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政策金利据え置き発表!日銀が考える3つのリスクとは?

金融

山田 恵二

筆者 山田 恵二

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本日は、昨日発表された日銀による政策金利据え置きの話題についてご紹介したいと思います。6月に利上げを発表してから日銀は継続的な利上げ目線を変えない姿勢できましたが「今」を切り抜くと米国の金利据え置きの発表と足並みをそろえたようにも思えます。健全かつ確実な金融コントロールが難しい今をどのように切り抜けるのか、世界各国で舵取りに苦戦を強いられています。

日銀は昨日に開いた金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物レートの誘導目標を1.0%に据え置くことを決めました。中東緊迫や原油高が物価の上振れを招くとの懸念から6月の前回会合で利上げに踏み切っており、経済・物価に与える影響を見極める姿勢のようです。

時を同じくして米国でも米連邦準備理事会(FRB)は29日開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置くと発表しました。混迷する中東情勢などが物価にどのような影響を与えるのか、趨勢を見極める模様で、会合に出席したうちの3人はインフレ抑制へ利上げすべきだと主張していることから議会でも満場一致とはならない様子から経済情勢の読みにくさがうかがえます。政策金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利は3.5〜3.75%で、5会合連続で据え置き、結果的に9対3の賛成多数で決まりました。

一方で、利上げ路線は堅持する方針も改めて示しました。日銀は物価の上振れに警戒感を強めており、植田和男総裁は3昨日の記者会見で、インフレ加速を招くリスク要因として中東緊迫に伴う「原油高」と「人工知能(AI)関連需要の拡大」、「円安」の3点を強調しました。リスクが顕在化すれば6月の前回利上げから間を置かずに追加利上げに動く姿勢を鮮明にし市場の先回り予測へ牽制しました。追加利上げの判断材料としては中東情勢や円安・ドル高基調が続く外国為替相場の動向などが経済・物価に及ぼす影響を挙げています。

政策金利の据え置きは9人いる政策委員のうち8人の賛成多数で決定となり、高田創審議委員は海外発の物価の上振れリスクなどを指摘したうえで「機動的な対応が必要な新たな局面に入った」と訴え、1.25%への利上げを提案したが反対多数で否決された結果に終わりました。

為替対策に関しては、政府・日本銀行が30日夜の外国為替市場で円買い・ドル売りの為替介入を実施し、介入規模が6兆~7兆円程度に上るとみられることが昨日わかりました。為替介入は4~5月以来、約3か月ぶりとなり、30日のニューヨーク市場の円相場は1ドル=163円前後で取引されていましたが、介入を受けて一気に5円ほど円が急伸したのち、一時157円台後半をつけ2か月ぶりの円高・ドル安水準となる場面もありました。昨日の東京外国為替市場ではドルを買い戻す動きもあり、1ドル=160円台に戻しましたが、午後6時頃には再び158円台後半まで急騰する場面もあり、荒い値動きとなっています。日銀が昨日公表した当座預金残高の見通し(8月3日時点)では、為替介入で変動する「財政等要因」は8兆2000億円の減少だったようで、事前の市場予測は1兆~2兆円程度の減少で、差額の約6兆~7兆円が介入額と推計されます。4月28日~5月27日の介入規模は過去最大となる総額11・7兆円に上りましたが、その後も円安基調が続いていました。市場関係者によると、米通貨当局は30日に金融機関に為替水準を聞く「レートチェック」を実施していたようで、これは為替介入の準備段階に行われるもので、日米が協調して円安是正に動いたということです。

その他、四半期ごとにまとめる「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」も公表し、2026年度の実質国内総生産(GDP)の伸び率を政策委員見通しの中央値で0.6%と、4月時点の前回予測から0.1ポイント引き上げていました。2027年度も0.1ポイント上げて0.8%としており、世界的に堅調なAI需要や政府の経済対策が景気を下支えするとみています。いかしながら、連日のようにAI関連株は激しいアップダウンを続けており、米国に連動し日本企業の株も大きく影響を受けています。

4月の展望リポートでは中東情勢の緊迫によってサプライチェーンに大規模な混乱が起こるリスクを指摘しました。今回は中東依存度の高い原材料の代替調達が進展していることもありここに関しては、リスクは低下していると予測しているようです。

物価見通しは、生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)の前年度比上昇率について2026年度は2.5%と前回予測から0.3ポイント引き下げました。政府による電気・ガス料金の補助金延長などの効果を織り込んでおり、こうした政策効果が抜け落ちるため、2027年度は2.4%と0.1ポイント上方修正しています。

企業間で取引するモノの価格動向を示す企業物価指数は6月に前年同月比7.1%上昇しています。展望リポートでは企業による価格転嫁が進み今後は消費者段階での幅広い品目の価格上昇に波及していく可能性が高いとの予測を強めています。中長期的な予想インフレ率の上昇にも触れ、一時的な要因を除く基調物価が2%の物価安定目標を超えて上振れしていくリスクがあると強調しています。物価上振れのリスクに関して、AI需要の拡大を挙げ材料・部品などの需要が想定以上に増加した場合には、価格面での上昇圧力が一段と高まるリスクがあると言及しており危機感を募らせてたのが印象的でした。円安の影響で足元の輸入物価が大きく上昇していることは、耐久財をはじめとした幅広い品目の価格を押し上げる方向に作用する可能性も示唆しました。

これまでの利上げを経ても「現在の金融環境は緩和的」との評価を示している点に関しては少々疑問は残りますが、そのうえで物価の安定を目指し引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整するとの表現を踏襲していました。基調物価が2%目標を超えて上昇すれば経済に悪影響を及ぼすと指摘し、そうした事態を防ぐために利上げを続ける必要があると訴えているのが考えのようですが複数回に及ぶ利上げを経てもマクロ的な状況が変わらないのが正直もどかしいところではあります。

冒頭でもご紹介したとおり重ねて強調しているのが、利上げのタイミングやペースを巡る点検項目として、従来の中東情勢に加えて「AI関連の需要の拡大」と「為替相場の変動の影響」を新たに加えていた点です。円買い介入や利上げが焼け石に水とならないためにも特に「為替」への早期安定への解決策を見出したいところです。


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