老後の資金確保「リースバック」とは⁉︎の画像

老後の資金確保「リースバック」とは⁉︎

売買

山田 恵二

筆者 山田 恵二

不動産に関する事なら何でもご相談下さい。
特に、マンションに関しては長く扱ってきた経験もございますので将来のトレンドを見据えたご提案はもちろん、住宅ローンや税金に関しても細かくご説明致します。
自身の購入や売却といった実際の取引経験も交えてお客様一人一人に合わせたご提案を心がけております。

弊社SANSHIN picksをいつもご覧頂き誠に有難うごいざいます!

本日は、2010年代頃から徐々に注目される様になった「リースバック」というシステムについてご紹介したいと思います。一つの資産運用の形として老後資金を確保できることから注目されている仕組みなのでしっかりと内容把握する必要があります。

まず「リースバック」とは、所有している住宅を売却して現金を得て、売却後も賃貸住宅として賃料を支払うことで引き続き住み続けられるサービスのことです。老後の生活資金やレジャー資金、または有料老人ホームに入る資金などが得られるため、特に高齢者の利用が多いことが特徴です。このように、リースバックは慣れた自宅に住み続けながら売却代金を一括で受け取れる点や、売却によって所有ではなくなるので、固定資産税の負担がなくなるといったメリットもあり注目されてきました。

具体的な利用例として言えば、今現在住んでいる住宅が段差や階段などもあって住みにくくなっているので、高齢者施設への入居を申し込んだが、空きがなく待機する必要が生じたためリースバックを利用し、自宅に住み続けながら、施設入所を待つことにしたという利用ケースなどもあります。また、両親が住んでいる実家を建て替えて同居することにしたが、建て替え期間中に仮住まいの費用負担がかかるため、自宅を売却して資金を捻出できるリースバックを利用することにしたケースなど自宅の売却代金は新居の建築資金に充てながら、建て替えまで1年間の賃貸借契約を結ぶといった使い方も出来ます。

しかし、注意しなくてはいけない点もあります。最近ではこのリースバックで高齢者が巻き込まれる消費者トラブルが急増しています。まとまった資金を得られる一方、契約内容を十分に理解していなかったために退去を余儀なくされるケースもあり、国民生活センターはメリットとデメリットを慎重に検討するよう呼びかけています。

特に賃貸借契約の契約形態として「定期借家契約」を結んだ場合、更新が可能な普通借家契約と異なり、通常2~3年の期間満了後は退去しなければなりません。収入面で不安定な高齢者は新たな賃貸物件探しに難航することもあり、長く住み続けたい場合には適さない内容になっています。この様に、リースバック契約時において買取後の現居賃貸借契約の内容をしっかりと把握しなくてはいけません。特にこの商品は高齢者の利用率が高いので、提案側もしっかりとした商品詳細説明とリスクの説明は契約後のトラブル防止の意味でも不可欠です。

国土交通省が2024~2025年に不動産業者を対象に実施した実態調査によると、大半が65歳以上の高齢者世帯の顧客ニーズを受けてリースバック事業に取り組んだと回答しており、定期借家契約の物件は全体の48%とほぼ半数を占めていることも判明しています。全国の消費生活センターに寄せられるリースバックに関する相談の中には、内容をよく理解しないまま契約書にサインをしてしまったといった声も少なくないようです。さらに、2023年度の相談件数は計227件と、2019年度(19件)の12倍になっており需要に対し、トラブルの件数も増加傾向にあります。国交省の実態調査では、買い取り価格について52%の事業者が「周辺相場の6~7割」と回答しているようで、買取側もリースバックの期間中は賃貸以外に運用できないために価格を下げて提案するのが常となっています。

その他、修繕費用やクーリングオフを巡ってもトラブルのリスクがあります。賃貸契約は家主が修繕費用を負担するのが原則だが、リースバックの場合は借り主の負担となるケースもあるからです。元の所有者がそのまま入居するため、不具合を見つけるのが困難というのが理由になっています。また訪問販売などで購入した物品は、一定期間内であれば無条件で契約解除できる「クーリングオフ」の対象となりますが、リースバックは適用外となっており、いったん契約が成立すると解除するのが難しいにもかかわらず、実態調査では十分に説明していない事業者が4割に上ったという報告もあがっています。

