急低下の長期金利
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本日は、先週世界の金融市場に衝撃が走った「シリコンバレー銀行破綻」でどの様な影響が起こっているかについての話題をご紹介したいと思います。
まず、シリコンバレー銀行とは主にテクノロジー分野のスタートアップ企業にフォーカスして融資している銀行で、スタートアップ企業やベンチャーキャピタルは、連邦預金保険公社(FDIC)の保証がない多額の預金をシリコンバレー銀行に預けていました。米国内のベンチャー企業の半分にサービスを提供していました。シリコンバレー銀行が破綻したのは、資産を引き揚げる短期預金者(SNSの影響力を改めて痛感)と、金利上昇により価値が低下した米国債を中心とする長期資産とのミスマッチが原因でした。この銀行が破綻したのは、顧客基盤が分散しておらず、リスク管理も厳格ではなかったためで、最終的にはこれにより銀行経営に終止符が打たれた形になります。皮肉にも、長期間にわたる超低金利により生じた「資産バブル」が引き起こしてしまったわけです。2023年3月13日の株式市場の動き、特に地方銀行の株価の動きは、人々が預金を中小銀行から大銀行に移し、さらなる不安定さをもたらす懸念がまだ存在していることを示唆していましたが、直近のFRBの動きでは、週末に向けて当初の懸念の一部(預金補償)を沈静化させ混乱を最小限に抑えたようです。
これにより、日本国内でももちろん影響は出ており国内の債権市場では長期金利が大きく低下し債権価格は上昇しています。安全資産として、国債や金に買いが集中した結果となります。ここでおさらいすると、なぜ国債が買われると長期金利が下がるかと言うと長期金利の代表的指標となっているのが、「満期までの期間が10年の国債の利回り」なので、この10年もの国債を大量に買うことで、利回りの抑制・低下につなげているというわけです。国債は、満期になると元本が返済されるほか、発行時に決められた利率で一定期間ごとに利子が支払われます。また、発行された後は、債券市場で国債を売買することができ、需要と供給に応じて価格が変動します。この価格変動によって、国債の利回りが変動する仕組みになっています。
その結果、国内長期金利は現在、日銀が許容する変動幅上限0.500%が続いていた9日に比べ0.230%低下し、新発20年物国債利回りは同じ時期で0.260%下がりました。その他海外市場でも、スイス金融大手のクレディ・スイス・グループの株価は急落し、米長期金利は一時3.38%と2月上旬以来の水準にまで下がりました。
ここで、頭を過ぎるのはあの「リーマンショック」です。。2008年にアメリカの投資銀行であるリーマン・ブラザーズが破綻したことからその名が付けられたリーマン・ショックは、世界的な金融危機である「サブプライム住宅ローン危機」の中心的な出来事とされています。サブプライム住宅ローン危機は、住宅価格の下落と住宅ローンのデフォルト(債務不履行)が相次いだことから始まりました。アメリカでは、住宅ローンが次々と証券化され、それらの証券が金融市場で売買されるようになっていました。しかし、低い信用力を持つ借り手に対するリスクの高い住宅ローン(サブプライムローン)が多数含まれていたため、住宅価格の下落とともにこれらのローンのデフォルトが増加し、証券の価値が暴落しました。リーマン・ブラザーズは、こうしたサブプライムローンを多く保有しており、それが原因で資金繰りが悪化し経営破綻となりました。リーマン・ショックは、信用収縮や株価の急落など金融市場に大きな不安をもたらし、企業倒産や失業率の上昇など、世界経済への深刻な影響を及ぼしました。この金融危機を受けて、各国政府や中央銀行は金融システムの安定化や景気刺激策を実施しましたが、長期にわたる世界経済の低迷が始まりました。
今回の一件を比較すると、金融大手の破綻から招く不安は同じではあるものの本質的な毛色は違っていると私は思います。シリコンバレー銀行はあくまでスタートアップ企業やシルバーゲートキャピタル向け融資、連鎖破綻したシグネチャー銀行は暗号資産業界に積極的に融資をしており、顧客、預金者が特殊と言えることや、金利上昇は通常は金融機関にとって本業の収益には追い風であることなどから、リーマン・ショックと比べて本質的に異なり、初動による影響は避けられないとはいえ金融システム全体の不安に広がる可能性は低いと考えられます。
長期的な低金利が生んだ経済効果が、さまざまな地政学リスクや世界情勢の影響で急速な利上げという旗振りをしたことで市場バランスを保とうとしましたがその歪みが出てしまいました。アメリカもリーマンショック時の経験から当局の軌道修正に対する動きは早く、市場混乱は最小限に回避出来たと思います。今後、注目していかなくてはいけないのは、国内における同様のリスクです。今回で顕在化した「リスク」も考慮して、国内金利の舵取りを慎重に行わなければ、対岸の火事とはいきません。日本も、需給バランスが正常化するまでは金利上昇のリスクは計算していかなくてはならないかと思います。
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