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本日は、毎年恒例の「公示地価2024」の話題についてご紹介したいと思います!
不動産業界にとってとても重要な2024年の公示地価が昨日国土交通省によって発表されました。全用途の全国平均は前年比2.3%上がり、伸び率はバブル期以来33年ぶりの高さとなりました。株価や賃金に続き土地にも上昇の波が広がり、日本は今まさに脱デフレの転機を迎えています。今後は先行きの利上げを懸念し、海外マネーには変調の兆しもあります。昨年までも2年連続の上昇傾向ではありましたが、伸び率が2%を超えるのは1991年の11.3%以来となります。バブル崩壊後、日本の地価は長らくマイナス圏に沈んでおりましたが、足元では日経平均株価が史上最高値をつけ、物価や賃上げにも勢いが目立つなかで地価も潮目が変わりつつあります。
大事なのは経済を底上げして勢いを持続できるかが今後の焦点となります。2023年5月には新型コロナの感染症法上の位置づけが「5類」となり、行動制限が撤廃され人流回復を受けて店舗需要が増えたほか、オフィス需要も底堅い状況です。2023年の訪日客数はコロナ前の2019年の8割ほどの水準まで戻しており、中でも青森市の商業地は32年ぶりプラスに転じました。クルーズ船再開や「青森ねぶた祭」で観光客を引き寄せたことが大きく起因しています。
東京は在宅勤務の縮小などでオフィス回帰の動きが鮮明となっており、東京23区の商業地は平均7.0%プラスとなり、大型オフィスビルのテナント誘致が相変わらず好調です。森ビルが2023年10月に開業した「虎ノ門ヒルズ」のステーションタワーはほぼ満床となり話題となりました。同年11月開業の「麻布台ヒルズ」でも2024年1月までに延べ床面積の5割強を引き渡したそうです。人手不足で企業の採用が難しくなり、交通利便性など立地条件の良さが以前にも増して重視されるようになってきています。
地方も注目されています。2月に開業した台湾積体電路製造(TSMC)の熊本工場に近い大津町の商業地の一部は33.2%上昇し、商業地の上昇率で全国トップでした。半導体企業の日本進出が相次ぎ、国内の関連投資額は2029年までに9兆円規模に上る見通しだそうです。新たな雇用が生まれると地域で住宅需要や消費が活発になり、住宅地や商業地の価格も上向く好循環につながります。広大な土地が武器の地方にとって、大型企業誘致は地域活性化の大きなカギとなります。
一方、当面の懸念材料は日銀のマイナス金利解除が及ぼす影響です。海外投資家は低金利下の日本で借り入れて不動産に投資する利点が大きかったですが、日本も本格的な利上げに移れば投資環境は変わってきます。実際その兆候はすでに出てきており、不動産サービス大手のジョーンズラングラサール(JLL)によると、2023年の国内不動産投資額は前年比4%伸びた半面、海外からの投資額は32.5%減ったとの調査報告を発表しています。金利上昇の警戒感から日本の不動産物件を売却する動きが出てきてもおかしくないです。投資家にとっては株式など他の金融商品に目が移りやすい状況にあるなか、投資先として不動産の魅力が薄れるリスクも今後は出てきそうです。
そして気になる神奈川県内はというと、県内の住宅地の平均変動率は前年比2.8%の上昇と3年連続の上昇でした。2023年3月に開業した相模鉄道と東急電鉄が直通する「新横浜線」によって利便性が高まった沿線の駅周辺で上昇が目立ちました。やはり、新規インフラ開通というのが今なお資産価値を上げる要素になっていることは明確となりました。その結果、住宅地では「新横浜線」の相鉄・西谷駅周辺(横浜市保土ケ谷区)が初めて上昇率トップとなりました。相鉄沿線では東京方面や新横浜駅へのアクセスが容易になり、二俣川駅、ゆめが丘駅、湘南台駅周辺の伸びも大きいです。ゆめが丘駅は相鉄グループが開発する大規模商業施設「ゆめが丘ソラトス」が7月に開業予定で期待も高まっています。商業地は5.4%、工業地は5.9%それぞれ上昇し、前年よりも上昇幅が拡大したことが今年の特徴とも言えます。
市区町村別の上昇率は横浜市西区(4.7%上昇)を抑えて茅ケ崎市(5.2%上昇)が首位で大和市(4.8%上昇)が続く結果となりました。コロナ禍以降、自然を感じられる海岸近くや子育て環境が充実した地域への人気も底堅く以前よりも若い世代が流入しています。
住宅地は前年からの継続調査地点のうち89.4%で上昇しました。横浜市の平均変動率は2.7%の上昇、川崎市は3.2%の上昇となっており、利便性の高い駅周辺部だけでなく、駅につながるバス路線でも価格上昇が見られました。中心部の価格上昇が郊外にも波及してきています。
東京都心に近い神奈川県東部の上昇傾向が強いが、これまで下落傾向にあった県西地域や三浦半島の地域でも上昇率が拡大したり上昇に転じたりした地点が多く、長らく下落が続いた値ごろ感に加え、新型コロナウイルス禍で浸透したテレワークの普及などで自然豊かなエリアの人気が継続しています。中井町や山北町、真鶴町など下落傾向が続いている地点でも下落率は前年比で縮小しています。商業地は継続調査地点のうち93.3%で上昇しており、資金調達環境が良好だったため再開発などの投資需要が旺盛でした。さらに武蔵小杉駅周辺のタワーマンション群のように低層階を商業用途、上層階を住宅用途とするのが可能な地域では旺盛な住宅需要を背景に上昇率が拡大しています。
これにより横浜市全体の平均変動率は上昇率が6%と拡大し、今後も横浜駅周辺の再開発への期待感や、みなとみらい地区への企業・ホテルなどの進出による商業集積効果で人気が高まる要素は多いです。そして、市役所の新庁舎整備で開発期待が高まる川崎市(7.1%)や、リニア中央新幹線「神奈川県駅(仮称)」が設置される予定の相模原市(5.7%)などで上昇率が拡大し、すべての区で上昇したことは大きくデフレ脱却感を感じさせました。工業地は高速交通道路網の整備により厚木や相模原など物流に適した地点で大幅な上昇となり、インターネット通販市場の拡大を背景に、消費地の近くの中小規模の倉庫用地でも需要が伸びています。
全用途で上昇傾向にある神奈川県ではありますが、都心へのアクセスの良さや開発途上の余地などが相まった結果です。今後は、前段でも指摘したように今後の金融政策如何ではトレンドに敏感な海外投資らがどのような先手を打ってくるかも大きく影響しそうです。
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