こうした状況を踏まえ国交省では2022年、トラブル防止のためにリースバックの適切な活用法をまとめたガイドラインを作成しています。さらに契約時の注意点に関するチェックリストや法令に抵触しうる事例集の作成を進めています。売却後も同じ家に住み続けるため、周囲が異変に気づきにくく被害が顕在化しにくいというのがトラブルになっている要因かもしれません。こうしたトラブルを未然に防ぐ一つの抑止力として、リースバックで自宅を売却した個人の契約主もクーリングオフの保護対象とし、業者側に買い取り価格の客観的根拠を明らかにさせるといった対策の検討も今後は必要だと思います。確かに利用の仕方によってはメリットも多いこのシステムですが、しっかりと利用者側もデメリットや仕組みを今一度よく理解して慎重に対応しなくてはいけません。

今後、リースバックを利用検討する場合は以下ポイントを纏めましたので参考にしてみて下さい。リースバックを適切に利用することで老後の心配も軽減出来るかと思います。

① 複数の不動産業者・金融機関に相談し、ライフスタイルにあった条件・手法(通常の売却や融資なども検討)を考慮し最善策を考える
② 事業者の営業をうのみにせず、きちんと契約の条件・内容を理解し、家族・親族などと十分に相談したうえで決断する
③ 自分たちが希望する期間住み続けられるのか、賃貸契約の更新や再契約の条件などについて契約書を確認する
④ 毎月賃料を支払えるか試算したうえで、家賃の引き上げがないことを事前に確認しておく。現金を手元に十分残しておいて生活に支障がないようにしておく
⑤ リースバック期間中、設備が壊れた場合に修繕費用を負担するのはどちらなのか、また新規設備の設置の可否などについて確認しておく
(通常の賃貸契約では、貸主である所有者が負担するのが一般的ですが、リースバックでは特約で借主負担となっているケースが多いので注意が必要)
⑥ 提示された売却価格について、エリアの相場に照らして適切であるか、複数の事業者の意見を聞いてみる
⑦ 住宅価格の高騰で転売される可能性も高いので、リースバック契約時に、勝手に売却しないことを契約に盛り込んでおくなどの対策が必要
⑧ 一定期間後に買い戻しの可能性がある場合には、万が一に備えいくらで買い戻せるのかなどの条件を明確にして、契約前に確認しておく

では、金額面でいくら手元にあればいいのでしょうか?日本年金機構によると、令和4年度の夫婦2人分の標準的な年金額(厚生年金)は月額219,593円で、国民年金の1人分の年金額(満額)は、月額64,816円だそうです。一方で、ゆとりある老後を過ごすために必要な夫婦の生活費は、月額約36万円と言われています。夫婦で標準的な年金額を受け取れたとしても、毎月約14万円不足します。不足額は10年で1,680万円、20年で3,360万円です。こうした逆算も一つの参考試算として、何が有効か考えることも重要です。老後の資金確保には、本日ご紹介したリースバックだけではなく年金と退職金に加えて、積立投資や資産運用、iDeCo(個人型確定拠出年金)などの活用もあります。自身のライフプランや生活費を考慮し、早めに準備を始めることが、ゆとりある老後を過ごすために大切かもしれません。



LINEでも不動産の最新情報やお役立ち情報を配信しています!


- 横浜市のタワーマンション 山信不動産 -

 

タワーマンション情報はこちら

タワーマンションをお探しの方はこちら

 

横浜市|タワーマンション|リノベーション|

湾岸エリア|不動産

 

神奈川県横浜市中区海岸通4-20-2 YT馬車道ビル301

みなとみらい線 「馬車道駅」 徒歩2

 SANSHIN Real Estate



”売買”おすすめ記事

  • 新築供給減でも中古マンション高騰の今の画像

    新築供給減でも中古マンション高騰の今

    売買

  • 戸建VSマンションの価格基準とは?の画像

    戸建VSマンションの価格基準とは?

    売買

  • 都心の築10年中古マンションが注目される今の画像

    都心の築10年中古マンションが注目される今

    売買

  • 住宅ローンあるある(Vol.6)【「住宅購入」マクロ見解との相違点】の画像

    住宅ローンあるある(Vol.6)【「住宅購入」マクロ見解との相違点】

    売買

  • 不動産売買取引の「IT重説」本格開始の画像

    不動産売買取引の「IT重説」本格開始

    売買

もっと見る