
都心区分マンションの金融資産性とは⁉︎
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本日は、都心マンションにおける所有者の割合が「人」ではなく「会社」であることが増えている話題にについてご紹介したいと思います。先日の日本経済新聞の調査報道で公開された、不動産登記上の公開情報を集計することでその実態を数値化したものが話題になっています。

日本経済新聞は東京都の都心6区と、大阪市の都心3区に建つ20階以上のタワマン303棟を対象とし、2025年12月時点の不動産登記簿を基に最上階の住戸の所有状況を調べたたものを公開しました。調査の結果、計1867戸のうち、28%に相当する515戸が法人所有で、渋谷区が44%、文京区が38%と高かったようです。タワーマンション最上階の住戸について売買の動向も分析していて、法人が携わった売買件数のべ981件のうち、購入後3年以内に売却されたのは360件(全体の37%)に達しているといいます。うち1年以内が216件、半年以内に限ると125件と驚異的な数字です。一方、個人が売買したのべ2109件をみると、購入後3年以内に売却されたのは194件(9%)と実需に伴う時間経過が予測できます。うち1年以内が68件、半年以内は35件にとどまっています。個人の場合、不動産売却時の譲渡所得にかかる税率は、所有期間が5年以下の「短期譲渡所得」だと約40%と大きく、5年超の「長期譲渡所得」は約20%とほぼ半分になることが売却時期の大きなターニングポイントにもなっています。法人の場合は所有期間によって税率は変わらないため即転売でもおかしくはありません。役員や従業員向けの住宅、出張者向け宿泊施設などとして活用する例もありますが、短期間で売買し、資金効率を高めながら売却益を追求する法人も多いです。10年ほど前から最上階を中心に十数戸を買い、15〜25%上乗せして短期で転売している不動産会社も散見され、渋谷区内のタワーマンションでは、組織的とみられる転売も多くありました。代々木駅近くにある最上階の物件を転売した東京都内の投資会社と不動産会社、大阪市内の不動産会社の3社が、渋谷駅近くの最上階の物件でも同じ順序で転売を繰り返していた実態もあります。
東京都中央区の晴海にある東京五輪・パラリンピックの選手村跡地のマンション群「晴海フラッグ」でも、法人の短期転売が目立っており申し込みや抽選方法などがメディアに問題視されていたこともありました。晴海フラッグ建設地はもともと都有地であり、開発コストを抑えられただけでなく立地面のマイナス面も後押しし、周辺相場より大幅に安い価格設定が可能でした。価格設定が当時の相場よりも2割から3割ほど安く設定されており、申し込みも殺到したことから各住戸とも倍率がつく人気ぶりでした。立地条件が悪いと言っても、中央区の新築マンションが当時その値段では買えない価格でした。都内のある不動産会社は、新規分譲時に8戸購入し、半年から1年程度で全戸を売却した事例もあるそうです。1戸あたり平均4,000万から5,000万円を上乗せして成約に至っているそうです。不動産登記簿によると、この会社から3戸を取得した都内の中堅不動産会社も、晴海フラッグを20戸以上購入し、その多くを数か月から1年弱で法人や外国人などに転売しています。ここ数年、特にタワマンの売買は価格操縦に近く、再販業者などが利益を上乗せして転売し、実需層の手が届かない価格になったのも事実です。足元では資材・人件費の高騰、金利上昇で個人の購入意欲も減退するなど、転売目的で購入する業者には逆風が吹きつつあります。転売業者の今後の選択肢は限られており、一つは、5億〜10億円規模の超富裕層向けの物件を扱うとしても、仕入れには資金力が必要で、物件数も限られるテクると思います。もう一つは、実需層の手が届く1億円以下の物件をリノベーションで付加価値を高めて販売することです。ただ、建設コストの上昇などで利ざやが小さくなり、数をさばけないと厳しい可能性は十分あります。それに伴い、不動産業者の倒産も相次いでいます。帝国データバンクの調査では2025年の不動産業の倒産件数は315件と過去10年で最多となっており、このうち、「不動産代理・仲介業」は前年比1割増の133件と過去最多となったそうです。自社で建物を仕入れて販売する「建物売買業」も2割増の62件となっています。
そうした中、海外ではマンションを「見えない隣人」から実需層に取り戻す動きが先行しています。カナダ西部のバンクーバー市では、高級マンションなどが立ち並ぶ都心のウオーターフロント地区、「コールハーバー」は国内外の富裕層からの投資を引きつける一方、空室が目立つとして社会的な議論となっていました。同市は2017年、投機的な保有の抑制などを目的として空室税を導入し税率は不動産の課税評価額に対し、当初の1%から2020年は1.25%、2021年以降は3%と、段階的に引き上げていっています。同市の空室率は2024年に0.5%と導入時の2017年に比べほぼ半減しており、税収を財源として、累計1億9430万カナダドル(約220億円)を手ごろな価格の住宅の整備といった住宅支援策に充てています。同市の空室税は『住宅は実際に人が住むためのものである』という考え方に対する市民の支持を確立したことに意義があります。
そして日本でも、国土交通省が実需層からかけ離れた価格形成を問題視し始めています。2027年度の税制改正要望で、都心のタワマンを中心とした近年の価格高騰に対応すべく投機的取引を抑制するための方策について、必要な検討を行い、所要の措置を講じるとの文言を盛り込んでいます。住宅の金融商品化が進み、主役が『住まない買い手』に移ったことで管理など様々な問題が出ていることも無視できません。価格の妥当性や実需層への供給を考えれば、法人の短期転売への課税強化や転売目的の融資に対する金融機関への監督強化を検討すべきなのかもしれません。
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