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本日は、3回に渡りお話ししてきた不動産売却におけるメソッド(方法)最終章「契約→引渡し」です。
売却までの流れを今一度おさらいしてみましょう!
準備→査定→媒介契約→売却活動(募集開始)→契約・引渡し
でしたね!
売却活動の末、良いご縁に結ばれましたら最後の大事な売買契約となります。
ポイントになるのは、①売買契約書の記載事項と②売却に伴う費用面です。
不動産は、高価で重要な財産ですから、不動産を売買するには、単に、口頭の合意だけではなく、売買契約書を締結するのがのぞましいです。口約束だけですと、争いになったときに、書面がなければ解決がむずかしいことは明らかでしょう。民法でいうところの「契約」一般についていえば、口頭による合意だけでも契約は成立するが、こと不動産売買においては、売買契約書の作成・調印によって不動産売買契約は成立すると考えるべきといわれることもあります。今回のテーマは、不動産売買契約書の「記載内容」について、どのような点に留意したらよいか、をみていただきます。
①売買契約書の記載事項
実務上のお話しでいうと、不動産業者には大概加盟している協会の標準的な書式があります。絶対にこの記載内容でなければならないというものではありません。言い換えれば、不動産売買契約書の記載内容の決め方は自由なのです。ただ、「自由」なのですが、不動産売買契約書において、「売主」が自分にだけ一方的に「有利」な記載内容をすれば、「買主」にとって「不利」な記載内容とならざるを得ない、という側面があります。買主有利な記載もしかりです。
1つの不動産売買契約書のなかで、当事者がそれぞれ自分のことだけ「有利」となる記載内容を求めても、それにより「不利」になる相手方は、なかなか了解しないのが普通です。了解しなければ、結局、契約は成立しない、ということになります。売主側、買主側双方の媒介契約を結んでいる仲介業者はそれぞれのクライアントを守るべく契約書類に目を通し、調整を行います。
「調整」の結果、標準的な不動産売買契約書の書式例を使いながらも、当事者間の特別の合意内容を定めておこうとなりますと、「特約」というかたちで、契約条項を追加したり変更したりすることもできます。
あとは、「記載内容の決め方は自由」と申しましたが、一定の限度があります。「公の秩序又は善良の風俗に反する契約」、すなわち、「公序良俗」に違反する記載内容は、契約書に書いてあっても無効であり、効力は認められません。例えば、社会の秩序や道徳・倫理に反する契約、暴利や不当な利得を得ようとする契約、人権侵害の契約などがそれらにあたります。
【記載事項の留意点】
以上を前提に、不動産売買契約書の記載内容の留意点のいくつかをみていきましょう↓
■売買代金の額・支払い時期方法など
そして、売買代金は「金額」だけではなく、いつどのように支払われるか、も重要です。売買代金の支払い時期や方法について、売買契約書においてどのように記載しているか、記載すべきか、チェックする必要があります。なお、それらに関連して、「手付金」についてどのように定めるか、も実務上極めて重要です。「手付金」が、「解約手付」、すなわち、当事者が契約の履行に着手するまでの間は解除権を留保し、買主は、手付を放棄し(手付損)、売主は手付金額の倍額を買主に返還すれば(手付倍返し)、解除できる、という趣旨で交付されたかどうか、不動産売買契約書において、どのように記載されているか、注意をもってみる必要があります。
■所有権移転の時期や登記、不動産の引渡し、抵当権等の抹消など
売主は、不動産を売ることによって、売買代金を受け取ります。売買代金がきちんと確実に支払われることが売主の関心事となります。他方、買主からすれば、売買代金を支払ったのに、不動産の引き渡しを受けられない、とか、所有権移転登記ができない、売主側がつけていた抵当権等がいまだ抹消できずにいる、などというトラブルを回避することが買主の関心事となります。そのため、売買代金の残代金支払いと引渡し・所有権移転時期・登記などを可能な限り同時に行うほうがよいという考えがあります。そのような観点から、不動産売買契約書の記載内容をみて、どのような定め方をしているかチェックしてみてください。
■土地面積と売買代金の定め方
土地を買うにあたり、その土地の面積が、登記上は明らかだけれども、実際に測量しているわけではないので、正確な面積が登記上の表示より大きいのか小さいのかはわからないという場合、土地購入を検討している人としては、売買代金の定め方について、次のような方法があります。
●公募売買(売買代金固定型)
登記簿上の面積を記載したうえ、土地の売買代金は〇〇円と固定してしまって売買契約を締結する方法です。代金を決めて売買を実行してしまいますが、買った後で、測量によって、実際の土地の面積が登記簿上の面積よりも大きいことが判明し、買主が得をした結果となっても、買主は売主に対し追加代金は支払わないし、逆に、実際の土地の面積が登記簿上の面積より小さく買主が損をしても、買主は売主に代金の減額を請求したりはしない、と取り決める定め方です。
●売買代金清算型
売買契約を締結した後、残代金支払日までに測量を行って、その実測面積と売買契約締結時の登記簿上の面積の差については、残代金支払において清算する方法です。
測量によって、実際の土地の面積が登記簿上の面積よりも大きいことが判明した場合は、買主は売主に対し大きい分にみあうだけの代金を残代金支払日までに清算して支払わなければならないと定め、逆に、実際の土地の面積が登記簿上の面積より小さい場合は、買主は売主に対し小さい分にみあうだけの代金を残代金支払日までに清算して減額すると定める方法です。
不動産売買契約書上の記載のうえで、どのような記載となっているかもチェックしてみてください。
