市場規模33兆円の不動産私募ファンドで見えてくる未来とは⁈
不特定多数の投資家が募集対象な「公募」に対して、「私募ファンド」は投資家から資金を募って運用する事業のなかで、資金を募る対象者が狭く限定されているものをいいます。また「プライベートファンド」ということもあり、通常、募集対象が50人未満のものを指しますが、特に対象を適格機関投資家に限った「プロ私募」による事業も私募ファンドの一つです。ほとんどの私募ファンドは専門的知識を持つ投資家を対象としているため、公募ファンドと異なり運用における制限がほとんどありません。
このためデリバティブ取引などが積極的に活用されているものが多いようです。また、私募ファンドは、ホームページやマスコミを利用した宣伝活動も行われません。一般的に資本元本が保証されず、ハイリスク・ハイリターンの運用をめざすことが多く、通常、不動産投資が組み込まれます。
J-REITや私募REITは運用期間が限定されていないですが、私募ファンドは比較的短い期間(3~10年程度)が定められているのが特徴です。
そして、一般社団法人不動産証券化協会と株式会社三井住友トラスト基礎研究所は先日、「不動産私募ファンドに関する実態調査」の結果を発表し、2023年7~8月(23年6月末基準)、国内不動産を対象に不動産私募ファンドを組成・運用している不動産運用会社149社中、86社からアンケート回答を得た結果を取りまとめて公開しました。
2023年6月末時点の不動産私募ファンド(私募REIT・グローバルファンド含む)の市場規模を運用資産ベースで見ると、33兆4,000億円(前回調査(22年12月末)比12.4%増)と市場規模は大きく増えている傾向にあります。運用資産規模を拡大させた運用会社数が規模を縮小した運用会社数を大きく上回り、市場規模の拡大ペースが加速しています。内訳は、国内特化型が24兆5,000億円、私募REITが5兆6,000億円、グローバル型3兆4,000億円となっており、そのうち私募REITは、運用資産額の増加率が前回の2.8%増から11.5%増へと加速しており、銘柄数・資産規模ともに順調に拡大しており注目度の高さがうかがえます。エクイティ投資家の投資意欲は、「変化はない」が78%(同11ポイント減)と過半を占め、堅調な投資意欲が改めて確認されました。一方で「低くなってきている」(12%)が「高くなってきている」(9%)の回答数を上回るなど、投資意欲が減退していると考える運用会社がわずかに増加しています。
注目すべきは、プロパティタイプ別投資額です。
国内・海外投資家ともに「ホテル」が「増加」「やや増加」の回答割合が最多となり、「住宅」も「増加」「やや増加」の合計回答割合が約3割を占めた一方、「物流」は前回調査比で減少という結果でした。「オフィス」は「やや減少」の回答割合が前回調査比で増加し、オフィスの先行き懸念により投資額を減少させた投資家が一定数見られるかたちとなりました。
投資家は市場の中長期的未来も予測しながら投資先を選定しなくてはいけないので、不動産において言えばコロナが以前より終息しつつあることで先々見込めるインバウンド効果に期待し「ホテル」への注目度が増しています。その一方、コロナ渦中では流通業への需要高から「物流」関係の倉庫に投資性を見出していましたが今回の調査結果により見えてきたのは、徐々に投資家の見方もシフトしてきているということです。
今後、オフィス回帰の動きが出るか?それとも、このままニューノーマルな勤務形態が維持されていくか?エクイティ投資家の投資意欲はオフィスにも向いていくのでしょうか?私募ファンドは、市況を見定めるうえでも目が話せない市場規模へと成長していますので今後も市場動向には目が離せません。
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