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「マンション駐車場」難儀な需給バランスとは?

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山田 恵二

筆者 山田 恵二

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本日は、マンションの維持管理面において「駐車場」に対する考え方の今昔を考えさせられる話題についてご紹介したいと思います。駐車場の需要は、そもそも昔から地域性が大きいポイントとされてきました。一般的には都心で駅近のマンションであれば駐車場重要は少なく、逆に郊外へ行くに連れ付置率は高くなり駅から遠いとさらに増えていくよう設計されていました。しかし、昨今は若い世代の自動車離れやカーシェア、シェアサイクルなどのソフトサービスの充実もあり「駐車場への需要」自体が全体的に減ってきています。

地域によっては自治体が条例でマンションなどに一定の駐車場設置を義務付ける場合も多く、国は昨年、自治体条例のひな型を改正し、一定条件を満たせば、駐車場台数を減らせる規定を設けましたが、機械式から平置きに変更するなどして駐車台数が減る場合、自分の地域のルールに抵触しないのかは確認が必要だったりとまだまだ浸透していないのが現状です。

そんな中、築古のマンションでは機械式駐車場の扱いに悩む管理組合が増えてきています。車離れで稼働率が落ち、必要費用を賄えなくなる例が多く、車を持たないマンション所有者にも経済的負担は及ぶ懸念があり管理組合の総会では議案事項にあがることもしばしばあります。私もマンション住まいが長いので、維持管理費の中でもウェイトの重い駐車場問題は新築時に設定した付置率で大きく変わってくることを肌で感じてます。

駐車場の空きが数カ月も埋まらないようなマンションでは多額な工事費を出しても、機械式を維持費のかからない平置きに変更して『出血』を止めた方がいいと判断する管理組合も少なくありません。今後も、都心中心部を除けば機械式駐車場の利用不足に悩むマンションは増えることになりそうです。国土交通省によると、マンションに機械式駐車場が本格普及したのは1990年代後半からだそうで、この時期から機械式は一貫して40〜60%程度で推移するほどの普及率です。限られた用地確保のなかで、効率的に付置できる機械式の需要は当時画期的と称されていました。

しかし、機械式は定期メンテナンスに加え、設置後25年前後で設備を入れ替える例が多く、費用を合計すると粗い計算で車1台用スペース当たり年10万〜15万円程度はかかると言われています。ざっくり1台月1万円程度の駐車場代として、満車なら収支は基本的に問題はないですが、当然空きが増えれば増えるほどこうした維持費の負荷が大きくのしかかってきます。自動車検査登録情報協会によると、マンションの多い首都圏1都3県や大阪府の自家用乗用車の世帯当たり保有台数は低下傾向で、足元は1台に満たない状況だそうです。

一方、駐車場自体が少なく、高級車保有者もまだ比較的多い東京都心ではSUV車など大型の自動車需要が根強く、ハイルーフ用の駐車場パレットは毎月空き待ちの状況で空いたとしても抽選倍率がつくほどの人気ぶりという皮肉な現象も起きています。

話は戻りますが、こうした全体的な駐車場問題でも管理組合としては維持管理のために駐車場代を上げるか、マンション全体の積立金などから駐車場費用を出すかなど区分所有者と議論はするもののなかなか意見がまとまらなず先に進まないマンションも多いです。車を使わない所有者からすると、駐車場への高額支出へ難色を示す例が多いです。

他の解決策としてマンション居住者以外に駐車場を貸す方法と、冒頭のマンションのように機械式の設備を撤去して平置きにしてコストを抑える方法などもありますが、それぞれに課題もあります。外部に貸す場合、駐車場利用は区分所有者に限ると規定している規約もあるため管理規約の改正が必要なケースがあります。区分所有者以外が駐車場に入る際、安全確認をどうするかなども事前に議論が要ります。規約改正を決議できても、収益に税が課され、申告などのため税理士報酬も必要になる場合もあるので、それらの経費も事前に確認が必要と細部に気を配らなくてはいけません。


平置きになれば、維持費は大きく下がりますがその工事費用は機械の構造などで大幅に金額が変わります。数台の規模にもよりますが解体撤去工事費だけでも1000万円以上かかる例もあります。費用をどう捻出するかの計画を立て、区分所有者や管理組合との間でも決議が必要になります。面倒なのは規約改正はもちろん、平置き化の工事も一般的に共用部分の大きな変更にあたり、4分の3以上の賛成を要する特別決議が求められます。当SANSHIN picksでも過去何度かこうした話題は取り上げてまいりましたが2026年4月から法改正で特別決議ルールが変わり、賛成割合の分母の原則が「区分所有者」と「議決権」から過半数の区分所有者(議決権の過半数を有する者)が出席し、「出席者」と「その議決権」となります。新築マンション建設時の駐車場付置率の見直しも含め、付置する場合もしっかりとした周辺マーケティングを行い、しっかり精査した内容の車種別駐車場を計画しないと駐車場は空いているのに利用出来ず、意味もなく空き駐車場になってしまうリスクも出てきてしまいます。

機械式駐車場の入れ替え時期である築25年前後はマンション建物の修繕費も膨らみ、管理組合の財政が厳しい例が多く、既に空きが多く、外部貸しなども難しいなら早期に平置き化した方が最終的な金銭面の打撃は少なくすみます。25年という長い年月では社会的トレンドも当然変化していくものです。しかし、そうした駐車場の需給バランスも人口動態同様に、膨大なデータをAI解析しコスト面の維持管理を今後できるようにしていかなくてはマンション自体の需要にも影響しかねないため無視できない問題だと思います。


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