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再び加速する東京への流動人口

住環境

山田 恵二

筆者 山田 恵二

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本日は、東京の人口流動が再び加速し始めた話題についてご紹介したいと思います。


人口流動がコロナ前の推移に戻りつつあります。総務省が今月発表した2022年の住民基本台帳人口移動報告では、東京都は転入者が転出者を上回る「転入超過」が3万8023人となり、超過幅は3年ぶりに拡大しまた。新型コロナウイルス禍の影響が薄れ、2年前の2021年に比べて7倍に増えた結果となります。雇用の選択肢が乏しい地方の就業難を背景に、22道県で流出が拡大した様です。この集計結果は、20
22年に都道府県をまいで引っ越し、転入届を出した人の移動を集計したデータとなります。コロナ禍前の2019年の東京都の転入超過数は8万2982人で、22年はその半分ほどの水準にまで戻りました。行動制限などが緩和に向かい、社会経済活動の正常化が進んだことが東京回帰を後押ししたのだと思います。東京都以外の首都圏でも、神奈川県、埼玉県、千葉県の転入超過は9万9519人と、2021年と比べて1万7820人増えました。

2021年はコロナ禍によるテレワーク普及などの影響で東京都への流入が減少し、転入超は5433人にとどまっており、神奈川県、埼玉県、千葉県の3県に至っては、2022年は2021年より転入超過数が減少していました。働き方は確実にコロナ前と変わりリモートによるテレワークは市民権を得ました。そのテレワークも生産性の観点から各社見直す動きも出てきており、出社を再開する動きも出始めています。日本生産性本部の調査では、2020年5月に32%だったテレワーク実施率は、2022年7月には16%まで減り、いったんは揺り戻しが起きた形だが、企業の働き方改革の進展次第では、引き続き人口移動の流れに影響する可能性がありそうです。

全体的にはどうかというと2022年の都道府県間の移動者数は255万人と、2021年より3%増えました。転出超過数が増えたのは2021年の9道県から2022年は22道県に拡大し、2019年(26府県)並みに戻ったことになります。その他、地方都市はどうかというと、愛知県は7910人の転出超過で、2021年より5163人増え、転出超過の拡大数が全都道府県でも最大の数値となりました。大学進学や就職で県外に転出する構図が背景にあるようです。

各地方行政も就職先があることが基本とし、若い世代が魅力と感じる企業の誘致は命題となっています。仕事の選択肢を増やせなければ、大都市でも逆風が吹きかねない状況のようです。人口流出が続く三重県は2022年度を「人口減少対策元年」と位置づけ、戦略企画部内に取り組みを推進する「人口減少対策課」を設置したほどです。

コロナ下で郊外が注目され、つくばエクスプレス沿線を中心に人気を集めていた茨城県は2年連続となる460人の転入超過となったものの、2021年(2029人)から大幅に縮小しました。経済活動の正常化が進み東京への回帰が始まった感はあります。東京への一極集中は中長期的なトレンドに戻ってきています。1991年のバブル崩壊や2008年のリーマン・ショックといった不況期に一時的に地方圏に分散しても、結局はすぐに戻る現象を繰り返してきた過去の経緯もあります。

※過去取り上げた地方移住の関連記事はこちら↓

今回のコロナ禍の影響の様に、経済的にも打撃を受け、不況で東京の労働力需要が減ると故郷の地元で働くことを選択する人が増えますが、景気が回復してくると東京に雇う『筋力』が戻えい、再び多くの人が東京に行くのは必然なのかもしれません。やはり雇用力が人口流動に起因するところは大きいです。

昔から、東京や地方都市への一極集中現象には警笛を鳴らしている専門家も多く、そうした背景からも政府は地方移住の促進の旗を振るもなかなか現実的には難しいところはあります。東京は雇用機会が豊富なだけでなく、医療・教育でも高水準のサービスが集中するため、家族帯同での「居住」としても決め手になります。

今は出社も組み合わせたハイブリッド型が主流になってきており、そうなると営業自体も東京を中心とした活動範囲がメインになってきます。ソフト面のサービスや生活利便性は人口に比例して整備されるところもあり、やはり「東京」を含めた首都圏への流動は今後も中長期的なトレンドになりそうです。中古不動産市場にも価格高騰という形でその影響は出てきています。その中でも、駅に近いマンションは根強い人気で主要駅や主要路線の駅徒歩圏のマンション価格は顕著に高騰していきています。今後も、マンションをはじめとした住宅のトレンドをお伝えする上で切り離せないこの「人口流動現象」について山信不動産(株)でも引き続き、レポートしていきたいと思います!

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