
ネット銀行は住宅ローン戦線を勝ち残れるか⁉︎
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本日は日銀による政策金利上昇下のなか、他行に増して金利上昇の影響を受けているネット銀行各社が新規顧客獲得に向けて新たな戦略に出ている話題について紹介したいと思います。ゼロ金利からマイナス金利時代に、圧倒的な低金利を武器に顧客獲得で頭角を現して来たネット銀行は度重なる利上げ潮流により、今度は逆に他校よりも利上げ幅が大きいことで新規顧客獲得に苦戦しています。

そして、逆風が続くネット銀行が目先の家計負担を抑えることをうたった住宅ローンを広げ始めています。PayPay銀行は事務手数料をゼロにする新商品を発表しました。「金利ある世界」で大手銀行との預金争奪が激しくなるなか、多様な手数料や返済方法を打ち出し、若年層の取り込みを図る狙いがあります。PayPay銀は11月にも、住宅ローンの借入時に契約手続きの費用として支払う事務手数料をゼロにする新プランを始める予定で、これまでは借入額の2.2%を手数料として、融資の実行日に受け取っていたものを撤廃し借入者の負担を軽くする施策を打ち出しました。
しかし、手数料はゼロにはなりますが同時に通常のローンに金利を0.3%上乗せするやり方で金利負担は増えますが、借入期間が短いほど手数料の軽減効果が出やすいことがメリットのようです。金利変動の影響などを除く単純計算では、おおむね7~8年以内に完済すると通常ローンより総返済負担を抑えられる設計です。PayPay銀行の住宅ローン事務手数料を2.2%からゼロにする新プランは、適用金利の0.3%引き上げで相殺されるものの、住宅購入時のハードルを下げたい検討者には魅力的に映るかもしれません。家族構成の変化などに合わせて住み替える若年層の需要を見込む狙いがあり、住宅を売却してローンを一括で返済するような利用を想定しているようです。
その他、ドコモSMTBネット銀行(旧住信SBIネット銀行)は6月、返済最終日に元金の50%を一括返済する住宅ローンの取り扱いを始め話題になっています。高価格帯マンションの購入者向けで、将来の住宅の売却益による返済を想定しています。金利は通常型より0.35%高いですが、月々の返済は利息と残り半分の元金のみとなるため目先の負担を抑えられることで毎月の支払い負担が軽減できるのは魅力的です。ソニー銀行は住宅ローンの最長返済期間を35年から50年に延ばしました。融資上限も2億円から3億円に引き上げ、高騰する首都圏マンションの購入者層に向け融資条件を変えて来ています。住宅価格の高騰のなか、購入離れが進む若年層を中心とした需要を取り込む狙いがあります。
ネット銀行は店舗を持たない低コスト運営を生かし、低金利の商品で大手の対面銀行からシェアを勝ち取って来ました。住宅ローンを入り口に顧客を獲得し、給与振込や決済、資産運用などに取引を広げる成長モデルを築いてきましたが、日銀による利上げ潮流でその戦略が転機を迎えています。住宅ローン比較サービス「モゲチェック」を運営するMFSによると、10月のネット銀の変動型金利は平均で前月比0.306%高い1.598%でした。メガバンク(1.332%)や地方銀行(1.505%)を上回る金利水準で、直近1年では0.83%上昇しています。ネット銀行が金利の引き上げを急ぐ背景には、貸し出し原資となる預金の獲得が追いつかなくなっていることが原因にあります。金利ある世界で銀行間の預金の獲得競争は激しくなっており、預金に占める貸出金の割合を示す「預貸率」は上昇傾向にあります。日経新聞お調べによると、主要ネット銀行6行の2026年3月末時点の預貸率は72%と、2024年同月と比べて8ポイント上昇しているそうです。銀行別では、auじぶん銀行は111%、住信SBIネット銀行(当時の社名)は96%に達しています。給与振込口座を多く抱える大手銀行の方が預金ベースでは集めやすく、金利上昇に伴ってネット銀行でも預金の調達コストが膨らみ、ローン金利を引き上げざるを得なくなっている構造上の問題があります。つまり、住宅ローン需要の伸びに対し預金の増加が追いついていないということです。
しかしながら、従来のように低コストで貸出残高を積み上げるのは難しくなった半面、依然として住宅ローンはネット銀行にとって集客の要に変わりありません。最安金利を競う従来型の手法から、返済方法や手数料を工夫して狙う顧客層を絞り込む戦略へと軸足を移す。もっとも、PayPay銀行やドコモSMTBの住み替えを前提とする商品では、不動産市況が悪化すれば売却が遅れたり、売却代金だけではローンを返しきれなかったりするリスクも当然にあります。こうした背景もあり、ネット銀行には安定した預金基盤の確保とともに、今後は新たなリスクを織り込んだ審査体制の整備も求められることになりそうです。
政策金利の引き上げは預金金利にも影響するため、住宅ローン原資の調達コストは増加するものの、住宅ローン金利を上げる正当な理由でもあり、利用者の理解は得られるとは思います。しかし、若年層の消費者目線で言えば預金高よりも借入残高の方が多いことを想定すればやはり購入マインドはどうしても下がってしまいます。ポイントはこれまで徹底的な低金利で利用者を増加してきたネット銀行のビジネスモデルが、金利上昇によって変更を余儀なくされることです。現在の利上げ潮流のなかで金融機関に求められるのは、キャンペーン金利の実施など目先の変化ではなく、選択材料が金利だけではなく団体信用生命保険の充実など付随するライフプランに寄り添った住宅ローン商品としての総合力をどの様に設計し提供するのか、ではないでしょうか。
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