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本日は、横浜市で初となる「ESG債」発行が決まったことに関する話題をご紹介したいと思います。
「ESG債」とは、Environment Social Governanceの頭文字から取った名称で温暖化対策や福祉などの課題解決に向けた取り組みに資金の使途を限定した債権のことを言います。ここ最近では、国内外で運用が広がっており、企業はもちろんこうした自治体等行政機関も発行が増加しています。
総合的な投資要素で評価すると、リスクを低めに抑えつつ、長期的なリターンを確保していくのに適した投資方法とされています。そのため年金資産等を運用する機関やファンド(投資の基金等)などにも適しているのです。今回注目すべきは、自治体が導入するESG債の種類です。使途を環境課題解決に限定した「グリーンボンド」が主流ですが、確実な償還財源がなければ将来世代への借金につながることや、どの事業をESG関連予算とするのかの線引きを巡って、欧州などの外部評価機関からの干渉を受ける可能性があります。また、調達コストの増加や資金調達の非効率性のなどにも留意すべき点です。今回、横浜市は金融機関や機関投資家を対象とし、環境と社会貢献(社会貢献債のことはソーシャルボンドという)の両方に調達資金を充当する「サステナビリティボンド」を採用しています。調達した資金は、相互直通運転「神奈川東部方面線(西谷駅〜日吉駅)の整備」で環境に配慮したクリーン輸送の実現や、保育所や高齢者施設、児童福祉施設などの整備事業に充てる方針と公表しています。一方、ESG 債を発行するデメリットとしては、通常の債券とは異なり、ESG 債に 関連するレポーティングや外部機関による評価に係るコストや手間が発生する可能性 があるものの、発行条件が通常の債券に比して必ずしも有利にならない傾向にあることなどが挙げられます。
とは言うものの自治体発行の地方債は信用度が高く、社会的意義も強い投資という観点から企業がCSRの一環として購入するケースも多いです。
世界的に見ると、運用資産全体に占めるESG投資割合では、カナダが61.8%でトップ。 米国が33.2%、日本も24.3%まで伸長してきています。 欧州は41.6%、オーストラリア・ニュージーランドは37.9%と推移しています。企業のCSR に対して注目するようになった日本が、ESG投資では欧米に遅れをとった原因として、評価基準が欧米の考え方に基づいていること、数値で表記するのが難しいものを基準としていること、その結果、機関投資家が積極的な投資行動を起こしにくかったことが推測されます。過去、日本国内の自治体発行によるESG債には、2017年に東京都が初めて発行したのが始まりでその後全国に徐々に広がりを見せ、2020年には神奈川県としても導入した経緯があります。昨年発行した川崎市のグリーンボンドは政令市では初で、初年度に50億円起債したところ約660億円となんと14倍近くもの応募があり需要の高さを感じました。今年は昨年の倍の100億を起債したところ即日完売という盛況ぶりです。市場の投資トレンドとしてESG債の人気は高まっていることがよくわかります。発行側としても、資金調達の多様化や投資家層の拡大が追い風となり大事な収入源となりそうです。資金の使い道や社会課題を「ガラス張り」にすることでSDGsの取り組みや市の事業に対する理解促進にも繋がり、相互にメリットは高いです。横浜市は今年度中の発行を計画中で発行額などの詳細は、他自治体の状況や投資家動向を踏まえて決定されるということです。
自分の勤めている会社の発行株を自分で購入する持ち株の様に我々、横浜市民としても自分の住む住環境の改善に投資が出来ると考えれば大義としても投資性は高いと思います。特に、インフラ整備に充てられれば生活利便性向上にも繋がり間接的に自分自身が行政の公共事業に対し支援出来る画期的な債権だと思います。税収入では、賄いきれない財源を少しでもこれにより充填出来れば無理な増税をせずに済みますし住民との一体感もあり有意義かと思います。