鋼材・生コン輸入送料価格に転嫁か⁉︎
以前より、何度か取り上げているこの話題ですがマンション建設に大きな影響を与える話題なだけになかなか無視は出来ません。。そんな中、さらに耳の痛いニュースが飛び込んできました。
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東京地区の生コンクリート事業者でつくる東京地区生コンクリート協同組合は先月、2024年4月からの生コンの値上げに向けてゼネコン各社と交渉に入りました。値上げ後の価格は1㎥あたり2万2000円と、現在より1000円(5%)高い価格に見直し検討しています。セメントや骨材(砂や砂利)といった原料価格の上昇もありますが、今回注目されているのは値上げ幅の3割を占めると言われている骨材メーカーの輸送費上昇分です。生コン価格は2022年以降、段階的に値上がりしてきましたが、理由の主は原燃料高でした。今回は事情が異なってきているだけに話題になっています。同協組が2023年4月に組合員を対象に調査を実施したところ、輸送費用などのコストは2022年度に比べて1㎥たり平均で約1900円増えているそうです。今回打ち出した値上げ幅は1000円にとどまるようですが、運送費が増す2024年度に備え、販売価格も2000円上げておきたいのが本音のようです。
生コンは工場から1時間半以内に目的地に届けるルールがあります。運転手を長時間拘束することはないが、運転手不足が見込まれる2024年度以降は、他業種との確保競争が激化するとみられており、運転手を囲い込むため、輸送費の上昇受け入れは避けられない状況です。
一方、鋼材でも輸送コストの増加を加味した値上げの動きがみられています。日本製鐵傘下の日鉄建材は建築物の床材に使うデッキプレートとよばれる製品について、2024年4月納入分から販売価格を5%程度引き上げることを発表しました。こちらも輸送コストの上昇を主な理由としています。その他、東京製鉄は50社程度の運送業者と個別に協議し、10月までに運賃の大幅引き上げを受け入れました。引き上げ合意は5年ぶりというから驚きです。運転手の賃上げや、輸送時間を短縮するために使う高速道路の料金などを加味しており、製品価格に上乗せされる見通しとなります。
このように、建設・製造業ではサプライチェーンの上流に位置する産業素材から最終製品に向けて輸送コストの増加分を転嫁する流れが広がりそうです。工事単価の急激な上昇で需要家であるゼネコンは利益率が低下してきています。ようやく資材費が高止まりするなか、一層の値上げに反発を強める可能性は高いと思います。
現在、建設資材の荷動きは工事現場の人手不足や資材価格の高騰を背景に低水準で推移しています。東京など大都市の大型再開発は堅調ですが、中小の建設案件ではコスト高を受けた着工の先送りや中止、工事計画の縮小などの動きが見られています。価格転嫁の流れが滞る可能性もあり双方に決断が難しい状況です。製造業も新型コロナウイルス禍からの回復はいまだ鈍く、経済産業省がまとめた鉱工業生産指数は直近の8月(確報値)で前月比0.7%低下しています。2024年問題をコスト面で克服できるか?不動産業界も住宅販売に大きく影響するこの問題ですが、今後も材料費・人件費といったコスト高問題に焦点が当たりそうです。
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