大規模緩和終了へ、家計への影響は?
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本日は、マイナス金利解除が決定し17年ぶりの利上げに転じることで我々の生活にどう影響してくるかについての話題をご紹介したいと思います!
日銀は19日、マイナス金利政策の解除を決めました。マイナス金利政策は、銀行がお金を企業や家計に貸出しに回すよう促すことで物価上昇や経済の活性化を目指した施策でした。世界各国でもこの金融政策を採用した国は多く、共にインフレに向かうと解除といった流れをくんでおり、採用している最後の主要国として日本が解除することで世界的にもこの政策を採用する中央銀行が無くなったことになります。同政策の導入で、導入後に住宅ローン金利低下などの効果が見られました。一方で、金融機関収益の圧迫などの副作用も指摘されてきました。金利の基点をマイナスに置くことで金利全体に低下圧力がかかり運用的には逆風が吹く結果となりました。インフレが定着して賃上げ率も33年ぶりの高水準となるなかで、金利がある世界への復活がいよいよ現実味を増してきました。今後は大手銀行が決めた預金金利の引き上げは家計に恩恵をもたらすことに期待し、企業部門では収益性の高い企業や事業に好機が訪れれば、経済の新陳代謝につながる期待もあります。今後、金利が上昇すると経営の厳しい企業は廃業予備軍となる可能性はありますが、優良企業による買収や円滑な事業承継を伴えば産業全体の活力は増すという考えもあります。人手不足も相まって、収益性の低い企業や事業が整理されて、成長分野への人材移動が加速すれば経済全体の成長力の底上げにもつながると思います。
エコノミストの間ではマイナス金利解除でも、当面の景気は底堅く推移するとの見通しが強く、春季労使交渉での賃上げが想定以上の高さで、個人消費は今後増えると思われます。
そしてこれを受け早速、大手銀行の「三菱UFJ銀行」と「三井住友銀行」は19日に、普通預金の金利を現在の20倍の0.02%に引き上げると発表しました。PayPay銀行は0.03%にするとの発表もありました。続きて、「みずほ銀行」と「りそな銀行」、「三井住友信託銀行」も引き上げに動く模様です。3メガバンクが普通預金の金利を引き上げるのは、日銀が最後に利上げした2007年以来17年ぶりとなります。過去、大手銀行などはマイナス金利政策が始まった2016年2月に預金金利を0.02%から0.001%に引き下げました。政策金利がプラス圏に浮上することで預金金利もいよいよ「金利のある世界」に戻ります。
まだマイナス0.1%だった政策金利を0~0.1%程度に引き上げたところではありますが、今後の我々生活におていはどの様に影響が出てくるのでしょうか?「みずほリサーチ&テクノロジーズ」が利上げが続いた場合の家計への影響を試算していたのでご紹介したいと思います。仮に政策金利が今後1.0%まで上昇した場合のケースを想定し、長期金利は年度平均で1.4%、10年物の定期預金金利が同1.0%まで上がると見込んだ計算になります。
この場合、住宅ローン金利の上昇で家計は1.0兆円の負担増が生じます。一方で収入は預金利子や株式・投資信託の配当などで4.6兆円増え、全体では差し引き3.6兆円の恩恵となる試算となりました。住宅ローン金利は今後まずは固定タイプで上昇する可能性が高いです。住宅ローン利用者の7割が利用しているとされる変動金利ローンは、貸し出しの基準金利となる短期プライムレート(以降、短プラ)が影響するのですぐには金利上昇とはなりません。三菱UFJ銀行も19日、短プラを据え置くと発表しました。
短プラが最後に下がったのは2016年のマイナス金利政策の導入時ではなく、日銀が翌日物金利の誘導水準を0.3%前後から0.1%前後に下げた後の2009年でした。このため同レートを基準にする変動金利ローンはマイナス金利解除だけでは影響が小さく、日銀が追加的に利上げを判断したときに上昇する可能性がありそうです。
年金については長期的にプラスの影響が見込まれます。厚生労働省の担当者は、金利上昇は保有債券の価格が下がる悪影響がある一方で「長期的にはインカムゲインが増えるので、将来世代の年金財源を増やすための効果が期待できる」と話しています。
企業部門では前段でもお話しした様に、企業の金利負担が増える一方で、産業界に新陳代謝をもたらす期待もあります。日本総合研究所の試算では、もし借入金利が1%上昇すれば企業全体の経常利益は7.4%減少し、有利子負債の依存度が大きく収益力が弱い零細企業は21.1%減となる見込みだそうです。その他、帝国データバンクの試算によると、稼ぎに比べ過大な負債を抱えている「ゾンビ企業」の割合は2022年度時点で17%を占めており、推計で25万社にのぼるようです。2019年度時点では15万社でしたが、新型コロナウイルス禍で2020年度以降に急増しました。日本経済研究センターがまとめた経済見通しの平均値であるESPフォーキャスト調査によると、1~3月期の国内総生産(GDP)は前期比年率0.36%減となる一方、4~6月期は1.62%増とプラス成長に回帰する見込みだそうです。
一方、懸念の声も残ります。物価上昇のペースは弱まっており、GDPギャップも需要超過の状態ではなく、支出増が物価上昇につながる経路は観察されていない部分も指摘されています。金融政策の変更は実体経済に数カ月~数年ほど遅れて影響します。内閣府のマクロ経済モデルでは仮に短期金利が1%上昇すると、GDPは1年目に0.3%、3年目に1.2%下がるとされています。消費者物価指数をみると、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は前年同月比で昨年夏に4.3%をつけて以降、今年1月まで5カ月連続で伸び幅が縮小している状況です。
民間エコノミストの見通し平均では2025年にもインフレ率が2%を割り込むと予想しています。今後の金利の行方は、企業や家計がどこまで緩やかなインフレを受け入れて経済活動を進めていくかにもかかっています。
なかなか、日常生活では支出は明らかに増えていても収入がそれに伴っている様には感じられていないのが現状なのかもしれません。一般生活において、「豊かさ」を感じるにはまだ少し時間がかかりそうです。
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