利上げ後の住宅ローン返済方法見直しについて
皆様、弊社SANSHIN picksをいつもご覧頂き誠に有難うございます!
下記記事を先日のSANSHIN picksでご紹介したところ、有難いことに反響を多く頂きましたので本日は、今後変動金利が上昇した場合の返済シミュレーションや対策をご紹介したいと思います。
この問題、住宅ローンを長期に渡り変動金利型で借入している方ですと毎月の家計にも大きく影響する話題です。
まず、連日ニュースで話題になっている基準金利の上昇とは日銀の利上げを反映したものになります。多くの金融機関はまず政策金利と同じ幅だけ短期プライムレート(以下、短プラ)など貸し出しの基準となる金利を引き上げます。これが住宅ローンの基準金利のベースとなり、4月1日、10月1日といった基準日に金利が見直され、その2〜3カ月後の返済分から金利が実際に上がります。約1年前に35年ローンを最優遇の金利水準で借りたとして影響を試算すると、借入額4500万円なら毎月返済額が約8000円増える計算となります。今後、予測される金利動向としては上昇トレンドなので、先々中長期で完済できるかを再度確認する必要があります。変動金利で借りている個人は、今後、どのような対応が必要か検証し考えてみたいと思います。
現在、変動金利で住宅ローンを借りているなら、まず現状把握が大切です。毎月返済額の見直しを原則5年ごととする「5年ルール」がある場合、金利が上昇しても毎月返済額が変わらず、金利の上昇に気づかないケースも多いです。まずは、借入先の金融機関が提示する「返済予定表(金融機関から毎年定期的に郵送※金融機関によりネット上の開示のみというところも増えています)」で、現在のローン残高や適用金利の水準を確認してみましょう。返済予定表には住宅ローンの借入日や借入額、残高などが記載されており、これらの情報を使ってシミュレーションサイトで試算すれば、完済までにどのくらい金利が上がると、毎月返済額がどの程度増えるのかといった点を、ある程度把握出来ます。
2010年代前半に変動型で借りた人は、当初年0.7~0.9%程度の金利が多く、そのままの金利で借り続けていれば、今回の金利上昇で適用金利が1%台になるケースもあります。そう考えると、ここ数年でさらに低金利が進み継続されてきたかを実感出来ます。
そうした場合、より低金利の変動型への借り換えが選択肢が出てきます。足元では、借り換え向けの変動型の金利を年0.4%前後で提示している銀行もあり、残りの返済期間が20年程度、ローン残高が3000万円程度なら、借り換えのメリットは200万円超になる計算です。
その他、金利の変動リスクをなくすには、固定型に借り換えるのが選択肢もありますが固定型への借り換えは慎重にした方がいいです。過去を振り返ってみると2006年〜07年にも、住宅ローンの金利が0.25%ずつ2回上昇した局面がありました。当時、固定型に借り換える人が銀行に押し寄せたが、皮肉にも、その後、金利は低下しました。今後、金利が2%以上、上昇するとみるなら固定型への借り換えも選択肢ですが、そこまで上昇しないと考えるなら、固定型に借り換える金利メリットは少ないと思います。
そして、お問い合わせも多い「繰り上げ返済」も金利上昇への対策の一つです。結論、手元資金に余裕があるなら検討しても良いと思います。仮に、年0.8%の金利でローン残高が4000万円程度、残りの返済期間が30年以上ある場合に、約100万円を「期間短縮型」(その他、残存返済期間はそのままで毎月の返済額を減額する「返済額軽減型」もあります)で繰り上げ返済すると、返済期間は10カ月ほど短くなり、利息の削減効果は約30万円になります。しかし考え方の一つとして年齢も重要です。現在、40〜50代で完済時の年齢が70代になるなら、10カ月の期間短縮の効果は大きいかと思います。まだ30代なのであれば、手持ちの100万円を資産運用で増やす方がいいと考えるかもしれません。繰り上げ返済は完済時の年齢や家計の状況をみて検討すべき手段になります。
冒頭でも申し上げた通り、4月に基準金利を年0.25%引き上げる銀行は多いですが今後、物価や金利がどこまで上昇するかは不透明です。これからさらに金利が上昇しても、返済が継続でき完済できるかどうかを確認しておく必要があります。変動型には「5年ルール」に加え、毎月返済額を引き上げる際には、上限を25%までとする「125%ルール」もあります。完済可能かどうか確認する際には、今の毎月返済額より25%金額が増えても、年間収支が赤字にならないかを計算しておくべきです。
そして、変動型で住宅ローンを借りている人は、5年ルールの有無も確認しておいて下さい。5年ルールがある金融機関の場合、毎月返済額が増えるのは6年目、11年目、16年目といった5年ごとの節目の年からです。仕組みとして毎月返済額のうち利息分の割合が上がりますが、返済額そのものは変わりません。6年目、11年目などにその時点の適用金利とローン残高、残りの返済期間で再計算し、その後5年間の毎月返済額が決まります。
将来の収入の見通しや、教育費など支出が増える時期と照らしあわせて返済が厳しくなる可能性があれば、繰り上げ返済や日々の家計支出の見直しに取りかかるきっかけになるかもしれないためこの作業はとても大切です。
一方、ソニー銀行やSBI新生銀行、PayPay銀行のような金利の低いネット系銀行には5年ルールがない銀行もあります。適用金利が上がるとその都度、毎月返済額が単純に増えます。家計にとっては時間的余裕はありませんが、ルールがある場合より総返済額は少なく済む金融機関もあります。ルールの有無は金融機関ごとに決まっており、付けたり外したりはできない仕組みになっています。
繰上げ返済は、あくまで返済計画を逆算し試算したうえで手元資金に余裕がある時に検討した方がよい直接的な対策です。間接的な対策として、家電を買い替えるタイミングを遅くしたり、洋服の購入頻度を減らしたりと、物の購入サイクルを延ばすことでその他の支出を抑えることも重要です。旅行に行くのでも、価格が高くなる時期を避けて費用を抑えるなど単純な節約も忘れてはいけません。
もう一つ繰上げ返済について勘案すべき要素は、「住宅ローン控除」です。住宅ローン減税の控除率0.7%の人は『借り得』がほぼ消失した状態になります。今後も日銀の利上げが続けば、控除率1%の人も支払金利が減税メリットより大きくなる可能性もあります。「借り得」とは、年末の住宅ローン残高の一定割合を所得税などから差し引く住宅ローン減税によって変動型ローンが事実上マイナス金利になっていた状況のことを指します。手元資金があっても、あえて繰り上げ返済しないほうが家計にプラスになることもあります。2022年末までの入居で控除率1%、控除期間は最大13年、控除対象の借入額が上限4000万円のケースがありました。試算例で言えば、金利年0.4%、借入額4500万円の場合、13年間の支払利息約190万円に対し、所得控除額は約460万円にのぼり、約270万円の「借り得」となるわけです。現行の控除率0.7%の場合を、限度額3000万円のケースで試算しても、約80万円の得です。
本日ご紹介した内容は、様々な要素を踏まえ総合的判断が必要となります。日銀の利上げによりマイナス面だけでなく預金金利も上がりますが、現役世代の家計の多くはローン残高より預金残高が少ないのが現状です。一つの目安として、適用金利が控除率を超えてきたら、まずは繰り上げ返済を検討するというのも良いのではないでしょうか?
横浜市|タワーマンション|リノベーション|
|湾岸エリア|不動産
神奈川県横浜市中区海岸通4-20-2 YT馬車道ビル301
みなとみらい線 「馬車道駅」 徒歩2分
SANSHIN Real Estate