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将来の修繕費確保で有効な手段とは⁉︎

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山田 恵二

筆者 山田 恵二

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本日は、各地でマンション修繕費の資金難が取り沙汰されている中、今後の修繕資金面を補填するうえで銀行に預けておくのが通例だったマンションの修繕積立金を、国債で運用する動きが出てきた話題にについてご紹介したいと思います。

全国各地で特にタワーマンションの修繕費の高騰が課題になっています。中東情勢の影響による建築資材の供給不安で修繕工事が停滞する例も出てきています。資金不足を回避するために修繕積立金や工期などを見直す動きにまで広がっています。外壁や共用スペースの改修資金として住戸の所有者が毎月支払うマンションの修繕積立金は、とりわけタワーマンションで負担が膨らんでいます。高層階用の特注エレベーターや長尺の給排水管の更新費に加え、作業の足場用に屋上からつるすゴンドラのレンタル費もかさむのが大きな要因となっています。

住宅情報サイト「ライフルホームズ」によると、東京23区の築10〜30年の20階建て以上のタワマンは、1月時点の平均修繕積立金が月1万9515円と2008年から1.8倍に増えたそうです。これは、19階建て以下のマンションより約2割高い水準となっています。

マンションの大規模修繕の周期は一般的に12〜15年といわれており、1回目は外壁補修や防水対策が中心で、築30年ごろの2回目に給排水管や窓サッシ、エレベーター、機械式駐車場といった大型設備の更新が重なり、修繕費がピークを迎えます。ある首都圏の総戸数約800戸クラスのタワーマンションでは1回目の大規模修繕に約14億円、2回目は約17億円と見積もりが出た例もあるといいます。

積立金の設定が低いまま増額できていなかったり、インフレで費用が想定以上に膨らんだりすると、築30年前後は資金がショートする「崖」に直面するといわれています。さらに怖いのは、工事費が従来の水準に戻る見込みは薄く、修繕積立金不足はさらに加速する可能性があることです。この崖への対策として、不動産デベロッパー各社は建物の部材を長寿命化することで修繕の周期を延ばして総額工事費を抑える取り組みを進めています。野村不動産パートナーズは、資材メーカーや施工会社と協業し、屋上の防水に紫外線や雨などに強い特殊な塗料を使うなどして耐用年数を延ばし、大規模修繕の周期を12年ごとから最長18年ごとに延ばす計算だそうで、2007年に竣工したさいたま市内の29階建てタワマンで導入する場合、築61年までの修繕回数が4回から3回に減り、約7億2000万円のコスト削減効果を見込んでいるそうです。

その他、今年の3月には築30年超で生じやすい資金難に対応する保証サービスを本格的に始め話題になりました。大規模修繕に代え、劣化状況を調べ必要部分を見極めてメンテナンス工事を実施することで、5年間の防水保証を付け、大規模修繕工事を先送りできるようにしています。東京建物アメニティサポートも大規模修繕の周期を約6年長くする仕様を提供しており、資材メーカーや施工会社と連携し耐久性の高い外壁塗装材や防水材などを開発し、1回当たりの修繕費は従来より上がるものの、全体の工事回数が減ることで総コストを約1億円削減できる物件もでてきています。三菱地所レジデンスは長谷工コーポレーションと組み、高耐久部材を活用して大規模修繕の周期を12年から18年に延ばす施工法を導入しており、今後各社とも新築においてはこうした「修繕費の崖」に備え企業努力を重ねているようです。

一方、タワーマンションの老朽化はこれから本格化していきます。不動産情報サイト「マンションレビュー」によると、20階建て以上のタワマンは2025年末時点で全国に約1700棟(計約44万7450戸)あるそうで、今後10年ほどで2回目の大規模修繕を迎える築20年以上は623棟あるといわれています。

こうした中、銀行に預けておくのが通例だったマンションの修繕積立金を、国債で運用する動きが出てきており注目を集めています。インフレによる工事費の上昇で積立金の実質価値が目減りする中、金融の知見を持つ住民が主導し将来の大規模修繕に備えた資金を確保しています。世帯数の多いタワーマンションでは特に積立金も高額なため運用金としてただ塩漬けにしておくのは得策では無いという考えです。インフレで工事費が上がり続ける状況に危機感を覚えている住民も多いようです。

当SANSHIN picksでも過去こうした運用手法に関しては取り上げており、まず安全性が高いとされる住宅金融支援機構の「マンションすまい・る債」が代表的な事例です。

現在の状況下ではれば、長期金利の上昇で国債に追い風が吹いていることもあり住民の理解を得やすいことも大きいです。それ以外でも、長期修繕計画を見直し、修繕積立金の増額もよく話し合いがされる議題としてあがります。以前は新築時に設定されるのは1戸1㎡につき月100円くらいが一般的でしたが、倍の200円に増額する管理組合もザラに出てきています。一時金や修繕できない部分が生じるくらいならきちんと上げた方が良いという意見も多くなってきており住民の同意が得られやすいです。

金額を徐々に上げる「段階増額積み立て」から一定額を積み立てる「均等積み立て」に改定したことで計画上の積立金不足も解消するケースもあります。段階増額方式は新築時の費用を抑えられるため売り主が採用することが多いですが、増額のたびに住民の合意が必要で計画通りに積み上がらない恐れがあります。マンションの購入検討者は費用の割安さに目が行きがちですが、将来の修繕を見据えて積立金を十分に設定しているか確認する必要があります。こうした積立金の増額で生まれる余剰資金の一部は、今後も修繕費の上昇に備えて運用に回すことも良いと思います。その他、長期修繕計画の期間を現在の30年から60年に延ばし、修繕周期を延ばすことでコストを抑える案も検討するところもあります

実際に修繕積立金の多くはいまだ銀行口座に置かれています。国土交通省の2023年度の調査で、修繕積立金制度があるマンション管理組合(1522組合)に複数回答で運用先を尋ねたところ、国債は0.1%にとどまった。普通預金は8割に上ったといいます。

2027年には個人向け国債の販売対象がマンション管理組合にも広がる見込みです。現在購入できる「新窓販国債」は途中で売却する場合に価格変動リスクがありましたが、個人向け国債は発行から1年は中途換金できないが、元本割れのリスクがなく扱いやすい運用手段になり得ます。

今後は各マンションでの修繕費確保の手段として「国債」購入が注目を集めそうです。金利の上昇局面では、運用時期を分散して利息を取り込みながらリスクを抑えることや、急な修繕に備えて手元資金を確保しておきながら一部を運用に回す工夫が大事かもしれません。とはいえ、もっとも大事なのはまず住民一人一人が意識改革をし、自分ごとと捉え住まいの将来について総会で意見交換することだと思います。


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