
都心の不動産高騰でREITにも変化が⁉︎
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都心の不動産高騰が続く中、不動産投資信託(REIT)が収益対象不動産を都心から地方へシフトする動きが出てきている話題についてご紹介したいと思います。市場で取引されている売買価格に対して、そこまで上昇していない賃料が収益性を低下させているようです。

実際に、都心ではインカムゲインとしての収益性では資本コストに見合う物件を買いづらくなってきています。都心の既存物件を高値で売却して地方の物件に入れ替えれば目先の利益は確保できますが、都心ほど大きな賃料の伸びは期待できないところが悩ましい部分でもあります。今後は、経済圏全体のインフレ下でREITの成長戦略を描き直す必要がありそうです。
もともと、各社資産入れ替えに積極的なREITの多くは、立地を都心から遠ざけたり築年数を古くしたりしないと、利回りを維持できない状況にまできています。物件から得る利回りを維持するには、賃料の引き上げや新しい物件の取得が欠かせません。昨今賃貸事情も少しずつ変わりつつあり、都心の分譲区分マンションでも以前よりサブリースが増えています。居住用は投資用のオーナーチェンジでも表面利回りが4%以下はざらに出ています。
さらに、賃料上昇が見込める都心のオフィスなどの物件価格も上昇が続いています。例えば、オフィス特化型のグローバル・ワン不動産投資法人では保有する物件に占める都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の比率が2025年9月末時点で29.7%と、5年間で15ポイント近く下がっています。代わって保有が増えたのが、名古屋・大阪やその他の政令指定都市で、今月にも千葉市のオフィスビル取得を発表したばかりで今後は都心から地方都市や都心近郊へシフト行く傾向が増えそうです。地方シフトはREIT全体でも鮮明です。土地総合研究所によると、REITが保有する都心5区の物件数は2025年末時点で1001と3年間で2%減り、全体に占める比率は20%に下がったと言います。一方、都心5区以外の物件数は11%増えており実際に数字上でもその変化が見てわかります。私募ファンドなどとの取得競争も激しくなる中、REITは成長期待の高い都心物件を買えず、都心の既存物件を売却した資金で地方物件を買ってきた経緯もあります。都心の優良物件を手放さない大手デベロッパーとは対象的な動きとなっています。
都心の再開発などで新規の物件を保有できる大手デベロッパーに対し、REITが物件を取得しづらい事情もあります。SMBC日興証券によると、鑑定評価上の正味キャッシュフローを取得価格で割って求める「取得キャップレート」は首都圏物件で4%。資本コストにあたる「インプライド・キャップレート」(同4.3%)をここ数年下回っているそうです。コスト以上の利益を期待しづらい都心物件の取得は投資主の価値を損ないかねず、「高値づかみ」でも買えない状況といえます。
一方、地方シフトは悪循環を招くリスクもあります。賃料上昇などで見劣りする地方の物件が増えて投資家からの成長期待が下がれば、投資口価格は低迷してしまいます。投資口価格の下落は資本コストの上昇につながり、都心からの離脱がさらに加速し、成長余力は低下します。
総合的な値動きを示す東証REIT指数は、昨日時点で前日比1%安の1913.79ポイントでした。本来であれば中東情勢が緊迫する逆風下で資金退避先になってもおかしくないところですが、2025年末比で5%安とさえない値動きが続いています。
そんな中、三菱地所や住友不動産といった大手デベロッパーの同期間の株価はそろって2割高と底堅い状況がつづいています。海外のヘッジファンドなどは収益の安定性が光る大手デベロッパー株に資金を振り向けており、REITへの買いは鈍くこうしたところにも対照的な評価が鮮明になってきています。
しかし、難しいのは目先の利回り確保のための地方転出ではなく「攻め」の戦略も実際は投資家から求められてしまします。特にオフィスでは都心の成長力が著しいだけに、物件取得時の利回りが多少下がっても、都心の優良な物件を取得することが投資家目線では必要になってきます。
大手REITの中にはこうした「攻め」の姿勢も維持した投資法人もあり、日本ビルファンド投資法人は1月、公募増資による資金を元手に東京都中央区のオフィスビル「日本橋本町M-SQUARE」などを取得すると発表しています。物件の取得利回りは3.3%とビルファンドの資本コスト(3%台前半)とほぼ同水準ですが、三井不動産などが主導する日本橋地区の再開発で今後賃料上昇が期待できるとみた判断のようです。
取得利回りが資本コストを上回る物件を買う方針は維持しつつ、賃料上昇の勢いが特に強い都心であれば、将来的な成長余地を考慮して資本コストを下回る物件でも取得することは今後もありえそうです。
金利上昇局面では、利回りを求める投資家の要求も厳しくなります。こうしたことから、物件取得を進めて外部成長できるREITとできないREITで二極化した場合の結果には注目していきたいです。不動産価格の上昇が続く都心で資産を増やす資金調達力や物件の競争力を高める成長戦略で大きく選別が進むことになりそうです。
都心の中古マンションの平均価格は3年ぶりに下がってきたというニュースも話題になっていますので、価格面での実需バランスに限界がきているのかもしれません。
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