な政策が急務となっています。
一方、野党は購入だけでなく賃貸物件に住む層への支援策を視野に入れています。新築マンションの高騰に伴って需要が増え、賃料が上がる状況に対処する考えのようです。国民民主党は物価高対策で公営住宅の家賃の負担軽減を盛り込んでいます。7月には全国の空き家を安価な家賃で貸し出す支援として国がファンドを通じて出資する制度をつくる法案を参院に出し話題になりました。公明党も東京都が官民ファンドを通じて割安な賃貸住宅を整備している例を挙げています。各政党でこの議題には注力しており、次回の選挙でも加熱しそうです。
しかし、不動産価格が急激に下がれば経営状況が悪くなる可能性があるため過度な価格抑制策には副作用があるとの警戒も出始めています。大手行を含めた融資全体に占める不動産の比率は6月に18.2%で、10%前後だったバブル期を上回る勢いです。以前のSANSHIN picksでも取り上げましたが、金融庁によると2025年3月時点で、全国の地方銀行の不動産業向け融資の4分の1ほどが東京の都心5区に集中している現状もあり特に地方銀行への影響は否定できません。さらに、株価上昇などによる資産高は高市早苗政権の高い支持率を支える要素だとの見方があり、不動産価格に連関して株価を下げうる政策は政権にリスクだとの意見も出ているようです。
また、世界に目を向けると住宅価格の高騰問題は各国の政権を揺さぶる論点になっています。住宅を取得しにくくなったり、家賃負担が増えたりすれば政府への不満に直結するためです。外国人の不動産投資に不満が高まり、実際に外国人を対象にした規制も広がっています。スペインでは、住宅対策の否決を受けてサンチェス首相が議会解散を表明したほどです。同国は9月にマドリードの87歳女性が自宅から立ち退かされたことが社会問題になり、住宅対策を求める抗議運動が広がりました。韓国も住宅価格の抑制が大きな政権課題になっています。李在明政権の支持率は足元で下落傾向にあり、9月の韓国ギャラップの調査によると、不支持の理由は「不動産政策」が最も多かったようです。
李氏は不動産投機を何としても必ず打破すると強調し、2025年8月にはソウルなど首都圏で外国人の住宅取得を許可制とし、最低2年間の居住を義務付けるほか2026年8月には住宅の供給拡大策も打ち出して住宅価格の安定を急いでいます。その他、カナダやオーストラリアは外国人による住宅購入を時限的に禁止しました。シンガポールも外国人が住宅を取得する際、60%の追加印紙税を課す制度を実施しています。
日本でも外国人規制が前回の衆院選などで争点となりました。外国人だけを対象に住宅取得を制限する場合、サービス貿易や投資に関する国際協定との整合性が課題となるためセンシティブな一面もあります。こうした部分も加味し、政府は国籍で一律に線を引くのではなく、短期転売など投機性の高い取引に着目した対策を検討する構えのようです。住宅価格の上昇の原因は様々で、根幹には供給不足も問題視されており、投機的取引の抑制だけでなく供給増加を合わせて政策として打たなければ、値下がりの効果は長く続かないとも言われています。
難しいのは議論の中で、高騰要因が実需に基づかない短期売買によるものと断定できていない点で、それを課税強化しても不動産投機は需要の一部であり、抑制してマーケットの平均価格を押し下げる効果はあっても、都心周辺の1億円を超える物件が半額になるわけではないです。 注目されている都心周辺や政令市の各中心部などの一部を除けば、予算内で購入可能な物件が現状でも少なくないなく、実需層が住宅価格高騰で買えないという状況と、都心などの一部地域で不動産投機による価格急騰が進んでいて歯止めがかからないこととは区別して考える必要があるのかもしれません。当然、マイホームを手に入れたい人たちが購入できないという問題は早く解消しなくてはなりません。ただ、投機的にマンションを売買しているのが誰なのかは正直不透明感が否めません。海外の投機マネーということも言われますが、国土交通省の調査によると東京23区の新築マンションでは海外に住所がある人が取得した割合は2025年上半期で3.5%にすぎませんでした。転売の実態も明らかにする必要があります。短期売買を規制するという方向ですが、例えば、転勤によって短期間で売却を余儀なくされた人も対象になるのか、物件を所有する法人ごと転売されたらどうなるのかなど、制度設計で詳細もしっかり詰めていかなくてはなりません。
実際、都心6区の中古マンションの売り出し価格は直近で前月比1.6%下落し5カ月連続の低下となっており、中古の流通戸数は前年比55.7%増え、直近3カ月に値下げした物件は54.2%に達しています。日銀の利上げも需要を抑えるなか、市場による価格調整が今まさに進んでいる最中です。この局面で強い価格抑制策を重ねれば、調整を増幅させる恐れもあります。短期転売への課税強化も、売却を控えさせる可能性に注意が必要であり、投機の実態を検証し、住宅供給の拡大と負担の重い世帯への支援を軸に据えるべきで、まだまだこの話題に関しては「だろう」で見切り発車するには難しく、それに伴う弊害リスクも検証する必要がありそうです。
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