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所有者不明「森林」の現状とは⁉︎

登記

山田 恵二

筆者 山田 恵二

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本日は、未登記森林の伐採促進に関する話題をご紹介したいと思います。以前より、所有者不明土地など相続登記がされずに放置された空き家が増えているという話題に関してはご紹介してきましたが今回取り上げるのは「森林」です。郊外や地方に行くとこうした手付かずとなった森林も多く行政としても自然災害のリスクなども考え動き出しました。

まず動き出しだのは東京都で、本年度時点で相続登記がされずに放置されたままになっている森林の所有者を特定し、伐採を促す全国初の取り組みを始めます。あまり知られていない事実として、山林の約3割は50年以上登記されず所有者が不明確になっている現状があります。とはいえ、相続人の同意なしに樹木は伐採できない為、放置すれば自然災害などのリスクは高まり、以前より問題視されていました。公的書類などを基にした地道な作業に取り組み、森林整備のボトルネックとなっている未登記問題の解消をめざす必要があります。

しかしながら、周辺に作業道が整備されていたり、伐採の時期を迎えていたりする「伐採による収益」が期待できるエリアに対象を絞り、集中的に所有者を割り出すことから始めるようで物理的に着手出来る様になるのにも時間がかかりそうです。

司法書士や税理士とも連携し、登記簿謄本などから所有者に関連する情報をたどり法定相続人などの連絡先を突き止めなくてはいけません。相続人が見つかれば登記更新を促したうえで都による伐採補助事業を提案することが可能となります。所有者捜しの協力者には謝礼金も用意し迅速に着手できる様行政も動いています。

しかし、放置された森林は所有者を見つけることができても、すぐに問題が解決するわけではありません。所有している森林の境界が不明瞭なことも多く、隣接した森林の所有者との合意がなければ、実際に伐採する作業には着手できないという問題もあります。このため、都は森林の所有者を特定したうえで、曖昧になっていた境界を決める時にも関係者との間にはいるかたちで仲介することも必要となります。


所有者がわからない森林の管理放置は全国的な問題になっており、法務省が2017年、相続登記がされていない土地について調査したところ、中小都市・中山間地域では32%の山林が最後の登記から50年以上が経過していることがわかりました。東京都の森林課によると「都内でも同じ水準の山林で所有者が不明確な状態になっているとみられる」といいます。

特に多いのは多摩地域で、民有林の所有者が約1万100人いると言われています。伐採の時期を迎えた森林でも一部に連絡の取れない所有者がいれば作業はできない為、東京都森林組合は森林の集約管理に取り組んでいるものの所有者の追跡はなかなか進まず、手をつけられない場所がたくさんあるといいます。

さらに今後、所有者割り出しに大きな壁となりそうな問題が一つあります。

2025年はすべての団塊の世代が後期高齢者に到達する「大相続時代」の問題です。相続の未登記が複数世代にわたって続けば、山林の所有者の特定は今よりももっと困難になります。森林が荒廃すれば地滑りなどの自然災害リスクも高まります。こうした背景もあり、東京都は2025年度予算で未登記森林の所有者を特定する事業予算に3億5300万円を計上するほど重要度の高い位置付けをしています。

もっとも、東京都が森林がある市町村を飛び越え、直接、地域の森林所有者に適切な管理を促さなければならない状況は、東京都による豊富な林業振興補助に頼ってきた林業の構造的な課題を表しているともいえます。

東京都は2000年代に当時の石原慎太郎知事のもと、花粉症対策として森林伐採事業を本格化した経緯があります。林業振興には手厚い補助を注いできました。公費を大規模に投入した樹木の伐採・収穫・造林は全国でもほとんど例がありません。東京都は2025年度の予算でも森林整備関連として約90億円を計上しています。都内の市町村では林業に関連する施策の遅れが目立っており、森林の荒廃対策では、林野庁が2019年度から所有者が経営できない森林を市町村が代わりに管理できる制度を設けています。2023年度までの5年間で全国では約400の市町村が実際に委託されたていますが、都内ではまだ実績がないのが現状です。

自治体としても人手やノウハウが不足しており、林業振興で思い切ったことはできないようです。長期的には所有者の特定や境界の明確化により、管理に一定のメドがついた森林を、市町村が主体的に管理する体制にどうやって移行していくかが課題となりそうです。

まだまだ前途多難なこの問題ですが、あくまで個人所有の森林なので所有者割り出しにどれだけ時間がかかるかによっては、現実的にさらなる強制力をもった法整備や税務制度が必要となる日もくるかもしれません。


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