新築供給減でも中古マンション高騰の今
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本日は、首都圏の新築マンションの供給数が減少してきている話題についてご紹介したいともいます。
世界的に見ても、日本は海外(特に欧米)に比べ新築供給数が多いのが特徴です、これは単純に年々人口減の日本のメーケットに対して逆行しており、中古住宅の空き家問題にも直結してしまうことから以前より需給バランスが問題視されています。
不動産調査会社の東京カンテイが先日発表した3月の中古マンションの平均希望売り出し価格は、東京23区で前月比4.0%高の㎡当たり9501万円でした。調査を始めた2004年1月以降の最高を更新しています。前年同月と比べると3割以上高く、都心の物件への投資マネー流入が続き、文京区の平均価格は初めて1億円を超えました。今回の上昇トレンドも昨今の高騰する新築マンションに対し、代替案として築浅中古マンションへの需要が増したことが大きな要因になります。
そんな中、不動産経済研究所が発表した2024年度の首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の新築マンション供給戸数は前年度比17%減の2万2239戸でした。不動産デベロッパーにとって、建設費の高騰と用地の取得難は当面続く予想で、特に中小は採算確保に苦しんでおり、高齢者向けなど付加価値をつけて生き残りを図っています。特に中小デベロッパーは逆算した採算性から、取得する用地を厳選しなければならず資材や人件費の高騰で建設費に見合った物件開発が難しく、やみくもな用地取得は経営リスクを高めかねない状況にまできています。
中小デベロッパーが主戦場とする郊外でも、一般消費者の手が届く価格帯を提示しづらくなりつつあります。利幅余地が狭まるなか、値上がりしても購入者が現れやすい都心の高額物件は販売時期を延ばして寝かせるケースも多く見られます。竣工している新築マンションも引き渡しが半年から1年先なども出てきており異常事態となっています。
不動産経済研究所によると、2024年度のマンション供給戸数は1973年度の調査開始以来、過去最少を更新しているとのことで、東京23区では大規模マンションの開発が年々難しくなっているようにも感じます。同時に、コンパクトな都市型マンションを手掛けるデベロッパーが増えてきています。建設物価調査会によると、3月の東京地区におけるマンションの建築費指数(速報値)は前年同月比5%高となりました。こうした建設にかかる費用の高騰を受け、2024年度の首都圏分譲マンションの平均価格は8%増の8135万円、東京23区では1億1632万円に達しています。
コスト上昇と用地不足という経営課題を突きつけられるデベロッパーですが、体力で勝る大手は価格が高くても需要が底堅い都心部に狙いを定めています。需要が集中する都心立地は、供給側も企業体力のある大手事業者になってきています。一方、正攻法では商品化が難しいと考えている中小は大手に加え、戸建て住宅との競争に参画しており、高値のマンション購入を諦めた消費者の一部が戸建てに流れつつ潮流を見定めています。
パワービルダー系と言われるハウスメーカーは、目下東京23区では3LDK・3階建てのコンパクト住宅が一次取得者にとって現実的な選択肢になっています。建て売り戸建てを大量供給するパワービルダーは資材や建築部材などを大量調達できるため、マンションに比べて割安感があります。
そこで、中小デベは通常の分譲マンション以外に商機を見いだしており、郊外の沿線で開発を得意とするフージャースコーポレーションは「地方シニア富裕層」を取り込む。「デュオセーヌ」ブランドのマンションを開発余地がある地方都市で展開する計画を打ち出し話題になっています。首都圏では千葉市や横浜市で建設を進め、地方でも名古屋市で販売を予定しているそうです。
その他、埼玉県のポラスグループは住宅以外の建築分野の開拓を進めています。2024年3月には3階建て木造のケアホームを完成させており、強みである木造建築のノウハウを生かし、今後も福祉施設や保育施設など中規模の木造施設に注力する方針を発表し注目を集めています。
対する大手も差別化を図るため、試行錯誤しています。野村不動産が6月に竣工を予定する横浜市の「プラウド横浜新子安」はエネルギー消費が実質ゼロになる「ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)」基準を1ランク上回る断熱性能を実現し、室内の快適さや光熱費削減を訴求しています。
その他、東京建物は2024年6月に登録有形文化財「日本真珠会館」の跡地(神戸市)で共同住宅や事務所などの複合マンションを着工し話題になりました。冒頭で触れたように供給バランスも考慮に入れ、良い立地を確保している既存マンションなどの建て替えに力を入れる企業も今後増えてきそうです。
これからは、現状起きている大幅な株価下落で資産が目減りした投資家による現金確保を目的とした保有不動産の売却も時間差で出てくると思います。そうした動きでどれだけ市場に在庫が増えるか次第では価格帯も落ち着いてくると思います。とはいえ、これだけ新築供給が増えても首都圏(特に都心や好立地物件)の中古マンションが下落しないのは全国から首都圏に人口流入していることも無視できない要因です。
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