持ち家率の低い「就職氷河期世代」
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先日日経新聞の1面に興味深い記事が掲載されていましたので本日はその内容についてご紹介したいと思います!
気になる内容ですが、就職氷河期世代の持ち家率が他世代に比べても低下幅が大きいという内容でした。まさしく、就職氷河期世代の私自身この話題は無視出来ません。我々不動産業に従事している人間は不動産や持ち家に対しての情報感度は商売柄高くなりますが、そもそもその他の方からすれば購入までの道のりや手続きを考えると面倒くさいが先行して当然かと思います。
記事によると特に顕著なのが40~50代の持ち家率で、国の最新の調査では全世代平均は横ばいですが、30年前と比べ10ポイント前後も下がっていると言います。怖いのはこのまま高齢期に近づくということです。今のこの年代は就職氷河期世代といわれ、就職難に見舞われた世代です。現在も経済的な苦境は続いている人も少なくなく、老後の年金も多くを望めなければ賃貸に住むこともままならない状況です。物価だけが高騰し賃金が思うように上昇しなければこういった固定費への比重はさらに大きくなってしまいます。
内閣府によると、就職氷河期世代はおおむね1993~2004年の間に社会に出た人を指すと公表されています。全体では2000万人を超えるとみられ、実に総人口の6分の1という割合を占めています。バブル景気が崩壊し、多くの企業が新卒採用を大幅に減らした1993年から2004年に高校や大学を卒業して社会に出た人我々世代は団塊の世代といわれる両親に育てられていたので、自宅に対しての価値観も今とは少々異なります。就職率が低下し始めた当初、その原因は若者の意識変化にあるという見方もありました。ただ、1990年代末に大手金融機関の破綻が相次いだ後、大卒就職率は50%台に低迷し、社会問題としての認識が強まり、就労支援などの対策が順次、講じられるようになりました。ただ、新卒時に就職できなかった影響はその後も尾を引き、この世代の就労状況の不安定さは長く続いたとも言われています。
国勢調査によると、2020年時点で未婚者のうち40代は247万人、50代は138万人が親と同居しており、うち40代は48万人、50代は32万人が就業もしていないという調査報告もあるようで、経済困窮や社会的孤立など長期的な課題となる可能性が高く、官民を挙げて包括的な対策を進める必要があります。5年に1回実施される総務省の住宅・土地統計調査では、持ち家率が最新の2023年で40代58%、50代65.5%。30年前と比べ、いずれも10ポイント前後も低下しているそうです。ほかの世代と比較しても低下幅が大きいです。氷河期世代の持ち家率低下の一因と考えられるのが経済的苦境にあります。あくまで統計ではありますが文部科学省によると、大卒の就職率はバブル期の91年卒に比べ5~26ポイントほど低いそうです。
さらに問題なのは就職できても収入は伸び悩んでいるという点です。厚生労働省によると、40代から50代前半の年収増加率は2023年までの10年、ほかの世代より低く推移しています。当然、年収の低迷は住宅の購入マインドを抑制してしまいます。総務省の国勢調査で2020年時点の男女の未婚率を30年前と比べると、全世代では1.2~3.1ポイントの上昇にとどまっているのに対し、40~50代は10.3~21.5ポイントも上がっているそうです。一般生活においての経済苦境は、住宅購入の大きな動機でもある結婚や出産といったイベントにもブレーキがかかってしまうことも危惧されます。
そこに追い打ちをかけるように10年前くらいからは住宅価格が顕著に上昇し始めました。アベノミクスが本格化した2013年ごろから住宅価格が高騰し、国土交通省の不動産価格指数は足元で、10年平均に対して戸建て住宅は約16%高、マンションは2倍超となっています。それでも、住宅購入の夢を前向きにさせてくれていたのが低金利でした。しかし、その低金利時代も今年に入ってから利上げに風向きがかわってきているところを見ると終わりを告げる日も近いかもしれません。
この状況が続くとどうなるのか?年金では住居費を工面できず、生活に困窮する人が急増する可能性が出てきます。前段で紹介したように氷河期世代は非正規で働いた期間が長かったり、収入が低かったりした影響から年金が少ない懸念もあります。怖いのは賃貸生活です。持ち家はローンを完済すれば、高齢期の住居費の負担は抑えられますが、賃貸の家賃負担は変わらないからです。こうなってくると、生活保護などに頼らざるを得ない人が一気に膨らむリスクすらあります。氷河期世代への給付が急増すれば、ほかの世代にも深刻な影響が及びます。
国土交通省などの審議会でも40~50代の持ち家率の低さはかねて危機感があるようで、将来の課題の一つと認識されています。氷河期世代の支援があと10年早ければ、問題の深刻化を抑えられたかもしれません。氷河期世代の先頭が65歳以上になるまであと15年程度です。それまでにどれだけ有効な対策が打てるかが焦点になりそうです。
とはいえ、全体的な賃上げが定着しメディアでも取り上げられている今こそ、流れを変える好機なのかもしれません。収入増を支援するこれまでの仕組みを充実させるほか、住宅ローン控除や補助金など住宅の確保に配慮した施策も欠かせません。また、日本は持ち家中心の政策が長いですが西欧の一部には賃貸住宅に手厚い公的支援があり、日本でも採用できる要素を探る試みが必要かもしれません。持ち家推進だけではなく、賃貸支援も含め、改めて全世代が安住の家を求めることができる好循環を考えさせられます。
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