
資産保有の時代から「不動産流動化」へ

4000億円の不動産流動化で社会全体に与える影響とは
創業者・堤康次郎氏が100年以上前、軽井沢などで土地を取得したことが西武グループの不動産事業の起源となっています。戦後は旧華族や旧皇族が都心部などに持っていた不動産を相次ぎ取得し、発展の基盤をつくり周知の「プリンスホテル」で一躍時の企業へと変貌を遂げていきました。そいて、なにより土地を財産として長期保有する「土地本位」経営の典型として各業界に大きな影響を与えたことは間違いありません。
企業が大事に守り続けてきた土地という資産を売却する判断を誤れば、経営の安定を損なうリスクがあります。資産の長期保有に頼らない以上、不動産に対する高度な目利きで収益を上げ続けなければならない宿命を負うことになります。
それでも土地本位のビジネスモデル脱却に踏み切るのはなぜなのか?それは、新型コロナウイルス禍でホテルや鉄道の需要が蒸発し、減損などを伴う財務的な危機に陥り「アセットを持つ怖さと弱みが露呈した」からだと分析しています。日本企業は資本市場から強い圧力を受けがちです。東京証券取引所は2023年、企業に「資本コストや株価を意識した経営」を求めそこから各企業の社会的意義の見直しが始まりました。放置すれば買収の標的になりかねない状況の中、「日本の大地主」といわれた西武流の経営は続けられないとの危機感が出てきました。
現会長の後藤氏は、創業家2代目の堤義明氏が04年に証券取引法違反事件で失脚したあと、信用不安が広がるなか主要取引行のみずほコーポレート銀行の副頭取だった同氏に白羽の矢が立ち2005年、西武鉄道社長に就きました。主要企業のコクドやプリンスホテルと合併する再建案を後藤氏は退け、持ち株会社方式に切り替え注目を集めました。創業家などの複雑な利害が絡むグループ再編を進めつつ、従業員の精神的支柱となるグループビジョンを2006年に制定し、西武HDを始動させました。
当時の苦境を財務的に救ったのは米投資会社サーベラスでした。しかし、外資スポンサーとの経営方針にはズレが出てきてしまい、プロ野球「西武ライオンズ」売却などを求められましたが拒否し、2013年には敵対的TOBを仕掛けられ、粘り強く交渉しなんとか2014年に株式上場にこぎ着けた経緯があります。日本国内では産業界で物言う株主の勢いが増す中、シンガポールの3Dインベストメント・パートナーズが西武HDの一部株式を取得しており、再び物言う株主との緊張関係が、資本効率向上を急ぐ一因になっていることは間違いありません。私鉄業界では20年前、当時村上ファンドの攻勢を受けた阪神電気鉄道を阪急HDが統合する再編劇がありました。その後、時を経て、旧村上ファンド系が京浜急行電鉄の株を取得した経緯があり、再編観測が出ています。
アクティビストが株主還元に対して企業体質にメスを入れることはその企業本来のポテンシャルを引き出す意味で大変大義あることだと思います。実際今回の西武HDのに対しての経営方針転換は、従来の土地本位な保有型から新たな需要還元の流動型へと大きな変革をもたらしています。こうした再開発事業はあらたな社会的資産価値を創出すると同時に、各企業間の新たなイノベーション創出を生み出す可能性を秘めていると思います。こうした長期的投資には、効果や価値が明確に評価されるようになるまでに時間を要しますがそれまでに社会に与える影響も大きいことが重要です。私は、西武HDが打ち出した「不動産回転型ビジネス」が今の現代社会に求められる不動産事業の新しい形のようにも感じます。
今回の西武HDで大きなポイントとされているのは再編で主導権を握れたからです。そのためには、企業価値を高めておくことが不可欠であり、西武HDの時価総額は現在、1.4兆円で私鉄でトップに立っています。現在、株式市場から「持たざる経営」への姿勢がまずは評価されていますが、本当の成否は今後の投資収益次第です。これからは事業ノウハウや人材力といった無形資産が問われてきます。ホテル事業自体も欧米系大手チェーンと同様の、資産を持たず運営を受託するモデルで成長する考えで、M&Aと並行して、ブランド力を高めることが急務になってきそうです。
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