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金利の背景〜景気・物価・為替から読み解く〜

金融

山田 恵二

筆者 山田 恵二

不動産に関する事なら何でもご相談下さい。
特に、マンションに関しては長く扱ってきた経験もございますので将来のトレンドを見据えたご提案はもちろん、住宅ローンや税金に関しても細かくご説明致します。
自身の購入や売却といった実際の取引経験も交えてお客様一人一人に合わせたご提案を心がけております。

皆様、弊社ブログをいつもご覧戴き誠に有難うございます!

本日は、お客さまからのお問い合わせも多いご質問で「金利が変動する背景」についてご紹介したいと思います。


金利は、主に資金の需要と供給のバランスをもとに決まっています。お金の量が一定であれば、資金を借りたい人が多いとき(=需要が高いとき)には金利は上がり、少ないときには下がります。需要と供給が変化する要因には主として景気・物価・為替相場があげられます。

ぜ金利が上昇したり、下降したりするのでしょうか?
それにはしっかり理由があります!

私たちがお金を預けたり、お金を借りたりする際の金利は各銀行が自由に決めています。その決定のもとになる「需給バランス」が変化する要因が3つあげられます。

景気」による金利変化とは?】
景気がよくなるときは、消費者の購買意欲が増します。景気とともに個人消費が増大すれば、企業はものを多く生産し設備に投資する意欲が増加することが見込まれます。これらによって、一般的に資金需要が高まることが見込まれるため、金利が上がると考えられます。反対に、不景気とともに個人消費が減退すれば、企業はものの生産を控え、このため資金需要が低下し、金利は下がると考えられます。

物価」による金利変化とは?】
一般的に物価の上昇によって、金利の上昇が見込まれると考えられます。物価の上昇が起こるときは、お金の価値が下がっている状態であると言えます。消費者はお金を持つよりも物を持つほうが価値を見いだせるため購買意欲が高まると考えられ、資金需要が高まる一方で貯蓄など資金の供給は減り、金利が上がると考えられます。金融政策も一般に物価上昇時には引き締め(=金利上昇)に動きます。反対に、消費者が購買行動を控え、物価がデフレ状態になると、金利は下がると考えられます。因みに、デフレ下にある日本経済で日銀が常に目標として掲げていた「物価上昇率2%」という目標も、結果的に金利を下げることでマンションなど価格帯の大きい商品の物価(価格)を押し上げていた形になります。マンション価格が高くなっても、歴史的低金利によって購買力も落ちずにすむわけです。

為替相場」による金利変化とは?】
為替相場の変動により金利にも影響がでます。例えば、今の様に円安ドル高が予想される場合、ドルで預金したり資産運用をしたりする人が増加します。一方で、円建ての預金の解約や金融商品の売却が増加すれば、円の資金供給は減少するので、円金利は上昇すると考えられます。
現在の状況がまさにこの状況と言えますが、当然賃金の上がっていない状況下で金利が上昇し物価も上昇すれば景気にもダイレクトに影響が出ます。なので、金利の上昇をセーブしてなんとか円安を止めるべくドル売り円買いの為替介入を余儀なく行なっているわけです。

為替介入は一般に、為替相場が過度に変動した場合、通貨当局が為替レートを安定させるために行います。通貨当局とは、日本の場合、為替介入の権限を持つ財務省です。9月22日の為替介入は、先日のブログでも取り上げましたがドル円が145円90銭水準をつけたことで、ドル円相場がさらに大きく円安に振れる恐れが高まったため、為替介入による為替レートの安定が必要と財務省が判断し、実施に踏み切ったと推測されます。


では、ドル円レートがどれくらい安定したかを検証してみましょう。まず、1日の値幅の変化をみると、為替介入前(9月1日から9月21日まで)の平均は1円60銭、為替介入後(9月23日から10月6日まで)は1円6銭と、小幅に縮小しました。次に、ドル高・円安の進行幅をみると、8月31日を基準に為替介入前日の9月21日までが5円10銭、為替介入当日の9月22日を基準に10月6日までが2円75銭と、進行幅は縮小しました。

以上より、為替レートを安定させるという目的は達成されたと判断できます。一方、ドル円が足元で、為替介入を実施した145円台に戻っているため、介入の効果を疑問視する声も聞かれます。しかしながら、為替介入は相場のトレンド転換を目的とするものではなく、もとより、為替介入の効果については、一般に、為替レートの過度な変動を一時的に抑制できても、相場のトレンド自体を変えることは極めて困難だということもわかります。


最後に、この先、再び為替介入が実施されるか否かについてですがこれについては、今回と同様、為替相場が過度に変動し、財務省が為替レートの安定が必要と判断すれば、実施されると思われ、特定の為替レート水準による判断ではないと考えています。ただ、為替介入は本来、頻繁な実施を想定するものではないため、為替レートの安定には、適切なタイミングでの実施が重要となります。頻繁に行うと市場も麻痺し、効果が薄れてしまいます。


日本にとって、先読みしずらい金利動向ですが日本単体で為替介入しても加速する円安を根本的に止める劇薬にはならない状況です。不動産市場においても、都心一極集中で価格高騰し国内需要よりも、円安を背景に投機と考える海外資金が多く流れてきてしまっています。そうした点からも、安定した相場感に戻るにはやはり為替の安定が最重要項目なのかもしれません。

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