2023公示地価発表!上昇回帰継続
直近の比較で言うと全国平均の上昇率は2022年(0.6%)を1ポイント上回り、新型コロナウイルス禍前の2020年(1.4%)を超えました。上昇地点は調査対象の全国2万6000地点の58%(22年は43.6%)に達しました。
商業地は全国で1.8%上昇し、オフィスや店舗が集中する都心部がけん引しました。東京23区では千代田、中央、港の都心3区が3年ぶりにプラスとなり、それぞれ2.1%、2.1%、2.8%上昇となりました。
東京、大阪、名古屋の三大都市圏も商業地が2.9%上昇し、前年は横ばいだった大阪が3年ぶりにプラスに転じました。コロナ禍からの経済社会活動の正常化が進み、都心回帰の傾向を映し出しています。インバウンド(訪日外国人)の回復期待から東京・浅草や京都・祇園といった観光地で上昇が目立ったのが顕著でした。都内の上昇率上位10地点のうち、3地点は台東区浅草地区だった。国内観光客が戻りつつあり、インバウンド(訪日外国人)の本格的な回復への期待から地価が上昇、首位の「西浅草2-13-10」は仲見世商店街など中心街から少し外れた地点で、つくばエクスプレス(TX)の浅草駅前の好立地ながら割安感があり8.8%の上昇となりました。2位以下は複数の路線が乗り入れるターミナル駅とのアクセスが良好な「足立区千住2丁目57番3外」と「中野区中野3-36-15」が続いてタンクインしています。
住宅地は全国で1.4%上昇し、都市部でマンション価格が高騰し、コロナ禍でのテレワークの浸透などで交通利便性が高い郊外でも地価が今なお上昇しています。千葉県木更津市ではJR袖ケ浦駅から約2キロメートル地点の上昇率が20.9%となっています。
大型再開発や交通インフラの整備が進む地方4市(札幌、仙台、広島、福岡)は全用途平均で8.5%上昇、プロ野球の新球場開業で住宅地の人気が上昇している札幌近郊の北広島市が複数の地点で約3割上がるなど、4市の周辺にも波及し、4市を除く地方圏は住宅地が28年ぶりにプラスへと転じています。
都道府県別にみると、人口減などで地価の下落が続く地方県は少なくなく、商業地ではおよそ半数の23県(前年は29府県)が、住宅地では22県(同27県)がそれぞれマイナスにとどまっています。
気になる神奈川県はというと、住宅地の平均変動率は前年比1.4%の上昇で、上昇は2年連続となり、2008年以来の高い伸び率でした。なんと言っても相模鉄道と東急電鉄が直通する「新横浜線」の開業効果が見込める沿線の駅周辺で上昇が目立ちました。商業地は2.9%上昇、工業地は4.3%上昇し、それぞれ前年よりも上昇幅が拡大しました。住宅地の上昇率では特に、茅ケ崎市の伸びが顕著でした。市区町村別の上昇率では、横浜市西区(3.6%上昇)を抑えて茅ケ崎市が首位(4.1%上昇)となりました。上位10地点でも5地点が茅ケ崎市でした。特に駅前に大型商業施設があるJR辻堂駅(神奈川県藤沢市)に近い地点で、住宅需要が強いです。新型コロナウイルス禍に伴うテレワークの普及で自然豊かなエリアの人気が継続しています。不動産仲介のリストインターナショナルリアルティ(横浜市)は辻堂駅周辺の物件についてはJR東海道線が利用でき東京都心へのアクセスも良く、都内居住の購入客も多く、茅ケ崎市周辺で都内居住の購入客が7割を占めるマンションも出ているといほどです。商業地の平均は2.9%の上昇で、11年連続の上昇となりました。上昇幅は前年の1.0%から拡大、継続調査地点のうち87.7%が上昇となりました。新型コロナウイルス禍の影響が和らぎ、インバウンド(訪日外国人)の回復もあって観光地ではにぎわいが戻ってきていることが大きな要因です。神奈川県箱根町は1.0%上昇し、前年の1.0%下落から上昇に転じました。鎌倉市も3.2%上昇となりました。R鎌倉駅周辺では観光客が増加しており、コロナ後を見据えたホテルなどの出店も今後予定されています。横浜市の横浜中華街の地点では店舗賃貸需要も回復傾向で、地価が横ばいでとまりました。コロナ禍の影響で2021年、22年は下落していたが、下げ止まった形になります。横浜駅周辺など再開発が進む地域での上昇も目立ちました。低層階が商業施設で、上層階をマンションとする高層ビルなどが建設されている地域では期待感から上昇が継続しています。横浜市のみなとみらい21地区では企業、大学の進出が相次ぎ、大幅に上昇しました。工業地は4.3%上昇と22年(2.6%)に比べて上昇幅が拡大しました。高速道路網の整備が進み、インターチェンジ周辺だけでなく、少し離れた地域でも値ごろ感から地価が上昇しています。電子商取引(EC)需要も引き続き堅調で、物流施設や倉庫に適したエリアでは大幅な地価上昇がみられそうです。
今回の発表を受け、昨年からの上昇傾向が継続出来た点は、回帰傾向として安心しました。ここ数年は特に、日本の不動産市場は低金利で資金調達でき、年間賃料収入を物件取得価格で割った投資利回りは安定しているとされ、不動産サービス大手のジョーンズラングラサール(JLL)によると、2020年の日本の不動産投資総額に占める海外投資家の比率は34%で、コロナ禍でも魅力的な市場として位置づけられています。世界的な不安定経済要素が続いた昨今では安全資産へお金が集中しがちな中、加速する円安が更に追い風となり日本の不動産に海外マネーが流れてきてきました。今後はそれにしっかりと対抗できる国内需要を強化し、健全な不動産評価がされる様にまでなっていけば不動産の流通市場も相乗効果で活気付くと思います。
世界に目を向けるとまだ、米欧の利上げ長期化による景気後退など先行きには不透明感もあります。JLLがまとめた2022年の世界の不動産投資額は1兆290億ドル(約136兆円)と前年比で19%減っています。足元で投資縮小の動きがみられ、目下の金融システム不安も懸念され、今後の米国金融政策次第では、日本国内はもちろん世界の不動産市場にも大きな影響を与えそうです。
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