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本日は、「老朽化マンションの建て替え」について条件緩和案が公表されましたのでご紹介したいと思います!
政府は昨日、老朽化した分譲マンションの建て替え条件を緩和する意向を発表しました。所有者の賛同割合が大きな壁となっている事が問題視されていた建て替え採決ですが割合の引き下げを(「5分の4」の賛同割合から「4分の3」へ変更案が出ています)行い、区分所有法の改正への大きな前進になりそうです。立て替えしやすくすることで老朽化したマンションの増加に歯止めをかけたいのが1番の狙いです。
そもそも老朽化の定義も曖昧ではありますが、一般的には築30年〜40年を過ぎた年数とされています。1981年以前に建設されたマンションは旧耐震基準に沿った構造になっており、震度5強程度の地震で倒壊しない基準になっています。同年以降に建設されたマンションは震度6〜7程度の地震でも倒壊や崩壊しない水準の新耐震基準へと移行していきました。その後、1995年の阪神大震災を受け更に耐震基準は強化され見直しされてきています。こうした、旧耐震基準で建設されたマンションの多くは老朽化マンションの代表格となっており、地震大国である日本においては建て替えが急務とされてきておりました。しかし、マンションは複数の区分所有者で形成されている性質上、建て替えに必要な賛同割合や敷地売却が大きな壁となり現実的ではないのが現状でした。それでも、2020年に成立した改正マンション建て替え円滑化法で一括して不動産会社などに敷地売却がしやすくなり徐々にではありますが建て替えしやすい環境作りの整備は進んできています(ただし、原則所有者全員の同意が必要)。今回の賛同割合の緩和策が実現化すれば、更に建て替えに対して前向きに取り組みやすくなることは間違いありません。その他、相続などで連絡がつかない「所有者不明」の区分所有者は一定の条件で意思決定から除外する案も議論されるようです。ここも、以前のブログでもご紹介しましたが現状日本が抱える大きな問題点でもあります。不動産会社への一括敷地売却も結局こうした所有者不明の区分があるだけで進まないのは大きな問題点です。
国土交通省の推計によると、2020年末時点のマンション675万戸のうち築40年を超える物件は103万戸にもなるそうです。これが2040年にはなんと405万戸にまで膨れ上がります。なお、103万戸のうち約25%が都内に集中しています。今後、人口推移の予測からするとこうした都内の老朽化マンションの建て替えは不可避です。全国的には人口減少しているので新たな土地を模索して新築を「ゼロ」から建設するよりも建て替え需要の方が高いわけです。
災害の多い日本で老朽化マンションの放置はリスクが多く、効率良く建て替えられることがマンションの供給過多を抑制できる術でもあります。しかしながら、建て替えに賛同しても建て替え期間の仮住まいなど建設費用以外のコスト面が区分所有者の大きなネックになっているところもあります。今後の不動産流通業界や経済発展の為にも今回の、建て替えの賛同割合緩和策以外に政府には是非とも建て替えメリットを区分所有者に持たせた新たな政策を期待したいです!