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住宅ローン金利に各銀行判断分かれる

住宅ローン

山田 恵二

筆者 山田 恵二

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本日は、先読みが難しくなってきた「住宅ローン金利」について最新の4月度金利が各銀行で発表されましたのでご紹介したいと思います!

大手銀行が昨日31日発表した4月度適用分の住宅ローン金利は固定型で対応にばらつきが出た結果となりました。10年固定型は3メガバンクとりそな銀行が据え置く一方、三井住友信託銀行は0.15%引き上げました。そうした中、足元の金利上昇を背景に支払う金利を確定できる安心感から固定型を検討する人が増えていることに対応し、三菱UFJ銀行だけは全期間固定型の金利を大幅に引き下げる対応をとりました。

大手行はここ数ヶ月は地政学リスクの影響で長期金利の上昇に伴い3月適用分の固定型金利はそろって引き上げており、長期金利の上昇傾向は続いていましたが、ここにきて固定型のニーズを取り込もうと据え置いたり引き下げたりする銀行も出てきました。住宅ローンは商品性で違いが出しにくく少しでも金利を上げると競争力に影響が出るためと判断したのだと思います。

同じ銀行内でも固定期間の違いで差が出ました。三菱UFJ銀は31~35年固定型の金利(ネット経由)を1.8%から1.2%に下げ、三井住友銀行は10年固定を据え置く半面、2~5年の固定型は引き上げました。

気になる変動型も各銀行ともそろって据え置きました。日銀の政策金利に連動する変動型の基準金利は2.475%のままで、固定型との金利差は依然広がっています。金利上昇リスクを避けるため固定型を検討する人は増えているとみられていますが、「安心料」である固定型の金利上昇が続けば、住宅購入をちゅうちょする人が増えかねないとの見方もあり我々不動産業界にも大きく影響が出てきそうです。

変動型と固定型の金利差は、日銀が2018年7月に長期金利の変動幅の上限をそれまでの0.1%から0.2%に広げた後、同年11月に0.97%まで広がった過去があります。その後は米中貿易摩擦などを背景に長期金利が低下し、2019年9月に金利差は0.63%まで縮んだが足元で再び拡大してきています。

以前のブログでもご紹介した様に、住宅ローンの変動型と固定型の適用金利は基準とする金利が違います。半年ごとに金利を見直す変動型は日銀の政策金利に連動する短期プライムレート(短プラ)にもとづいて決まっています。日銀は2016年2月にマイナス金利政策を導入してから政策金利(マイナス0.1%)を変えていないため、基準金利も2.475%で固定されているのが現状です。

一方、固定型は長期金利の指標となる10年物国債の利回りが基準となるため、日本の長期金利は2月半ばに約6年ぶりに0.2%台前半まで上昇し、銀行は相次いで固定型金利の引き上げに動きました。ロシアによるウクライナ侵攻に伴う景気悪化懸念からいったん0.1%台に低下しましたがその後、アメリカの利上げに伴う米長期金利の上昇を背景に再び0.2%台で推移しています。

銀行にとって住宅ローンは貸し倒れリスクが極めて低い貸出先で、とくに変動型は銀行が金利変動リスクをほぼ負わないで済むため銀行競争の主戦場になっています。各銀行は基準金利が変わらないにもかかわらず変動型金利の引き下げを競ってきました。ネット銀行の中でも頭角を表してきている「auじぶん銀行」の年0.289%を筆頭に「みずほ銀行」もネット経由の最優遇金利は年0.375%まで下がっています。

変動型と固定型の金利差拡大は当然、毎月の返済額の差に大きく直結します。仮に借入元本が3500万円でボーナス払いを併用しない場合、毎月の返済額の差は約1万6200円となり、年間に引き直すと実に20万円近くの差になるほどです。米欧をはじめ世界の中央銀行が利上げに動く一方、日銀は先月18日の金融政策決定会合で大規模な金融緩和の維持を決めました。日銀としてもここで他国同様に全体の利上げを強行してしまうとそれによる歪みから生まれるリスクの方が大きいという判断だったと思います。我々、不動産業界からしても住宅ローンに大きく影響を及ぼす「長期金利」の利上げは現実的では無いと思います。

今月の金利設定の判断が各銀行で分かれ始めていますので、各銀行の融資姿勢にもばらつきが出てくると思います。山信不動産(株)では、そうした最新の金利情報も今後随時ご紹介していきます!


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