
どこまで続く?建築業界に大打撃の中東問題
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本日は、長引いいております中東発の原料高の余波で国内の建設資材が軒並み値上がりしている話題についてご紹介したいと思います。以前より、取り上げているこの話題は日を増すごとに余波の影響が広がりつつあります。

建設資材のうち問題となっているナフサ(粗製ガソリン)由来のものは、配管用の塩化ビニル管、継手、コード被覆、断熱材、樹脂サッシ、防水シート、シーリング材、アスファルト、樹脂塗料、床材、接着剤・溶剤、合成ゴムに至るまで、実に多岐に渡ります。これらに加えて、システムバスやトイレ、キッチンなどの水回りにも数多くナフサ由来の材料が使用されているので、大袈裟ではなく住宅は木材と金属類、それにナフサでできている、と言っても過言ではないという状況です。当社も、内装事業において前述した商材の入荷見合わせや価格調整の影響を多く受けており「ナフサ」の重要性を実感するとともに国内生産が難儀な現実を改めて突きつけられています。
いったいなぜアメリカとイスラエルが始めた軍事攻撃によって、日本の住宅建設コストが上昇し、供給も不安定になるのか、消費者からするとニュースなど各メディアを通じて理解は可能でも、納得など到底できません。
この中でも特に、塩化ビニール管(以降、塩ビ菅)は最高値を更新し、鉄筋や合板も上昇基調が鮮明となってきています。原油やナフサの相場の高騰が一服しても建材のコスト転嫁は続き、今後建設費は一段と膨らむ見通しとなっています。平常時は注文の当日か翌日に届く塩ビ管が、中東情勢の悪化後は入荷時期が読めない状況が続いています。調達難だけでなく、必要量の確保のため塩ビ管の値上がりも受け止めざるを得ない状況です。
下水道や通気口の配管などに使う塩ビ管は、指標となる薄肉管(VU、4メートル×直径100mm)の卸価格が1本2715円前後と軍事衝突前の2月下旬に比べて実際のところ約12%高くなっています。値上がりは2024年12月以来で、最高値を更新しています。米国とイランの軍事衝突を背景に原油や石油化学原料の価格が高騰し、コスト転嫁のため塩ビ樹脂メーカーが値上げを実行し、樹脂の値上げをのんだ塩ビ管メーカーのクボタケミックスや積水化学工業などが4月以降に表明した転嫁値上げの一部が今回の卸価格に反映されました。石化製品では断熱材や防湿シートなどの原料となる合成樹脂(プラスチック)の価格も急騰しました。ポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレンといった合成樹脂に至っては指標品の大口価格は2月下旬に比べ約3割も高く、こちらも最高値を更新しています。
値上がりは石化製品にとどまりません。鉄鋼では、鉄筋コンクリート造のマンションなどに使う鉄筋(異形棒鋼)の東京地区の取引価格(直径16mm品)が1tで11万2500円前後と2月下旬に比べ6%高くなっています。オフィスビルの梁などに使うH形鋼も東京地区の取引価格が4月に約5%値上がりしました。
その他、木材でも木造住宅の壁や床に使う国産針葉樹合板の国内流通価格が4月から段階的に上昇し、2月下旬に比べて約6%高い水準になりました。柱や梁に使う国産製材品でさえも1〜4%程度高い状況です。
そもそも鉄鋼や木材などの建材市況は2025年から2026年初めにかけて、国内需要の鈍さから総じて弱含みの地合いでした。採算が悪化したメーカーによる原材料や諸経費の増加を理由とした値上げ表明が2025年末ごろから見られ、2026年春にはそうした動きが強まりつつありました。そこに中東情勢が加わり、メーカーは製造・輸送にかかる燃料費や接着剤代、包装資材費なども含めてコスト転嫁の勢いをさらに加速させたというわけです。
国内メーカー各社もこうした動きに合わせ、積水化学工業が塩ビ管で、日本製鉄や東京製鉄がH形鋼で、木材ではセイホクが合板で、メーカーが追加の値上げを打ち出しているなど、直近で値上がりした各品目には一段の上昇圧力もかかっています。衝突後に値上がりしていなかったセメントでも、太平洋セメントなどが新たに2027年4月出荷分から15〜20%程度の値上げを打ち出し話題になりました。
米国とイランが戦闘終結に向けた覚書に署名したことで原油やナフサの相場の高騰は一時一服しましたが、メーカー側は値上げの意向を変えてはいません。今後、値上げ受け入れを避けたい需要家側との交渉は激しくなる可能性もあります。
こうなると、建材の値上がりは建設コストを増加させます。近年の新型コロナウイルス禍やウクライナ危機に伴う建材高や建設労務費の上昇を背景に建設コストは膨らみ、建設物価調査会が示すマンションやオフィスビル、住宅などの建築費指数はすでに過去最高水準で推移しています。建材高が続けば建設費を一段と押し上げそうです。
建設費の上昇はマンションなど不動産価格の高騰の一因になり、ここ数年の工事の延期や建設計画の見直しにもつながっています。需要が鈍いなかでの中東発のコスト転嫁により、さらに建設市場が停滞する恐れもあり今後の新築計画にも不穏な空気が流れています。
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