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2026年度基準地価発表

地価

山田 恵二

筆者 山田 恵二

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本日は、毎年恒例の「基準地価」が発表された話題についてご紹介したいと思います。全国的には、5年連続の上昇値となった一方で地方では徐々にその勢いにも翳りがでてきているようですが、この勢いはどこまで続くのでしょうか?

国土交通省が15日発表した2026年の基準地価は住宅地や商業地といった全用途の全国の前年比上昇率が平均1.5%となり、5年連続で上昇しました。全国の調査地点2万828のうち、上昇したのは49.9%で前年の49.3%から広がりました。横ばいは15.7%、下落は34.4%でした。賃貸オフィスやマンションの価格上昇が続く都市部がけん引したかたちとなります。建築費の高騰で地方の伸びは鈍化してきているようです。基準地価とは、7月1日時点の全国の土地価格のことで、1㎡あたりで表示され、土地を売買するときの目安となります。都道府県が不動産鑑定士の評価をもとに調べて、国土交通省が集約して毎年9月に公表するもので、2026年の対象地点は2万1466カ所でした。このうち11年の東京電力福島第1原子力発電所の事故による影響を受けた10地点は調査を行っておらず、建物の価値などに左右されないように土地を更地として評価します。区分は「住宅地」、オフィスや商業施設の「商業地」、工場や物流施設が立地する「工業地」などがあり、商業地はオフィス需要や観光の影響を受けやく、都市の駅前再開発が進むと需要が高まり、周辺の住宅地に波及する傾向があります。

公的機関が毎年公表する地価調査は、国土交通省が3月に公表する「公示地価」と国税庁による7月公表の「路線価」もあります。いずれも1月1日時点の価格を算出しており、公示地価は市街地が中心で、基準地価は地方の山林も含んでいることが特徴です。路線価は主要な道路に面した土地を対象にしており、相続税の算定に用いられる価格となります。

三大都市圏の全用途平均は2025年の4.3%から4.4%に伸びており、東京圏の5.4%が引っぱったかたちになります。国内外の投資マネーがオフィスやホテル、マンションなどに集まっています。地価が最も高かったのは21年連続で東京・銀座2丁目の「明治屋銀座ビル」でした。1㎡あたり5250万円で前年から11.9%上がっています。住宅地の最高価格は8年連続で東京・赤坂1丁目の地点で750万円で16.6%の上昇となりました。

大規模な再開発が進むエリアでも大きく上がり、東京都中野区のJR中野駅近くの地点は前年から25.0%上昇し、伸び率は東京圏の商業地で2番目に大きいものとなりました。大阪圏は2025年の3.4%から3.6%に伸びが拡大しました。JR大阪駅近くで大規模再開発が進んでいるほか、大阪市中心部へのアクセスが良い地域でのマンション価格上昇などを映しています。逆に、名古屋圏は2025年の2.1%から1.9%に上昇率が縮んでおり、中心部のマンション高騰に追いつけなくなった実需層が愛知県郊外や岐阜県の戸建てに流れるなど、住居の選び方に変化が見られたことも興味深い部分です。

札幌、仙台、広島、福岡の地方4市は2023年をピークに伸び率が縮小しています。2025年は5.3%、2026年は4.1%でした。成長が続く一方で、建築コストの上昇などで住宅の買い控えや商業地再開発の中止・延期が目立っており、地方では賃料が三大都市圏ほどは上昇していないため、建築費高騰分を吸収しきれていないのが実情のようです。

こうした動きは全国的に波及しており、JR九州は2028年末の完成をめざしていた博多駅の複合ビルの建設計画を建築費が2倍ほど膨れ上がったため中止を発表しました。JR北海道も札幌駅直結の再開発計画を見直し、完成時期を2028年度から2034年度に変更しています。さらに、当初計画にあった米マリオット・インターナショナルのホテル進出は白紙となりました。都内でも新築ビルの開発計画の先送りなどが出始めています。計画の見直しや遅れにより、既存のビルが使われないままとなるような場合は今後の地価にとってマイナス要因になってきそうです。

気になる神奈川県はというと、住宅地が前年比3.1%上昇し、上昇率は前年の3.3%から縮小したものの、5年連続で上昇しました。富裕層向けの別荘や一棟貸し宿泊施設の建設が進む箱根町や葉山町が高い伸びをみせたほか、交通の便がよい横浜駅周辺も引き続き好調でした。住宅地の継続調査地点663のうち、上昇は611地点となり、横ばいは49地点、下落は3地点という結果でした。

横浜市では交通アクセスのよい横浜駅周辺や上大岡駅周辺で高い上昇率となりました。横浜市、川崎市、相模原市の3政令市では全ての区の住宅地が上昇しましたが、いずれも上昇幅は縮小しています。新型コロナウイルス禍後の需要一巡や近年の価格高騰を背景に、多くの地点で上昇率は鈍化傾向にあります。

一方で全体をけん引したのが箱根や葉山などの別荘地でした。株高を背景に購買意欲が旺盛な富裕層などからの別荘やヴィラの需要が高いようです。箱根では2025年7月、2026年4月に楽天グループによるの楽天ステイが相次いでヴィラを開業しており、箱根の仙石原エリアは上昇率で1位(10.2%)となり、前年(7.5%、34位)から躍進しています。商業地は7.2%上昇と前年(7.0%)から上昇率が拡大し、14年連続のプラスとなっています。横浜市のJR関内駅周辺といった再開発が進むエリアや、商業施設が集まる横浜駅周辺への投資需要が全体を押し上げています。

上昇率はJR関内駅の陸側の関外エリアの地点が1位(21.2%)、3位(18.9%)、4位(17.9%)と上位を占め、3月に開業した大型複合施設「BASEGATE(ベースゲート)横浜関内」などの再開発が進む海側の関内エリアに比べて割安感があり、投資が増えています。2位は鎌倉市の鎌倉駅前の20.0%で、インバウンドの消費額が増加傾向にあり、観光地の店舗需要が高まった結果のようです。価格別ではJR横浜駅西口の商業施設「横浜モアーズ」が11年連続の首位で、5位までを横浜駅周辺が占めており、6位は川崎駅周辺、7位は新横浜駅周辺と、交通利便性が高く商業施設が集積するエリアが上位に入っています。

その他、工業地の上昇率は6.3%と前年(7.2%)から縮小しています。変わらず湾岸地域や高速道路のインターチェンジ周辺の工業地が伸びをけん引しています。不動産市場では金利上昇の懸念も一部でみられており、金利の影響自体はまだ顕在化していませんが、需要の冷え込みを誘因する恐れがあるので引き続き動向に注意する必要がありそうです。



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