
マンション修繕談合問題は根絶出来るのか⁉︎

現在主流となっている「設計監理方式」では、設計コンサルが修繕計画の作成から施工会社の選定支援、工事監理などを担います。公正な立場で管理組合にアドバイスをしたり、工事内容をチェックしたりするのが本来の役割のはずが、施工会社の意向に沿って費用を水増ししたのであれば、住民への背信行為にほかならないです。こうした問題はこれまでも指摘されてきました。一部の設計コンサルがバックマージンを支払った施工会社に有利な工作をした事例があるとして、国土交通省が2017年に管理組合の団体に注意喚起の通知を出しました。にもかかわらず不正を根絶できないとすれば、ゆゆしき事態です。マンション修繕をめぐっては、施工会社の社員が住民になりすまして管理組合の会合に出席する不正も明らかになっており、刑事事件に発展したこともあります。大規模修繕ともなると受注額も数千万円から規模によっては数億円のものもあり多額です。老朽化が進む国内のマンションの修繕需要は今後、さらに高まる見通しです。業界全体に厳しい目が向けられていると受け止め、徹底した再発防止策をとらねばならないです。
各社オフィシャルのコメントも発表しており法令順守を徹底し、再発防止と信頼回復に努めるなどとコメントしており、長谷工リフォームは会長辞任と社長の月額報酬1割の自主返上を発表しています。翔設計は再発防止委員会を設立しています。その他、千葉県松戸市のYKKAPラクシーは調査開始前に最初に違反行為を自主申告し、課徴金減免制度によって課徴金と排除措置命令が見送られました。
発表などによると、各社は遅くとも2021年以降、特定の施工会社が受注できるよう談合を繰り返し、競争を実質的に制限していたことが発覚しています。公取委が立ち入り検査をした2025年3月までに談合が認定された工事は171件あり、発注総額は300億円を超えています。公取委は対象となったマンションの工事をホームページで公開しました。しかたないのかもしれませんが逆を言えば、これだけの件数が成約できているという事実は、修繕行為に対し専門性のない区分所有者で構成されている管理組合側も残念ながら完全に頼り切らざるを得ない性質にも問題があります。
工事は管理組合が設計コンサルに業務委託する「設計監理方式」でしたが、コンサル2社が受注予定の施工会社に予算や業者の選定基準を伝達するなどしていました。リノシスコーポレーション経由で37社、翔設計経由で20社が受注調整に加わり、コンサル側は受注額の原則5%程度を手数料として受け取っていました。大規模修繕を巡り、予算の膨張を防ぐはずのコンサルの「裏切り」の可能性はかねて指摘されていましたが、国土交通省は2017年1月に一部のコンサルはバックマージンを支払う施工会社が受注できるよう工作し、発注が割高になるよう誘導していると注意喚起していました。それを受け、コンサル各社は同年11月、全国マンション改修設計コンサルタント協会を発足し、2019年にコンプライアンス監視委員会も設けましたが、今回団体創設に関わった翔設計が残念ながら談合に加わるなど自浄作用の限界があらわになりました。
マンションの施工会社でつくるマンション計画修繕施工協会も複数の会員企業が排除措置を命じられました。公取委は両協会など3団体に手数料の授受が問題になる恐れがあることを周知するよう申し入れ、国交省も3団体に再発防止の取り組みに関して報告を求める文書を出しました。行政や業界団体は積極的に情報開示や注意喚起をすべきですが、行政は明確な違法行為以外に強制力のある対応を取りにくく、業界団体による自主的な対応にも限界があることも問題です。管理組合が当事者として必要な情報や説明を求め、納得して事業者を選定することが重要です。しかし、実際は世帯数の多いマンションなどでは管理組合を構成する区分所有者一人一人の意識が「本人ごと」としてあまり捉えられていないのが実情です。総会の積極的な参加はもちろん、議案に対しての質疑も活発に行われるべきことです。
井林辰憲国土交通相は閣議後の記者会見で、マンションの大規模修繕工事の適正な発注などに関する有識者検討会を設置すると表明しました。関東のマンション修繕工事を巡る談合を受け、適切な事業者の確保策などを議論するとのことで今後の事業者選定の仕方について注目が集まりそうです。
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