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利上げは来年に持ち越し、どうなる⁉︎今後の金融政策

金融

山田 恵二

筆者 山田 恵二

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本日は、今月19日に行われました金融政策決定会合で注目の政策金利の利上げが見送られた話題についてご紹介したいと思います!

SANSHIN picksでもこの話題に関しては、随時ご紹介しておりますが、企業はもちろん各家庭の家計までにも影響する重要な事柄です。
そして本日の本題ですが、日銀は先日の会合で市場予想通り政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.25%に据え置きました。これで日銀は7月末の会合で0.25%への利上げを決めてから、利上げ見送りは3会合連続となりました。植田総裁は記者会見で据え置きの理由として春闘に向けた賃金動向や、米国経済の先行きについて一段の材料が必要なことを挙げ、説明の内容は市場の想定よりも消極的な姿勢であったため、為替市場では結果急速に円安が進行しました。円安進行は1月の利上げ支持要因ながら会見内容から1月利上げの可能性はやや低下したようにも思えます。

気になる米国の動きですが、先日米連邦準備理事会(以降、FRB)は政策金利を0.25%引き下げた上で、2025年の利下げ回数が2回になるとの見通しを示しました。1月に就任するトランプ次期米大統領の経済政策は不透明な部分が多いです。日米の中央銀行はトランプ次期政権発足に伴う不安定さやリスクと向き合いながら、2025年の金融政策のかじ取りに臨まなくてはなりません。

国内経済に関しては「オントラック(想定通り)でここ数カ月きている」と植田総裁はコメントしたものの、「米次期政権を巡る不確実性は大きい」として、トランプ氏の政策の影響を見極めていく考えのようです。

今回見送りとなって当然気になるのが、今後の追加利上げの判断の時期です。時期に関してははっきり明言せず、来年1月23~24日に開く次回の会合で、1月初旬の支店長会議から得られる情報などを基に「総合判断」するようです。

一方、FRBは直近で開かれた米連邦公開市場委員会(以降、FOMC)で3会合連続の利下げに踏み切りました。FOMC参加者の示した利下げ見通しは従来より緩やかなものとなり、2025年を通じて2回、合計0.5%となりました。9月時点の見通しから半減したかたちとなります。FRBが利下げペースを緩め、日銀の植田総裁が追加利上げの時期を明言しなかったことから、19日の金融市場ではドル高・円安が進んだようです。特に植田総裁の記者会見中や会見後に急速に円安が進み、一時1ドル=157円台をつけました。

FRBが利下げを急がない理由は大きく3つあります。まずトランプ次期米政権の政策を見極める必要があるためです。

トランプ氏の掲げる政策は物価の上振れにつながると見る向きが多いこと、その他利下げの到達点である「中立金利」が上昇している可能性がある点や、米経済の底堅さも利下げを急がない要因となっています。FRBが利下げに慎重になったことで、2025年も日米の金利差が大きく開いた状態が続く公算が大きいと見ています。家計も企業も金利ある世界に慣れていないことを考慮し、緩やかな利上げペースを想定しているようです。今後のペースとしては、半年に1回程度というのが各メディアによる日銀内の感覚といったところのようです。FOMCの利下げを経てもなお、日米の政策金利は4%以上の開きがあるのが現状で、市場では日米金利差が早期に縮まらないことを見越し、今後も円安圧力がくすぶり続ける可能性があると見ています。

日銀が今回の会合で政策金利を据え置いた米国の先行きと賃金動向に加え、国内経済指標と円安動向を踏まえると、1月利上げの可能性はやや後退したのかもしれません。植田総裁的にも円安進行を懸念しており、これまで利上姿勢をにじませるコミュニケーションをしていただけに、今回の会見はやや意外感があったようにも思えます。

しかしながら、今年3月に日銀がマイナス金利を脱却する利上げを決定したのは春闘の集中回答の影響が大きかったです。トランプ次期政権の政策も就任後に、ある程度見えてくるのは間違いありません。円安が一段と悪化するならば、1月利上げの可能性は十分残りますが、植田総裁の会見を素直に聞く限り、3月に利上げを遅らせる可能性も高まった印象でした。


仮に、来春以降政策金利の引き上げがあったとしても各金融機関がどの程度適用金利に反映させるかもポイントです。実際、消費者にダイレクトに影響が出るかはそうしたいくつかの段階が想定されますので引き続き、日銀の金融政策やFRBの動き、トランプ大統領の政策実行スピード、春闘の結果を踏まえてレポートしていきたいと思います。


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