米国長期金利(青い折れ線グラフ)は2021年バイデン政権のスタートとともに経済正常化への期待から右肩上りに上昇しましたが、4月あたりで止まり、再び下がり始めています。これは米FRBのパウエル議長が一貫して「新型コロナウイルスの感染流行が終息した後にインフレが制御不能になるリスクは懸念していない」とのメッセージを発信し続けており、コロナ禍の先行きはなお不確実という認識が投資家の共通認識になりつつあるためです。
またインドでは新型コロナウイルスの変異株による感染爆発が発生しており、世界的にも感染者数が再び増加しています。変異株に対するワクチンの効果が分からないとなると、経済正常化への期待はさらに後退せざるを得ません。
こうしたことから、米中央銀行の金融緩和政策が長期化するとの見方が強まっています。安全資産としての米国債を一定割合保有する流れが強く、債券価格が上昇し利回りが下がるという傾向となっています。
日本の長期金利はどうかというと、2021年に入ってから上昇しているのは米国の長期金利と同じ動きでしたが、米国よりも早く2月末あたりから大きく下がり0.1%あたりで横ばいに推移しています。(日銀も舵取りが本当に難しい局面なだけに静観せざるおえない部分もあったのかと思います。。)4月から5月にかけては感染第4波からゴールデンウィークの緊急事態宣言の発出、延長となっており、世界経済と同じく経済正常化に対して楽観視する見方は後退してきています。
長期金利が下降フェーズに入った3月から4月にかけては、まだ比較的大きな振れ幅がありました。これは国民としても1日も早い経済正常化へ期待も大きかったことから、日銀の動向に対して投資家が過敏に反応していたためかと思います。
4月から5月にかけては、目に見えて振れ幅が小さくなっています。これは経済正常化への期待が遠のいたことで、安全資産としての日本国債を一定割合保有する流れが強くなり、債券価格が上昇し利回りが下がるという流れが出てきた現象だと思います。
現在のところ世界的に経済正常化への期待が後退し、金融緩和政策が延長されるとの見方が優勢になっています。それを反映して債券価格が上がり長期金利が下がる傾向が固まってきているように思います。
では、債権と金利の因果関係がわかったところで、以前のブログでお話しした買取型について今一度、図解でご説明したいと思います↓
住宅ローンの【フラット35】(買取型)は、上図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。この機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を安全資産という考えで購入しますので、その表面利率は10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向が強いです。
金融市場の動向はセオリー通りに推移するとは限らず、短期間で高騰する可能性は常にあります。実際、私が3月に取り上げた金利推移予想とも社会情勢の変化で変わってきています。これは個人レベルでどのように働きかけてもコントロールできない要素ですし、合理的な精度で予想することもかないません。しかしながら、金利においては長い歴史が傾向と対策を証明していますので、自身が住宅ローンの借り入れをする際は、傾向を分析し将来を予測することで判断していく必要があります。
今後、ワクチンが世界的にしっかりと行き渡り変異種のような新たな懸念材料が増えなければ徐々に経済回復の兆しはあるかと思います。
ですので、現状できることはリスクの分散です。すなわち複数の金利タイプで検討していく必要があるかと思います!特に2月から4月の金利上昇局面において【フラット35】の金利上昇は抑えられたので、【フラット35】を利用することが保険になる可能性があります。そして、シミュレーションを行うときには現時点の金利だけでなく、保守的に金利が上がったケースで返済継続ができるかを確認しておくといいと思います!
山信不動産では、今後も日米長期金利の動きや住宅ローン金利の動向について最新の情報をお届けしていきたいと思います!
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