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老朽化が進む戸建の「擁壁」問題とは⁉︎

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山田 恵二

筆者 山田 恵二

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本日は、老朽化する戸建て住宅の維持管理において「擁壁」問題の話題についてご紹介したいと思います。ご自宅はもちろん、ご実家の戸建ても今後無視できない話題となりますのでこの機会に検査及びメンテナンスの実施も検討すべきかと思います。

昨今、建物の土台を支える「擁壁」が崩れるリスクが高まってきています。高度経済成長期に多く造られた擁壁が古くなり、9月末には東京都内で戸建て住宅が倒壊する事故が起きニュースにもなりました。専門家は全国100万カ所以上が老朽化していると指摘しており、危険な兆候をつかみ、所有者に補修工事を促す取り組みが必要となってきています。

先日も、杉並区の住宅街で木造2階建ての住宅が突然、倒壊し家屋の土台部分を支える高さ4~5mほどの擁壁が崩れてしまいました。幸いけが人はいなかったものの、がれきが隣接するマンションのベランダや道路に流れ込むという大惨事となりました。その後の区の調査によると、宅地内の土の圧力によって擁壁の亀裂が広がったことが原因とみられており、目で見える戸建ての老朽化だけが問題ではないこと改めて考えさせられる出来事でした。

擁壁は高低差のある宅地や斜面地で、土留めの壁としてコンクリートやブロックで造られ、地盤を支え土砂が崩れるのを防ぐ役目があります。今回倒壊した住宅は築57年で、区は1984年に擁壁に亀裂があることを把握し、11回にわたって所有者に改善を求めてはいましたが、住宅を含めた建て替えが必要になることもあり、実施されておりませんでした。2024年10月には現地調査で亀裂の広がりを確認し、早期の対応を指導し、近隣住民や通行人にも注意を促していた経緯もあったそうです。なんと、所有者は事故の1週間前、工事業者が見つかり、補強工事を行う予定だったそうです。

区は今回の崩落を受け、安全性が疑われる区内の擁壁24カ所の緊急点検を実施し、このうち2カ所について早急な対策が必要という判断にも至りました。そして、同じような事故は各地で起きています。大阪市西成区では2021年6月、擁壁が崩れて民家2棟が崖下に落ちる事故がありました。市が応急工事をしましたが、費用負担を巡る所有者との交渉が難航し最終的には所有者が土地を市に寄付し、市が工事費を負担するという形で着地しました。難しいのは、こうした費用負担の面でも大きなハードルがあります。

リスクが高まる背景には、他のインフラと同様、老朽化が進んで安全対策が追いついていない現状があります。一般的なコンクリートの擁壁の寿命は30~50年程度とされ、高度経済成長期に大都市圏の郊外で造られた擁壁を中心に、全国100万~300万カ所が老朽化していると試算されています。国は1962年施行の旧宅地造成等規制法で擁壁工事の技術基準などを設けました。1981年には震度6強以上の揺れに耐えられる「新耐震基準」を導入し、1995年の阪神大震災で擁壁の被害が相次ぎ安全基準が厳格になりましたが、古い擁壁はまだまだ対策が不十分な恐れがあります。

2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震では、石を積み重ねただけのコンクリートで固めていない擁壁や、既存の擁壁に継ぎ足す「増し積み擁壁」が崩れて被害が多発したことも記憶に新しいです。局地的豪雨が頻繁に発生するようになり、水圧によって擁壁が崩れやすくなるとの指摘もあります。気象庁の観測データによると、1時間に80mm以上の猛烈な雨の頻度は1980年ごろと比べて倍増しています。ただでさえ、老朽化により耐久性に問題がある擁壁が多い中、こうした予期せぬ天災に見舞われた時に被害は甚大になる恐れがあります。土砂崩れの危険度を示すハザードマップは更新されるため、建築当初に低リスクとされた場所が今も安全とは限らないです。屋外の異常は気づきにくいため、今後は、住民自身が意識的に確かめる必要があります。特に、自分たちが生まれ育った実家が戸建ての場合先々相続で承継する可能性も考慮に入れ、しっかりと対策していくことも検討が必要です。また、中にはすでに相続で承継した老朽化した戸建てをお持ちで未利用の空き家になってしまっている場合は管理監督も不十分になりがちなのでより早急に対策を講じないといけないかもしれません。



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