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本日は、分譲マンションの老朽化対策に関する話題をご紹介したいと思います。
先日各メディアで、政府が2024年度の区分所有法改正を目指し、老朽化マンションに対しての建替えや大規模改修に対する所有者同意の要件緩和を検討する旨発表されました。
以前この記事を投稿して丁度1年が経ちますが、いよいよ本格的に始動しそうです。
国土交通省の推計によると2021年末のマンション686万戸のうち築40年以上は116万戸に及ぶそうです。2041年には累計425万戸になる見込みです。1970年代の高度成長期に集合住宅は多く建設され、古い耐震基準のこのも多く含まれています。当然、老朽化に伴う倒壊の恐れもあり売却もしにくいことから再生事業も以前より注目されてきています。
大きく分けて古いマンション建物の事後利用方法には①建替え②大規模改修③売却の3つが挙げられます。
いずれも区分所有者で構成されている管理組合で決定します。区分所有者は、長期居住している高齢者から実需ではない投資家による賃貸など、所有目的は様々です。①や②に関しては、当然資金が必要な話ですから追加の自己負担がどれくらいになるのかによっては前進しにくい選択肢となります。政府は既に建替えの同意の要件に関しては現行の「5分の4」から「4分の3」にハードルを引き下げる案を提示しています。今回は、更に大規模改修工事の同意要件も同じく「4分の3」にに引き下げる案を検討しています。エレベーターや廊下、外壁などの共用部分だけの修繕であれば現行も「過半数」もしくは「4分の3」ですが、今回のポイントは、現行同意要件が「全員」となっている区分所有者の専有部も含めた大規模改修の要件緩和となります。
大規模改修工事は建替えに比べ必要資金が少なくて済む為、区分所有者も納得しやすい選択肢になります。問題は、現状空室になっている所有者が不明というケースです。分譲時の所有者はもちろんわかりますが、その後相続発生時に遺産分割協議がなされておらず相続人は複数名いる場合など合意を取り付けるのに時間がかかってしまいます。建替えに関しては、費用も膨大なうえに、要件も厳しい為2021年度で実際に実行された案件自体が7件と極めて少ない選択肢になってしまっています。以前は、建替えでないと耐震性を確保出来ませんでしたが、建築技術も高度化し、現在では大規模改修工事で耐震補強も容易となりました。所有者が決断しやすい仕組みを構築することが日本における建物老朽化対策の核になります。
しかしながら、実際に今回も要件緩和が無事実行されても資金面での問題は拭えません。共用部の為に積み立てている修繕積立金も、全国マンション全体の35%は計画通りの積立が出来ていない問題もあります。各管理組合でも、改修工事用の積立として債券の購入や保険積立を利用しているところもありますがごく一部なのが現状です。今後の課題としては、改修時の資金面確保の為に、各金融機関も低金利での貸付や海外の再生ファンドによる投資(証券化)などもうまく利用しながら、建物の維持をしていくことが急務になっています。