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伝統の中華街保護に向け始動

建築

山田 恵二

筆者 山田 恵二

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本日は、弊社からも近くの横浜中華街に関する話題をご紹介したいと思います。ここ数年の間で、インバウンド効果もあり観光地として再注目されている伝統の中華街では、店舗の入れ替えも激しく改めて今後の繁栄にむけて動き出したようです。

横浜市中区にある横浜中華街で、飲食店や土産物店といった商業機能の保護に向けたルール整備が広がっています。関連する23団体で構成する「横浜中華街『街づくり』団体連合協議会」が今年の1月下旬に協定を結び話題になりました。注目すべきは区域内での開発に関して関係団体との協議を求めるなどして、中華街での無秩序なマンション開発などを制限するところにあります。

「街づくり協定」を中華街の商店会や同郷会、学校、金融機関など23団体が策定しました。中華街で不動産開発を計画する企業や個人は事前に同協議会の委員会による審査を受ける必要があるルールを設けました。独特の景観と歴史あるコミュニティーを維持するため一定のルールが必要と判断したようです。協定は条例などとは異なり法的な強制力は持たないものの、行政手続きの前段階で地域との事前協議を求めることで、開発の抑制につなげる狙いのようです。

約500m四方あるとされる中華街を囲む牌楼(門)を起点に、区域や通りごとに5段階の開発ルールを設け、中心部は商業のための「コアエリア」と設定しました。エリア内はマンションや戸建て住宅のほか、老人ホームや寄宿舎も新築を制限する予定です。通行量の多い大きな通り沿いの店舗は1階を飲食や店舗、ホテルなどに用途を限定し、バルコニーなどの設置も禁止して低層階は「中華街らしい」景観を保つよう求めます。コアエリアに加え、周辺部を含む「街づくり協定区域」ではパチンコ店や風俗店、消費者金融やペットショップなどの出店も制限するとのことです。また、住宅開発のための地上げ対策として、駐車場の新設についても区域や期間により一定の制限を設け、空き地が長い間放置されないようにするのが狙いです。


一方、すでに「コアエリア」に住居を設けている事業者もあります。協定では既存住民らの建て替えなどの権利は認めるようで、住戸数の枠を超えるマンション再開発などは抑え、商業地としての機能維持をめざします。既存の住宅は建て替え時に集約するよう誘導し、木造密集地の問題を解消するなどして地域の防災・減災対策にもつなげる狙いがあるようです。

開港から160年を超える横浜港に近い横浜中華街は年2000万人近くが訪れる東アジア最大のチャイナタウンとされています。ただ近年は老舗の倒産や後継者不足による店舗や土地の売却が目立っていました。中華街の最寄り駅があるJR根岸線やみなとみらい線は東京都心部に直通しており、周辺ではマンション開発も活発になっています。ここ数年で、新築マンションはみなとみらい沿線でも相当数増えました。横浜ベイエリアの観光の中心として住宅地化するのを抑制できるかがポイントになりそうです。

中華街に隣接する元町商店街でも先行して街づくりに関する協定を設けた事例はあります。質の高い街並みの連続が財産とし、建物の意匠や外壁デザインの色、夜間照明や看板の設置ルールなどを定めています。指定区域で事業者が新増築や改修をする際には地域の協同組合に事前協議を求める点は中華街の試みと重なっています。街並みや道路の環境整備は他の多くの商店街も見本にしているようです。

中華街では新型コロナウイルス禍前までは首都圏からの観光客が多く、中心部での空き店舗の放置や大規模マンション開発は目立ってこなかった。一方、足元で外部環境が変化するなかこれからも100年続く街であるため、時代にあわせた新しい街づくり協定を定めたようです。

他にも横浜市は先日、市議会常任委員会で山下ふ頭再開発の事業計画案を公表しました。広大なスペースには大規模な「緑の空間」をつくり出すほか、イノベーションやにぎわいの拠点を配置することを盛り込み、クルーズなどの海上交通にも活用します。再開発では市民交流やイベントなどの活動のほか、最先端技術を体感できるフィールドとして、国内外の企業や研究・教育機関なども呼び込む狙いがあり、災害時には来街者の一時退避や船舶からの緊急物資の受け入れ、ヘリコプターの離着陸も想定するようです。

国際クルーズ船の受け入れを目指してターミナルの整備も計画しています。横浜港や羽田空港、市内の河川を生かした舟運機能の導入を目指し、その他宿泊施設も整備する予定とのことです。市は2025年6月に検討委員会の答申を踏まえて基本的な方向性を発表し、市民意見の募集やランダムに選ばれた市民による検討会を開くなどしてきました。今後、事業計画案に対して市民の意見を再度募集し、新たな事業計画を策定する予定です。民設民営を基本とし、2027年末の事業化、30年代前半の供用開始を目指すと発表しています。横浜市民としては、こちらの動きも今後目が離せません。

横浜市の中でも、観光名所として名高い「横浜中華街」。最近では、関内駅前に完成した「BASEGATE横浜関内」にも注目が集まる中、「山下公園」や「みなとみらい」といった集客コンテンツ以外に新たな名所は出来るのでしょうか?市民からの意見を活用することでより良い街づくりに期待したいです。


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