以上のほかにも、引渡後目に見えない瑕疵が見つかった場合の取り決めについて記載する「契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)」について、どのように定めるかも重要です。ご自分の立場(売主か買主か)を念頭に置きながら、読んでいただき、この条項は、自分にどの程度有利か不利か、どの程度重要か、など考えてみるようにしてください。
続いて、
②売却に伴う費用面(実費&税金)
実費には以下のような項目があります↓
■仲介手数料
仲介手数料とは媒介報酬、仲介報酬と呼ばれることもありますが、不動産業者に支払う成功報酬です。 一般的に「売買価格×3%+6万円×消費税」として計算されます(売買価格が400万円以下の場合は別途の計算方法)。成功報酬ですので、売買契約が成立した際に支払われます。売買価格が高値になるほど、額が大きくなります。
■登記費用
登記費は、住所や、土地の所有権を公示するためにかかる費用です。「表示登記」「所有権保存登記」「所有権移転登記」、「抵当権の設定登記」、売却不動産に借入等による抵当権が設定されている場合ですと「抵当権抹消費用」などもかかります。金額は2万円程度が一般的ですが、住所変更登記と抵当権抹消手続きをあわせて司法書士に依頼する際は、司法書士費用が別途かかることになります。
また、抵当権抹消時には、「登録免許税」も合わせて必要となります。
◾️住宅ローン残債分返済費用
住宅ローンが残っていても不動産売却を行うことは可能ですが、実際の取引では、完済しなければ売却することはできません。その為、ローン完済より前に売買することが決まった場合は一括返済を行わなければなりません(前段の抵当権抹消が必要)。住宅ローンを一括返済する際に金融機関により繰り上げ返済手数料がかかります。
◾️証明書関係発行費用
契約を結ぶ際にはさまざまな証明書の提出が必要です。大きな金額ではありませんが、「印鑑証明書」や「住民票」などの証明書の交付を受けるのに、証明書発行費がかかります。
◾️引越し費用
場合によっては、これ以外に家具や家電の処分費用などもかかります。
ここからは、税金関係です!
◾️登録免許税
登録免許税とは、不動産の所有権移転登記や住宅ローのための抵当権設定登記にかかる税金です。税額は、「課税標準額」に対して所有権の保存登記は0.4%、所有権の移転登記は売買によるものが2%(土地は平成31年3月31日までの間に登記を受ける場合は1.5%、住宅用家屋については軽減措置あり)、相続によるものが0.4%、贈与によるものが2%となります。因みに、以前のブログ「自宅売却のメソッド(Vol.1)」で売却前に準備しなくてはいけない書類の中に、「公課証明書」というのがあったと思いますが実はここで必要になります。こちらをもとに、司法書士が登録免許税含めた登記費用の見積もりを算出するために必要になるのです。
◾️消費税
不動産売却では、消費税が課税になるものとならないものがあり、建物には消費税がかかりますが、土地は非課税になります。
◾️所得税・住民税
売却価格が購入時より上回り、利益が出た場合に発生する税金です。税金の対象額になるのは購入時と売却時の差額となります。売却益の額により税率も違いますのでその都度確認しましょう。
■固定資産税
「固定資産税」は固定資産に課税される税金で、「都市計画税」は市街化区域内の不動産にかかる税金です。毎年1月1日時点で固定資産課税台帳に登録されている土地・家屋の所有者に納付通知書が送付されます。1月1日から12月31日の間に建物の持ち主が変更になっても、売主が納税することになります。
※通常は引渡の時期によって負担者が変わりますので、残代金の精算時に引渡時〜12月31日までの残月分は買主が負担します。
◾️その他の費用
以下の費用項目に関しては、ケースによって生じる場合があります↓
●解体費:戸建や古い建築物などが存在し、更地にして売却する場合など
●測量費:前段でお話した実測に基づいた売買契約の場合再度測量し直す必要があります
●クリーニング費:売却しやすくする販売努力の一環で住戸内を綺麗にする際に必要となります
売買契約において重要なポイントは以上となります。
そして、最後「引渡し」です!
御遠方の場合など契約時は顔合わせしないケースも少なくはないですが、やはり最後の引渡しは売主、買主それぞれ顔を合わせてご挨拶したいですよね!自分の思い入れある不動産をどんな方に買っていただくのか
気になりますよね!
引き渡し当日の場所や時間帯、同席者は以下のケースが一般的です↓
実際の引き渡し手続きは、買主が住宅ローン等融資を受ける銀行に売主と買主、双方が媒介契約を結んだ不動産会社(両手取引の場合は1社のみ)、司法書士が集まって行われます。設定時間帯は、銀行での支払い手続きになりますので余裕をみて午前中〜お昼過ぎくらいまでの間に設定するのが良いでしょう。会社員の方ですと勤務先を休む必要があるので注意しましょう!
手順は以下の流れです↓
(1)買主側の金融機関が買主にローンを実行
(2)買主から売主(の口座)に購入代金を振り込み、売主のローンを完済
(3)売主側の金融機関が抵当権抹消書類を司法書士に交付
(4)司法書士が登記所で所有権の移転と抵当権の設定登記を手続き
(5)固定資産税や管理費の精算
(6)売主から買主に必要書類・鍵の引き渡し
(7)仲介手数料(通常は半金※契約時に半金)の支払い
以上、大体約2〜3時間くらいでは全ての手続きが終了し晴れてご売却完了となります。
3回に分けてお話ししてきました「自宅売却のメソッド」いかがでしたでしょうか?
自宅に限らず、ご所有の不動産においての流れは一緒ですので都度媒介契約を結んだ不動産業者に聞いてみるのも良いと思います!
次回ブログでは、テレワーク推奨の昨今ですが話題の「シェアオフィス」についてお話ししていきたいと思います!!