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戸建需要ますます顕著に

市況

山田 恵二

筆者 山田 恵二

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本日は、価格高騰の続くマンションに対し割安感で需要が高まっている「戸建」に関する話題をご紹介したいと思います。駅前などの立地にこだわる場合はいまだ根強い人気を誇るマンションですが、価格はもちろん広さを求める需要は戸建に需要が流れてきています。

不動産調査会社の東京カンテイが昨日発表した7月の東京23区の新築小規模戸建て住宅の平均希望売り出し価格は前月比0.6%高の9321万円となりました。9000万円台の高値は3カ月連続となり、高騰するマンション相場に比べた割安感が需要を押し上げていることもありこちらも徐々に価格が上昇し始めています。具体的には、敷地面積が50㎡以上100㎡未満の土地付き新築木造一戸建てについて、最寄り駅まで徒歩30分以内またはバスで20分以内の物件を対象に価格を調べると、前年同月と比べると14.6%(1184万円)の上昇となっています。

価格上昇の背景には、資材費や工事の人件費などが高くなっていることがあるのに加え、新築・中古のマンションの相場が高騰したことで相対的に割安感が出た戸建て住宅に需要が流れている影響もあるとの見方があります。東京カンテイのマンションや戸建ての平均希望売り出し価格の推移について、2015年1〜3月期を100として指数化してみると、2026年4〜6月期時点で新築戸建て(建物面積100㎡換算)は173となり、これに対し新築マンション(70㎡換算)は207で、中古マンション(同)は263といずれも上昇基調が強いです。近年のマンションの急上昇に比べれば、戸建ての上昇は相対的に緩やかで、投資用の需要も呼び込み価格が高騰しがちなマンションに対し、実需が大半の戸建てはマンションの上昇についていけない購入層にも選ばれやすくなっているのかもしれません。東日本不動産流通機構によると、東京23区の新築戸建ての成約件数は2025年度に1809件と前年度と比べて75.5%も増えています。

実際の声として戸建てを選ぶメリットを感じる消費者も増えており、ひとつはマンションと同じ程度の予算額で広い居住空間を得やすい点です。マンションは高いのに狭いため、戸建てを選ぶ需要は顕著です。駐車場代や修繕積立金などの費用を抑えられる点に魅力を感じる人も多く家計を考慮すると購入後のランニングコストもなかなかバカにはなりません。

また、高額の戸建て物件が供給されていることも、戸建ての平均価格を押し上げる一因のようです。建築費などが上昇する中で、ハウスメーカーは採算を確保するために、好立地で高価格帯の物件を供給するケースも散見されます。特に、通勤利便性の高さや子どもの教育環境を背景にファミリー世帯に選ばれやすい目黒区や世田谷区、文京区などで増えており戸建てのデメリットであった立地や地域性もカバーした高額商品が出てきています。東京カンテイの調査では、7月は東京23区のうち10区で、新築戸建ての平均希望売り出し価格が1億円を超えているようです。1億円を超えるマンション「億ション」が定着した東京で「億戸建て」も増えていく流れにあります。

戸建て価格が下がることは当面考えにくく、東京23区の上昇基調は続く可能性は大きいです。都心が高くなれば、需要は交通利便性のよい郊外に広がりそうです。7月は東京都の23区以外が前月比0.1%高の5476万円、横浜市は5.1%高の5542万円、川崎市は4.8%高の6096万円、相模原市は3.7%高の4676万円、千葉市は1.8%高の4419万円となっており、都内の検討者もマンション同様価格高騰が続けば郊外へ候補地が拡大することは間違いありません。

そんな中、作り手や販売側も大きな潮目を迎えています。資材を安定して調達できる企業と、できない企業の差が鮮明になっているからです。木材や断熱材、住宅設備などの価格高騰に加え、2026年は石油化学製品やナフサの供給不安も重なり、建築資材の値上がりや納期遅延が深刻化しています。大手住宅メーカーは、豊富な資金力や大量仕入れによる価格交渉力、複数の調達ルートを持つため、資材不足への対応力があります。一方、地域の中小工務店は仕入れ量が少なく、価格交渉力も限られるため、売れば売るほど利益が減る状況に陥る危険性があります。実際、建設関連では資材価格や供給制約の影響を受け、倒産リスクが高まっています。塗装・防水工事では2026年1~5月の倒産が80件に達し、過去最多だった前年に次ぐペースです。住宅需要が下がらない今、これからの住宅会社に求められるのは、単に受注を増やすことではありません。仕入れ先の確保、共同購入、規格化、適正な価格転嫁、在庫管理など「調達力」そのものが経営力になる時代です。中小工務店にとっては、地域との信頼関係に加え、企業同士が連携して調達力を高めることが、生き残りの重要な鍵になりそうです。安定供給ができるかどうかも外部要因が強く影響を及ぼす住宅業界で今後、企業としても生き残るべく新たなイノベーションが求められます。


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