
マンション管理に新たな司法判決
皆様、弊社SANSHIN picksをいつもご覧いただき誠に有難う御座います!
本日は、マンションの管理組合の瑕疵責任の考え方について新たな司法判断が下された話題についてご紹介したいと思います。これは、今後築古マンションに居住するすべての利用者に大きな影響を与えるため、注目の裁判としてメディアでも多く取り上げられた話題でした。

分譲マンションの共用部の不具合で生じた居室の漏水被害について、管理組合に損害賠償を求められるかが争われた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は先日、管理組合が賠償責任を負うとする判断を初めて示しました。判決は、裁判官5人全員一致の意見という結末でした。管理組合に対する請求を認めなかった東京高裁判決を破棄し、賠償額の算定などのため審理を差し戻した結果となります。
老朽マンションの増加が社会問題となる中、共用部の不具合が原因で区分所有者に損害が生じた場合の責任の考え方を示した司法判断といえ、今後の同種事案に影響を与えることは間違いなさそうです。
原告はいずれも築30年以上の分譲マンションの区分所有者で、共用部の外壁の管理に瑕疵があり、亀裂や隙間から部屋に水が漏れ出し、被害を受けたなどとして管理組合などに損害賠償を求めていました。裁判では管理組合が民法上の賠償責任を負う「占有者」に当たるかが争われておりました。
第1小法廷はまず、区分所有法は管理組合についてマンション管理のため全ての区分所有者でつくる団体と定め、共用部の管理内容は集会で決めるなどと規定されている点を踏まえれば、「特段の事情がない限り、共用部の管理の瑕疵による損害の発生を防止すべき地位にある」と指摘しました。その上で所有者から管理費を徴収しており、管理の瑕疵で損害が生じた場合は管理組合の財産で賠償するのが「区分所有者の通常の意思に沿い、損害を受けた人の保護にも資する」として、管理組合が占有者に当たると結論付けました。
高裁判決は共用部の占有者は管理組合ではなく各部屋の所有者全員と認定していました。そのため上告審で原告側は、被害回復のため所有者全員に訴えを起こすのは事実上不可能と主張し、高裁判決が維持されれば「所有者の被害回復の道を閉ざす結果となる」と訴えていました。これに対して管理組合側は「管理組合に責任があるとされれば、管理のための資金は枯渇し、必要な修繕工事が困難になる」などと反論していました。
共用部の不具合を原因とするトラブルは老朽マンションで起こりやすく、国土交通省によると、築40年以上のマンションの戸数は2024年末で148万戸あり、20年後には約3倍の482万戸に増える見通しとも言われています。昨今マンションの老朽化が進み、漏水などの被害は増えており、今回の最高裁判決は建物を健全な状態に維持する管理組合の役割を重く捉えた判決といえます。
共用部で生じるトラブルへの備えとして管理組合が加入する火災保険に特約として付帯などできる「施設賠償責任保険」があります。賠償責任を負った場合に、保険金額を上限に損害賠償金等をカバーできます。ただ、国交省の「マンション総合調査」(2023年度)によると、同保険の加入率は42.6%にとどまっており、共用部の修繕が行き届いていないマンションは保険料が高くなったり、加入を断られたりする場合もあるため日々のメンテナンスは必須とされています。
資金が枯渇している管理組合では、一部の所有者だけが被害を受けた場合、組合の費用から修繕費などを出すことに反対意見が出るケースもよくあります。とはいえ、今後この判例をもとに管理組合に賠償請求しやすくなれば、管理組合が共用部の修繕に応じる後押しにつながる一方、資金をどう確保するかは課題となりそうです。今回の判例は、定期的な長期修繕補修がなされていないメンテナンス不足にも原因があるためしっかりとした長期修繕計画とそれを逆算した管理費および修繕積立金の設計が、より重要ということが明白となった事象と言えます。
横浜市|タワーマンション|リノベーション|
|湾岸エリア|不動産
神奈川県横浜市中区海岸通4-20-2 YT馬車道ビル501
みなとみらい線 「馬車道駅」 徒歩2分
SANSHIN Real Estate







